ある心の悩みを抱えた時、
僕たちはその原因をどこかに帰属します。
例えば、
他者の行動に帰属したり、
自分の考え方の癖に帰属したり、
時代や世間に帰属をしたり、
自分のある行動に帰属をしたり。
こうやって悩みを理解しようとします。
例えば、
慣れない仕事のストレスで、
明日の仕事どうしようとか考えることが多くなり、
不安が日に日に強まり、
あまり眠れなくなり、
動機がするようになったとしましょう。
こういった時、
仕事内容が変わったからだとか、
仕事の責任が大きくなかったからだとか、
上司のプレッシャーが強くなったからだとか、
前々から不安に弱い自分が悪いんだとか、
忙しすぎて休む時間がないから余計なこと考えるんだとか、
自分なりに色々なことを思い出しては、
不安と結びつけるようになってしまうことがあります。
すると、
解決しなければいけないことが沢山出てきてしまいますし、
考えが余計にグルグルして苦しくなってしまいます。
でも、その苦しみを理解して何とかしようとして、
原因を探ってしまうことはよくありますし、
物事には原因と結果があると教わって育てられてきてますから、
そのような思考になのは当然です。
ただ、これが自分でも止められなくなってしまう時があるのです。
すると、そのうちそういえば朝起きられなくなったことも不安のせいだ。
そういえば、この前カギを閉め忘れたかなと心配になったことがあった、
やっぱり不安が強くなっているんだ。
良くなってないんだ。
と日常生活のいろんなことまで不安が広がっていってしまうことがあるのです。
そうするともう生きているだけで大変になってしまいます。
でも、冷静に振り返ってみると、
全て不安の要因だと考えていたことが、
実は関係ないことがあります。
例えば、カウンセリングをしていて、
不安症になってから、
夜に何度か起きるようになったと言っていた方がいましたが、
その方は睡眠記録をその症状が出てからつけており、
それに気づいたということでしたが、
そもそも睡眠記録をその前にはつけていませんし、
よくよく聞いていると、
お仕事で残業が多く帰る時間が遅く、
睡眠時間が今よりもかなり短かったとのことです。
つまり、
今は長くなったから途中覚醒が起きるようになった可能性が強くありますし、
さらに年齢的に考えれば、
途中で起きるようになってしまうことは一般的に考えられることです。
また、睡眠記録をつけるようになったからただ目立っただけで、
実は途中で前からも起きていた可能性があります。
その方は、運動をしすぎると、
不安が強くなるということでしたが、
運動をしすぎると、
もともとパニックになったことがあったので、
呼吸の速さや鼓動の速さが、
その時の感覚を思い出して、
心が勘違いをしているだけで、
不安になっているわけではない可能性もあります。
また、朝起きてちょっと不安になることがある。
ということも気になっているようでしたが、
朝起きて今日のスケジュールを考えて、
不安になることは一般的でもあります。
それがかなり強ければ問題となりますが、
そうでもない範囲になってきてるわけですから、
不安が正常の範囲内に戻ってきたとも捉えることが出来ます。
不安は、なくなることはありませんから、
どのように付き合っていくかが大事です。
こういった観点からいうと、
上手に付き合えている範囲の不安をその方は感じていました。
適度に考えを変えることも出来ていましたしね。
さて、長々となぜこの記事を書いているかというと、
僕たちが心の悩みの原因として帰属することは、
必ずしも太く直結しているわけではなく、
関係ないものもあるということです。
ですから援助する時は、
クライアントの語る原因をうのみにせずに、
ニュートラルに捉えていく姿勢と、
必要であれば分割する姿勢が大切です。