僕は、クライアントの良くなってきている所を見つけると、
ついつい「大丈夫。よくなっている。」といった類の言葉を言いたくなってしまいます。
「前回できなかった○○が出来るようになっているじゃないですか?すごいですね。」
「何がそれを可能にしたんですか?前回と今回で何が違ったんでしょうか?」
といったことをコミュニケーションレベルで行うことが多いですが、
これをしていると、
時にクライアントが温度差を感じます。
「いや、そうなんだけど…。」
といったように。
こういったことが繰り返されていたので、
先日のスーパーバイズで先生に相談したところ、
こんなフィードバックをしてくれました。
「野川さんがのフィードバックの中には、大丈夫ってニュアンスがありませんか?」
「きっとクラインとはそれを感じ取って、良くはなっているけど大丈夫のレベルまではなっていない。」
「ということを感じているんだと思います。」
「つまり、認識のギャップがあり、フィードバックがうまく届かないのです。」
といったことです。
確かに僕の中では、
「良くなっている」所を見つけると、
”勝手に”大丈夫な感じが出ていました。
それが伝わったのだと思います。
そしてクライアントの現状に対して大丈夫というラベルを付けると、
大丈夫な以上何もできなくなってしまって、
自分の首を絞めてしまうという悪循環が起きている気がします。
ともフィードバックを頂きました。
「確かに…。」
と感じた僕は、どのようにしたらいいのか?
を聞いたところ、
「大丈夫」という枠組みではなく、
順調に進んでいるという、
「進展」という枠組みで関わるのはどうかと言われました。
進展。
つまり、順調に進んでいます。
良くなってきています。
というニュアンスで関わるということです。
すると、順調に進んでいる所を見つけた時に、
大丈夫ではなくて、「目的地へ」と向かって近づいている。
正しい方向へと自分が舵を取っていると捉えられます。
そして、その進展の方向は大丈夫というように100%のものではなく、
途中経過を含みますから、
出来ていなくても、
改善の方向に向かっていればいいわけです。
すると、その順調ポイントも見つけやすくなりますし、
クライアントが自分のどのような行動が上手くいき始めていて、
どのような行動が効果的ではないのかもわかってくる。
さらに、その順調ポイントを見つけることが出来たら、
今までは出来なかった○○が出来ていなかったが、
○○が出来つつある、
いい方向へと進んでいます。
だからこそ、今度は▽▽をしていきましょう。
▽▽をすれば、☆☆のような効果があります。
といったように進展を推し進めることができます。
ただし、航海をイメージしていただくとわかるかと思います。
順調に進んでいると航海において使う時は、
目的地へと向かって滞りなく進めていることを意味しています。
つまり順調ということは、
クライアントのゴール設定が当然含まれていますから、
最低限、当然ではありますが、
ゴールを設定し共有していくこともまた大切なのです。
さて、簡単にまとめますと、
「大丈夫。よくなっている。」という言葉を使った時に、
クライアントと温度差がある時があります。
それはクライアントの大丈夫/良くなっている基準に達していなく、
クライアントがそう思えない時があるからです。
その場合は、大丈夫のかわりに順調に進んでいるよ。
このポイントも通過したじゃないですか。
多くの人はこのポイントを通過するのは○○くらいかかるんですよ。
☆☆というゴールへ向かう為に、
最初の扉を開いて進めることが出来ましたね。
順調にいっていますよ。
進んでいる方向は間違っていないですよと、
僕たちは隣で寄り添い援助することも大切なのだと、
そう強く感じたエピソードでした。
