ピントをあわせて話を聞く

どこに目を向けて話を聞くのか。

これは、とっても大切なことです。

 

どこに目を向けるのかというのは、

相手のどの部分にフォーカスを当てて聴くのか、

ということです。

 

例えば、

「最近は落ち込みがちなんです。」

と相手が語った時に、

「落ち込みがちなんですね。」

とそこにフォーカスを当てて共感的に聞くことも出来ます。

 

一方で、「そうでしたか。「最近は」というと、以前は違ったのですか?」

と落ち込んでない時にフォーカスをして聞く聞き方もあります。

 

また、「そういうご自分に気づいていらっしゃるのですね。」

と伝えて、気づいている自分にフォーカスを合わせてもらう聞き方もあります。

 

このように色んなフォーカスの合わせ方があるのです。

カメラでいうピントの合わせ方といった方がしっくりくる方もいるかもしれませんね。

 

写真を取る時に、景色にピントを合わせるのか、

人物、建物など、どの部分にピントを合わせるかによって、

くっきりするところが違ってきます。

 

話しの聞き方も同じです。

上述したように、どこにピントを合わせて、

どのようにフィードバックをするのかによって、

相手が語ることがかわり、

相手が目を向けるところが変わってくるのです。

 

そうすると、写真と同様に見えてくる世界が変わってくるのです。

 

どうせ見えるのなら、良いところにピントを合わせたいですよね。

暗いところではなく。

 

その為、出来てない所ではなく、出来ているところや例外などにピントを合わせよう。

上手くいっていないことではなく、上手くいっていることへピントを合わせよう。

 

そんなお話の聞き方があります。

「人生まったく上手くいかないんです。」と語る相手に対して、

「本当に全く全部うまくいかないの?」と聞いたり、

「一度でも上手くいった事はありませんか?」

という聞き方です。

 

確かにこの聞き方は、相手に見えてない所に目を向けてくれます。

「上手くいってない」写真には映っていない、

上手くいっている部分を見せてくれますから。

 

でもちょっとリスクもあるのです。

 

それは、本人の写真は「人生まったくうまくいっていない。」写真であり、

それが映っているのです。

 

それを上手くいった事もあるでしょ?

とピントをいきなりずらすと、

その人の世界観が崩れてしまいますし、

この写真見ていたの!?

と相手からしたらなってしまいます。

 

だからまず僕たちがすべきことは、

本人の写真を丁寧にみさせてもらうこと。

本人がそのように見えた、そのように撮れた絵を大切にして、

その写真をそうとったのは、自分の意志なんだろうか?

それともそう撮らざるをえなかったのだろうか?

 

どうしてここにピントがあっているのだろうか?

 

そんなことに思いを馳せて、

相手のその絵を丁寧に見る(聞く)こと。

 

それがピントをずらすよりも最初に僕たちがすべきことだ。

ピントをずらすのは、それからなのだ。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。