さて、今日は前回の記事の続きです。

前回は、アドバイスを求められた時の3つの対応を書きましたが、

やはりアドバイスをする時はありますから、

その時にどのように伝えることが効果的か、

もしくはより伝わりやすいかということを今日は書いていきます。

 

「カウンセリングってアドバイスしないんじゃないの?」

と思われる方が多いかと思いますが、

実はすることもあるのですよ。

 

ただ、アドバイスといっても「~して下さい。」といったような、

強い表現で言うことはありませんからね。(汗)

 

あくまでも提案ベースで伝えるのです。

 

さて、では実際にはどのように伝えるのでしょうか?

 

あ、その前に大前提としてアドバイスというのは、

「解決策の提示」ですから、

話をしっかりと受け止めて、

相手を理解した上で行います。

 

しっかり受け止めないままアドバイスをすると、

「ろくにわかってくれないのに、アドバイスだけ言われた。」

「理解されなかった。」

「アドバイスなんて求めてなかった。聞いて欲しかっただけなのに。」

と相手を傷つけてしまうことがありますから、

ちょっと注意が必要です。

 

また、アドバイスをする時は、

ある程度相手の話を具体的に聞いた上で、

相手が苦しいポイントや不器用なポイントを

具体的に目途をつけてから行います。

 

さてさて、ちょっと前置きが長くなりましたが、

ではどのように伝えていけばいいのでしょうか?

枕詞を活用する。

さて、最初に大切になってくることは「枕詞」です。

相手に直接「こうしてみたらいかがですか?」と伝えてもいいのですが、

それがよっぽど相手に適していない限り、

「ん~。でもな~。」と受け止めてもらえません。

 

ですから伝える前にひと工夫が必要です。

 

そこで枕詞の登場です。

 

要するに前置きを入れるのです。

自分の経験ではなく、他人の経験を語る。

例えばこの前置きには、

「あなたと同じように悩んでいた方がいて、その方は○○したらよくなったって言っていたよ。」

人は似たような経験をした人の話やアドバイスは聞く傾向がありますし、

同じような問題を抱えていて解決した人であれば尚更です。

 

ですからそこの心理面を上手に汲んで抵抗を少しでも下げる伝え方です。

曖昧さを用いて抵抗を減らす。

「あなたに当てはまるか当てはまらないかわからないけど…。」

「あなたに役立つか分からないけれど…。」

「上手くいくか、上手くいかないかはわからないけど…。」

この3つは、こうした方がいいよと直接言うと抵抗を生みやすい理由の一つに、

そのアドバイスが個別性を失っているからというものがあります。

 

どういうことかというと、

「こうした方がいいよ。」と人が言う時は、

大体自分の経験から上手くいったことが多いからです。

そうすると人は

「あなたは上手くいったんだろうけど私は違うの…。」

と感じるのです。

また、自分に当てはめてない場合でも、

常識や一般的な手法を伝える場合も同じです。

「そうなんだけど。それが出来ないor上手くいかなくて悩んでいるの…。」

となる場合が多いのです。

 

ですから、ストレートに「こうした方がいいよ。」と伝えるのは、

リスクがあるのです。

 

そこで「当てはまる場合もあるし、当てはまらない場合もある」という曖昧さ

を用いることでこのリスクと抵抗を少しでも少なくする伝え方なのです。

一般的な解決方法を提示する時に、相手の考えを求める。

また、もし一般的に良いとされるやり方をアドバイスする場合は、

「一般的には、○○という悩みは▼▼が起因していて、それを解決するには★★がいいとされています。」

「この考えについてはどう思いますか?ピンときますか?」

といったように、まずは一般論での対応を筋立てて説明します。

その後に相手に考えを求めるのがポイントです。

 

なぜなら一般的な対処法ですから、

相手に当てはまらないこともあるからです。

 

ですからこの一般的な問題を解決する道筋を聞いてみて、

自分に当てはまると思ったのか、

どう考えているのかということを聞いていくのです。

 

それで興味があったり、

当てはまるようだったらそれをしてみるというやり方です。

ただ、これにはある程度その問題を解決する為に専門領域に精通している必要があります。

相手の心の癖に共感しながら、苦しみが減る方向性を示す。

最後はかなり難しいですが、

相手の心の癖による苦しみを汲み、共感しつつ、

その苦しみが減る道筋を示す方向性です。

 

例えばこのように。

「責任を持つ姿勢というのはとても大切ですし、真摯に仕事に向き合っている証拠ですね。

そして、その姿勢の為になんでも自分の責任として仕事に取り組むあまり、

自分が責任がない所の区切りが分からなくなってしまい、

責任を負いすぎてストレスやプレッシャーが強くなり、

仕事に行こうとすると動悸がしたり、

午前中に休むことになったり、

仕事に集中できなくなってしまったことがありましたよね。

○○さんは、仕事にとてもやりがいをもってやっておられましたが、

こういった状況ではなかなか情熱を持つことが出来なく、

自分を責めてしまうのも当然かと思いますし、

やりがいをもってやっていたからこそ、

その苦しみは人一倍強いのだと感じます。

ですからまた仕事に対する情熱を取り戻す為にも、

責任を持つべき所と任せる所を切り分けていくのはいかがでしょうか?

今は、責任を負いすぎて責任を負うべき大切なところで責任を負えなくなってしまっていますから。

特にやりがいをもって取り組んでいた○○において、

大事な場面でちゃんと責任を負いながら仕事に取り組んでいく為にも、

責任を切り分けながら降ろしていくことも覚えていきませんか?」

ちょっと長くなりましたが、

相手のついつい責任を負いすぎて苦しくなるという心の癖に共感しつつ、

それが軽くなる道を示していくという流れです。

 

これはかなり難しいですが、

このように苦しみに共感して、

それが減るように提案をしていくというやり方もあるのです。

 

さて、いかがでしたか?

ちょっと長くなりましたが、

アドバイスをする際の形を3つ書かせていただきました。

 

他にも相手に役立つ情報を提供したりするパターンもありますが、

長くなったので時間があれば、またそのうちに書こうと思います。

 

話が逸れました。

 

兎に角、アドバイスをする時は、

少しでも抵抗が減るようにすることと、

相手に沿ったアドバイスが一番です。

 

また、押し付けではなく提案ベースで伝えるということも大切です。

 

是非意識してみてくださいね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。