感情というのは、
本当に生き物のようで、
今怒りが出てきたと思ったら、
次の瞬間不安に転じている。
そんなことが当たり前だ。
だから、
僕たちカウンセラーは、
一挙手一投足を、
見逃さないように前を凝らし、
耳を澄ませ、
体で感じるその感情も大切にしようとする。
そして、
出てきた気持ちに、
クライアントが留まれるように援助をする。
気持ちというのは、
感じていくと静まっていくのだ。
でも、
その感情にとどまってもらうにも、
技術が必要だ。
ただ「その感情を感じてください。」
と相手に伝えてもダメなのだ。
湧き出てきた気持ちに、
その人が一緒に留まれるように援助していくこと。
気持ちにとどまってもらうということは、
その気持ちを大切に感じてあげることであり、
今この瞬間に起きてる自分の気持ちを、
ひいては今のこの瞬間に生きている自分を大切にしてあげることだ。
カウンセリングをしていると、
多くの感情に触れるが、
そこから離れずに、
気持ちを感じてもらう。
湧き出てきた気持ちと一緒にいてもらう。
それは、とても大切な援助になる。
「なんかよくわからないけど涙が出てくる。」
「理由もわからないけれど…。」
「そうですよね。理由がわからず今涙が出てきますよね。
それは当然だと思います。」
その言葉がけは、数多くあるが
「今感じているその気持ちと一緒にいてあげることは出来ますか?」
「今、とても大切な気持ちを感じているように見えます。」
「その気持ちをもう少しだけ感じてあげること出来ますか?」
「今出ている涙をそのまま出させてあげて下さい。沢山我慢してこられたんですから。」
「言葉にしなくて大丈夫です。その気持ちをそのまま感じてあげてください。」
「その気持ちに意識を傾けてみると、何が起こりますか?」
こういったように少しずつ気持ちに留まれるように援助をしていく。
人は気持ちをついつい我慢してしまう。
でも我慢していると上手くいかない時がある。
そんな時は、感情に身を委ねて、
湧き出てくる感情をそのまま、
何もせずにただ一緒にいる時間が必要なのだ。