相手のリソースに目を向ける言葉がけ

相手からお話を聞いて、

その言葉に対してかける言葉は、

とても大切ですよね。

 

例えば、「辛いんです。」と語る方に、

「辛かったんですね。」

と過去形にして伝え返すのか、

「お辛いんですね」と今の形で伝え返すのか、

「お辛い中でよくやってこられましたね。」とねぎらうのか。

どれを選ぶかによって、

相手が受け取る印象はだいぶ違うのです。

 

このように言葉がけの言葉一つで、

相手に伝わる印象が違うのです。

 

今日は相手の中にあるリソース(長所や特性、関係性などの資源)に目を向けてもらうには、

どのように言葉をかけていけばいいのか?

どのようにすれば相手の心に響く言葉を掛けられるのか?

その一つのスキルをご紹介します。

 

さて、どのようなスキルかというと、

相手に伝える時に主語を「あなた」にします。

 

コミュニケーションを学んだ事がある方は、

主語を「私」にするI  message を聞いた事があるかもしれませんが、

ここでは逆のことをします。

 

例えば、自分が大変でも人を気遣う事ができる人に対して、

「自分が大変でも、人に対して気遣いができる力がある人だなって私は思ったよ。」

とアイメッセージで伝えるのと、

「あなたは自分が大変な時でも、人のことを気遣える力がある人ですね。」

とyou message で伝えるのとでは、

伝えられた側も印象が全く違いますよね。

You  message で伝えられた方が、

よりはっきりと相手に伝わりますし、

相手が自分の中にあるそういったリソース(長所)へ目を向けやすくなるのです。

 

そして「あなた」を主語にする際に、

一つ工夫するポイントがあります。

 

それは、

「あなたは優しい人ですね。」

といったように、

僕たちが「あなた」という言葉を使う時は、

その人全体を指して言葉にしますが、

それだとせっかくのメッセージがその人全体へと向かい、

ぼやけてしまうことがあります。

 

ですから、相手の中にあるリソースへと目を向けてもらう場合は、

「あなたは素敵な優しさを持っていますね。」

といったように、

その人が持っているものや、

その人の中にすでにある部分を表現するとよりいいのです。

 

例えば、

「思いやりがある人だね。」

というその人全体を指す言葉よりも、

「人を思いやれる思慮深さがありますね。」

といったその人の中にある部分へとコミュニケーションを取る。

 

「明るい人だね。」

というその人全体よりも、

「明るさを大切にしてるんだね。」

「その明るさで人をてらせる人だね。」

といったように、それを大切にしている部分や、

大切にできている能力や、

その根底にあるリソースとコミュニケーションを取ってみるのです。

 

そしてあまりこういう型にはめることはすきじゃないのですが…、

例えばこんな表現の型が使えるかと思います。

「あなたは、○○ができる人だね。」

「あなたは、○○する力がある人だね。」

「あなたの○○は、人を○○する力があるね。」

「あなたは、○○を大切にしているんだね。」

「あなたの○○さが、人を◇◇にしているんだね。」

といったように○○にリソースを入れると使いやすいかと思います。

 

勿論、こういった表現で大切になってくるのは、

こういう人とかそういった評価を伝えるのではなく、

◯◯といったリソースがあなたの中にあり、

そこに目を向けてもらうことですから、

決めつけや評価にならないように配慮が必要です。

 

そして、こういった「あなた」を主語にして伝える時は、

言い切ることや自信をもって伝えることも大切です。

 

自信がなく伝えてしまったり、語尾をぼやかしたりすると

メッセージが伝わりづらくなってしまいますからね。

 

さてさて、いかがでしたでしょうか?

あなたがより自分のメッセージを強めたい時や、

相手の中にある長所に目を向けてもらいたい時など、

このスキルを使って見てくださいね。

 

勿論、くれぐれも評価にならないように注意しながらが大切ですよ。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。