先日、スーパーバイズを受けた時のことです。

「この方は、普段どんな人だと思いますか?」

ということをカウンセリング中に先生から聞かれました。

 

こういう視点を持ってカウンセリングを

正直振り返ったことがなかったので、

「はっ」とさせられました。

 

苦しんでいるクライアントを僕たちカウンセラーは見ますから、

それが僕たちにとってはデフォルトの姿になります。

 

でも、それは一時的な姿にすぎない。

 

そんなことは頭の片隅にはわかっていても、

援助で力になろうとするあまり、

そういった大事なことを忘れてしまう。

 

目の前にいるのは、一人の人間で、

家に帰ったら笑っている時もあるでしょうし、

昔はもっと表情も緩やかで、

緊張も不安もなく過ごせていた日常もあったでしょう。

 

僕たち援助者は、

そういったクライアントが、

そういった目の前の人がいるということを、

心に留めておかなくてはいけないのだなと、

そう痛感させられました。

 

そして、冒頭の質問に対して僕はこんなことを答えました。

「割とお話するのが好きで、内向的ではありますが、

一人で楽しむのも好きそうです。」と。

 

すると先生は、

「そうですよね。基本的に楽しい人ですよね。

表情筋とか口角の辺りをみると、

そういった姿が垣間見れますよね。」

「では、なぜこの人はそういった姿が影を潜めて、

今このような苦しみを抱えるようになったのでしょうか?」

と続けました。

 

こういう温かい視点でクライアントを僕は見れるようになるのだろうかと、

そんなことをこの言葉を聞いた時に感じました。

 

自分の殻に閉じこもっていたように

僕には見えたクライアントに対して、

先生は、「基本的に楽しい人ですよね。」と、

違う所を見ていた。

 

その人を見ていた。

 

ついつい忘れてしまいます。

目の前にいる人は、敵でもなく、

悩んでいる人でもなく、

ただここに来てくれた一人の人であるということを。

 

何かを改めて、心を入れ替えて、

今一度目の前の人と対峙したいと、

そう強く感じたのでした。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。