先日講義をしていた時のことです。
受講生の方からこんな質問を受けました。
「知的障害を持った方の話を伺う時は、ずっと聞いていていいのでしょうか?」
というとても大切な質問です。
僕たちは傾聴を学ぶ時に気をつけないといけないことがあります。
それは、なんでもかんでも聞いたり、
受け止めたりすることが大切だと勘違いしがちな所です。
当然ですが話を聞く時には、相手の状態に合わせて聞く姿勢を変える必要があるのです。
例えば、相手が心理的に落ちていれば、
問題解決よりもまずは安定感を取り戻してもらうことが大切でしょうし、
相手に自ら考えてもらうような話の聞き方は難しいでしょう。
そういった場合は、援助側(聞き手側)が積極的にねぎらったり、
最初は方向性を示したりすることも大切でしょう。
また、相手が自ら考える力があるのならば、
相手に考えてもらうような自主的な関わり方が大切でしょう。
その場合に前述したように援助者側が積極的にねぎらったり、
方向性を示してしまうとかえって上手くいかないかもしれません。
そして、例えば相手の方が発達障害や何かしらの困難を抱えている場合、
ある程度は援助者側が道を考え示したり、気持ちを汲み取って言葉にして伝えたり、
確認をしたり、心理的教育を行ったりといったように
援助者側が頑張る比率が高くなってきます。
このように、どういった状態にある方を援助をするのかによって、
対応(コミュニケーションの取り方)が変わってくるのです。
その為、話の聞き始めは、目の前の方の心理的エネルギーの高低、
考える力の高低、感情のわだかまり度合いなどを判断して、
関わっていくことが大切なのです。