カウンセリングは、治療でなく支援

カウンセリングは、治療でなく支援

“あらゆる戦略と同様、<分割>も、

「治療」を行うというコンテクストではなく、

患者を支援するというコンテクストで理解

されなくてはならない。”

※ダン・ショート,ベティ・アリス・エリクソン,ロキサンナ・エリクソン-クライン(浅田 仁子訳)『ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる』(春秋社 2014年)122P”

分割とは、ミルトン・エリクソンが用いたある戦略の事です。

今回はこれを取り上げるわけではないので、

ちょっと省かせて頂きますね。

さて、僕はセラピーを学ぶ中で、

様々な技法を学んできました。

・葛藤を解消する技法

・過去のわだかまり解消する技法

・心の声に寄り添う技法

・問題を整理する技法

・感情を解消する技法

等々、多くの技法を学んできました。

まぁ、すべて使いこなせているかというと、

そうではないのですけれど。(^^;

それはさておき、色々な技法を学んでいると、

「解決」すること、つまり、

問題がなくなることを目指す傾向が強くなってきます。

相手は悩みを「解決」して欲しいのですから、

こちらとしても「解決」しないと!

と思うのは至極当然なことではあります。

医者で言えば、患者が「治療」してくれ!

と来ているわけですから、

「治療」=完治を目指すわけです。

しかし、冒頭の引用から見られるように、

治療というスタンスで、

カウンセリングのどの戦略を使うよりも、

支援という理解のもとで用いること、

支援という文脈のもとで戦略を理解し、

用いていくこと。

これは、とても大きな違いだと実感しています。

支援という文脈で見ていくと、

葛藤を解消する技法も、

互いの多入りする心の意見を受け入れていくプロセス

と見る事も

互いの葛藤を療法とも体験してもらい、

自分で何が大切かを選んでもらうプロセス

と見る事も出来ます。

過去のわだかまりを解消する技法も、

自分の過去の体験と向き合う支援

と捉えることも、

もうあの頃の自分ではなく、成長した自分に気づくプロセス

と捉えることも、

もう痛みを持ち続ける必要はないんだと学び直すプロセス

と捉える事も出来ます。

また、たとえ過去のわだかまりが「解決」しなかったとしても、

あの時に言えなかった言葉を口にしたことだけでも、

支援(援助)として見る事も出来ます。

「解決」を目的としてしまうと、

0か100か、白か黒かになってしまいますが、

「支援」という目的にするとそれが、

10進めばいいし、

グレーでもそれは色が少しでも変わったのだから、

前進である。

と、捉えることもできます。
(もちろん、進まないとわかることもまた支援ですね。)

そして何より、「支援」という文脈で

様々な技法や、聞き方や、関わり方を捉えなおすと、

「解決」ではなく、成長の扉が開かれます。

それは、「解決する為に何が出来るんだろう?」

と捉えるのではなくて、

「目の前の人にどんな”支援”が出来るのだろう?」

「その為に、どんな戦略を用いることが出来るだろう?」

と解決を求めなくり、結果ばかりを見なくなるからです。

すると、関わり方や考え方が変わってくるのです。

僕たちカウンセラーがしているのは、

「支援」なのです。

そして、僕たちが出来る事もまた、

「支援」なのです。

支えて応援する。

あ~、そんなカウンセラーになりたい。(爆)

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。