「白黒思考が問題なのではなく、

それが常に起こっていることが問題なんです。」

by原田 幸治先生

カウンセリングでは、見立てというものを行います。

見立てとは、クライアントの援助方針を立てることで、

その過程でどのようなことが困っていて、

だからこそこういったことをしていくという全体の流れを

決めていくのです。

 

この見立ての過程で、

相手の心の癖として「白黒思考」といって、

2分化している思考が問題だと捉えることがありました。

 

この白黒思考とは、

例えばテストで90点をとっても、

結局100点じゃないので、

0点と同じであるとか、

1位になれなかったら、

ビリと同じだといったように、

正解か不正解、

光と影、

正義と悪のように二つだけが存在するという思考です。

 

つまり中間がないのです。

 

その為、極端な思考になりがちです。

 

こういった思考は、

人生を不自由にさせることがあります。

 

例えば、

・仕事で売り上げを上げられなかったから、ダメな人間だ。

・あの人は、目をそらしたから私のことを絶対嫌いだ。

・生徒の一人の成績が上がらないから、ダメな教師だ。

といったようなことが白黒思考にあたります。

 

このような極端な思考は、

結論を急ぎすぎて、

白黒はっきりさせようとする為、

判断が早く、

故に生きづらさを抱えてしまうことがあるのです。

 

以前に白黒思考を持っているクライアントのケースで、

困っていた時にスーパーバイズを受ける迄、

こういう思考というのは、

そもそもが悪いものなのだと、

僕の方も白黒思考にはまっていました。

 

でも、それに気づかずに、

スーパーバイズを受けた時、

冒頭の言葉を先生から言われたのです。

 

そこで、はっとしたのを今でも覚えています。

 

そう、僕たちは何か問題があると、

それ自体がすべて悪いんだと、

考えることがありますが、

そうではないのです。

 

この白黒思考も、

それ自体が問題なのではなく、

それが常に起こっていることが問題なのであり、

白黒思考自体は、

何か物事を決める時に、

有効な場合も多いのです。

 

ですから僕たちは、

相手の問題を捉える時、

冒頭の先生のような柔軟な視点で関わっていくことが

とっても大切なのだと、

心の奥に置いて援助をしていくことも大切だと、

そう感じるのでした。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。