カウンセリングをしていると、
どう関わったらいいのか、
何が本人にとってベストなのか、
とても迷うことがあります。
カウンセリングは万能ではありませんから、
出来ることと出来ないことがあります。
いくら家庭環境がひどいからといって、
その人のことを保護することは出来ません。
勿論、DVや自殺の危険性等や犯罪を犯す危険性がある場合は、
医療機関であれば、
応急入院や措置入院などを医者が取ったり、
医者でなくとも通報したり、
児童養護施設などと連携を取ることも可能で、
パイプ役にはなれますが、
環境面の整備等は僕たちカウンセラーの仕事ではありません。
僕たちはあくまでも心理的問題のケアや、
心の健康を促進することなのです。
その為、心理的に苦しんでいる人が目の前にいた時に、
お話を聞いて、ねぎらって、
受け止めて、少しでも気持ちを軽くしてもらう。
心の痛みを少しケアする。
そんな援助は出来ますが、
家に帰ったときに、
家庭環境が悪い場合は、
やはり「また」心理的な痛みを抱えてしまう。
そんなことが間々あります。
そういった時、
僕たちは、何が出来るのだろうかと、
そんなことを思うのです。
相手が大人であれば、
自立を促すことも出来るかもしれませんが、
経済的な側面が関わってくるかもしれません。
相手が子供であれば、
家庭環境を改善するように働きかけるのは、
負担が重すぎますし、
本来であればそれは親の仕事であり責任です。
様々な要素が絡んでくる中で、
何が出来るのだろうかと、
その負の連鎖を変えていく為に、
一緒にどんな協力が出来るだろうと、
悶々とすることが実は結構あります。
この前、詳しい話はかけませんが、
あまり良くない家庭環境から、
心のバランスを大きく崩してしまった方の相談を受けました。
心理的なストレスが体にも出ている。
そして、そういう方に限って優しい…。
さらに、その方が家族で一番まともなのです。
両親からの協力は望めず、
怒りや悲しみを抱えている。
その子の希望は、
「普通に暮らす」こと。
僕たちは、何が出来るんだろう?
僕がした援助は…
「一番安心する場所であるはずの家で、安心することがなく、
きっとご自分といてほっとする時間も無かったですよね。
という援助です。
家にいても不安で怖くて、
でも怒っていて悲しくって、
落ち着ける場所がない。
だからこそ、
まずはこのカウンセリングの場をそんな場所に…。
まずは安定感や落ち着きを取り戻せるように。
果たしてそれでよかったのか。
そんなことを思い、
この前スーパーバイズを受けた時、
先生はこんなアドバイスをくれました。
「その人はとても立派ですね。
でも本人はそれに気づいてないかもしれません。
そして、今その方に必要なのは、
力づけてくれる方です。
未来に対して希望が持てるようにです。」
「精神的なDVのようなこともあったかもしれません。
それでも、
不遇な環境でも幸せになっている人はいます。
だからそんな方の例え話を出すといいかもしれません。
また、今の家族に希望が持てないかもしれません。
それでも、
その為には、
そんな援助も大切かもしれません。」
僕には全く思い浮かばない視点でした。
どうやったら少しでも楽になるだろうと、
そんなことばかりを考えていた僕は、
目の前の人の力強さや、
これから生きていく上で必要なこと、
そんな視点が欠けていたのでした。
一生懸命に考えようとするほど、
自分がという思いが出てきて、
目の前の人に対する思いやりが欠けてしまうことは、
僕のようにあるようです。
目の前の人の為に何が出来るのか、
そんな答えの一つは、
その人の素晴らしさ目を向けること。
そしてもう一つは、
「生きる希望を育むこと。」
そんな援助の形なのかもしれません。