自分の人生を決めるような大事なことって重いので、

底に沈んでいるんですよね。

それを見つけるには、

どん底まで潜らないと見つからないのです。

今、そういうものを見つけるタイミングなのではないでしょうか。

by 原田 幸治 先生

人生には、底につかないと気づけないことがあります。

 

底に向かっている最中は、

本人として余計に悪くなったように感じ、

苦しみが増してきた感じますが、

その苦しみの強さは順調に進んでいるサインでもあります。

 

僕は、引きこもりの時に「人生の底」に行きつきました。

 

でも、そこへと行くまでには、

長い苦しみの道を通らねばなりませんでした。

 

何となく始めたオンラインゲーム、

でもその裏には、

昔からずっと感じていた働くことへの恐れと、

人生に意味が見いだせず、

逃げたい気持ちの影が潜んでいました。

 

そして、僕は人生から目を背け、

ゲームの世界だけを見つめ、

現実を遮断しました。

 

でも、ゲームをしていても、

一時的には楽しいけれど、

電源を切ると、

自分の心も切れて、

ゲームをしていないとイライラしたり、

働くという言葉を聞くだけで、

胸が苦しくなり、

その度に何度もゲームへと心を向ける日々を送っていました。

 

そこで、父との大喧嘩をし、

母が夜な夜な泣いていることを知り、

姉と喧嘩をして飛び出した時、

姉は僕が自殺をしたと思ったと、

ワンワン泣いていました。

 

それでも、僕の現実は変わりませんでした。

変えることが出来ませんでした。

 

そして、それをかき消すかのように、

さらにどっぷりとネットの世界へと潜っていったのです。

 

でも、さすがにこのままではダメだと、

就活をしてみようと派遣会社に登録に行った時、

キャリアカウンセラーに包み込むように話を聞いて貰い、

ワンワン泣いて気持ちが軽くなり、

この人みたいに誰かの相談になれる人になりたいと、

そう思いつつも、

働くことへの怖さはぬぐえず、

理由をつけては仕事を休み。

半年で辞めて、

付き合っていた彼女とも別れ、

さらにネットの世界にどっぷり潜りました。

 

それ以降家族は何も言わなくなり、

母は自己啓発の本を毎月1冊ずっとくれました。

 

そこで、読むと少し勇気をもらいますが、

それでも現実を変えることが出来ず、

僕はさらに苛立ちを隠すように、

自分の一番奥にある気持ちに背を向けて、

ネットゲームを繰り返していました。

 

そして、人生の底へとつながる日が来ました。

 

それは、チャットで悩み相談をネットゲームの友人からされたことです。

詳細は省きますが、相談をしてくれた友人は、

ネットゲームの世界から現実へと挑戦していきました。

 

でも、僕はというと変わらないまま。

自分の人生を棚に上げたまま。

 

その日から、自分の人生の意味を深く考え始めました。

でも、考えれば考える程苦しく、

今まで感じていなかった気持ちが溢れ出てきます。

 

虚しいし、

苦しい。

 

そして、ついにその苦しさの限界がきた時、

カッターを右手に取りました。

 

そこが僕の人生の底でした。

 

深く深く潜った人生の底でした。

 

最初の言葉を覚えているでしょうか?

 

「自分の人生を決めるような大事なことって、

重いから底に沈んでいるんです。

それを見つけるには、底まで潜らないといけないのです。」

 

そう、

僕の人生を決めるような大事なものは、

重すぎて底に沈んでいました。

 

僕はそれ見つける為に、

僕は底に潜らなければいけなかったのです。

 

苦しみが重なって、

外ばかりを見て、

苦しみから少しでも楽になろうとしていた僕は、

見つめる方向を間違えていたのです。

 

逃げていた苦しい気持ちの一番奥に、

それはあったのです。

 

でも、自分の苦しみだけしか見れていなかったあの時には気づけませんでたし、

準備が出来ていませんでした。

 

家族の苦しみを知り、

親を泣かせ、

それでも前に進めない自分の愚かしさと無力さを知り、

吐くほど泣いたあの時。

 

憧れても、それに近づくことさえ出来ない挫折感を感じて、

逃げたあの時。

 

生きる意味を見い出せない中で、

相談してくれた友人が、

生き生きと外の世界へと出ていく焦りと、

自分の無力感と無価値観を感じたあの日。

 

相談にのったけれど、

現実問題として全く役に立てず、

無力感と自分を棚に上げアドバイスをしまくった自分への罪悪感と、

その友人への申し訳なさ。

 

繰り返し来る苦しみが、

来る度に強くなり、

苦しみが噴き出てきた時、

僕は引きこもった当初は見ることが出来なかった

一番苦しい底にあった気持ちを見つけ、

それを出すことが出来ました。

 

それを嗚咽まじりに出した後、

その底には、

家族の温かい記憶と共に感謝と、

死にたくない。

生きたいと願う心を見つけました。

 

誰かの役にちたい。

必要とされたいと叫ぶ心と出会いました。

 

その時、僕はカウンセラーになると決めました。

 

自分の人生を決めるような、

大事なことって、

重いんです。

 

重いから底にあるんです。

 

カウンセリングをしていると、

本人からすると苦しみが増しているように感じるかもしれないけれど、

カウンセラーからみると、

苦しいだろうけど、

底へと前より近づいているように見える時があります。

 

最初は、見る事が出来なかった

心の一番深い所にあった苦しみが出てきていて、

それに、

その深い所にあった気持ちに気づき始めていると感じる瞬間があります。

 

苦しみが増すのは、苦しい。

 

だけど、

底迄行って手に入れることが出来るものもある。

 

心の底にある”それ”を迎えに行く必要がある時も、

人生には、やはりあるのです。

 

今、もしかしたら最初の頃に気づけなかった

心の奥の奥にあった気持ちに気づいているのはないでしょうか。

最初の頃には、見つめることすらできなかった奥にあった気持ちに、

あなたは、”今”気づいているのではないでしょうか。

それ自体が今、あなたが大事なものを取りに、

深い所に潜っている証だと思うのです。

ただ深く潜っているのではなく、

底にあるものに今あなたは、

気づき始めていると、

そう思うのです。

底にあるものを見るのが怖い時、

一人では難しいと感じる時は、

お話にいらして下さい。

微力ながらお力添えをさせて頂きます。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。