個人療法とカップルカウンセリングの類似点

この前、カップルカウンセリングの講義を一日受けてきました。

僕は、個人療法をメインにしているわけではありますが、

たまにカップルで来る方もいるので、

役立つかなと思い受けてきたのです。

 

カップルカウンセリングも家族療法と同じ流れとなりますので、

やっぱりカップルカウンセリングも個人療法と違く、

個人に問題があるとは考えません。

 

家族療法もカップルカウンセリングも、

問題は個人にあるのではなく、

家族(関係性)の機能不全を表しており、

それが立場の弱い人の中に出てくる。

 

その為、個人に問題があるわけではなく、

関係性の悪循環を変えればいいだけだと、

そのように捉えるのです。

 

ここが個人療法と違う点ですね。

個人療法で個人の心理的なパターンや、

感情のわだかまりに焦点を当てて、

関係の改善(自分を含む)を目指すわけですが、

家族療法は、個人の心の癖ではなく、

○○さんとの関係性の作り方や、そのくせ、

ひいては更に大きなシステムである家族との関係のパターンなどの

より大きなシステムを扱うのです。

 

要するに個人システムを扱うのか、家族というシステムを扱うの違いなのです。

 

ここの扱うシステムが違うということは、

選択される技法も変わってくるということです。

 

例えば、個人療法ではラポールという

セラピストとクライアントがお互いに安心できる状態を作ることを重視しますが、

家族療法では、ラポールではなく家族のシステムにセラピストがうまく入る

というジョインニングということを大切にします。

 

ジョインニングは、例えば家族みんなと面接をする際に、

意見を言う時は、父親にみんな目が行き任せていたとすると、

セラピストも意見を聞くときは、まずは父親に意見を聞くといったように

家族のシステムに合わせるということです。

 

個人の枠組み併せて受容して聞いていきますが、

個人を受容すると共に、家族の枠組みも受容していく、

そんなことを家族療法ではしているのです。

 

そしてカップルカウンセリングも家族療法と同じですので、

そういったジョインニングを重要視するそうです。

 

こう考えると難しそう!って感じますよね。

はい、その通りです。難しいのです。(汗)

 

なぜならカップルカウンセリングに来るぐらいですから、

それぞれ主張が違いますから、

こっちを立ててればあっちが立たず…。

そんなことになってしまいます。

 

ですから、最初にこんなことを伝えて開始するそうです。

「私も人間ですから公平には聞けないかもしれませんが、

なるべく公平で中立でいたいと思います。」って。

そもそも中立はありえませんから無理なんですが、

そうあろうとすることと、そういう表明を敢えて二人にするということです。

これを「戦略的中立性」といいます。

 

このように伝えて、どちらか一方に味方するわけではないですよということと、

どちから一方に偏ってしまった際に、

「私も人間ですから、ついつい偏ってしまったのかもしれません。」と、

軌道修正が何も言わない場合と比べてしやすいですよね。

 

このように色々と工夫しながら、それぞれの現実をまずは聞いていきます。

お互いに言いたいことがありますからね。

ただ二人いっぺんに話し始めたり、途中で挟まれると大変ですから、

原則一人一人となります。

 

そして、大抵言っていることがそれぞれ違いますので、

こんなことを伝えて本格的にスタートするようです。

 

それはこんな言葉です。

「お二人がそれぞれ違うことをお話しするかもしれませんが、それぞれの方の考えが活かせるようにこれから話合っていきましょう。」

と。

 

こう考えると、個人療法も家族療法もそうですが、

やはりそれぞれの人の枠組(考え方など)、

システムとしての枠組みを尊重することが基本なのだと、

そのように感じるのでした。

 

僕たちはついつい相手の枠組みを否定してしまう時がありますが、

その枠組みを受け入れ、そして過度に共感して巻き込まれずに、

ある程度その枠組みと距離を取って接する。

 

そんなことがとっても大切なことなのだと、

そんなことを感じた一日でした。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。