コミュニケーションにおいて話し手がする大切な行為は、

当たり前ですが「伝える」という行為です。

 

今日は、この「伝える」という事にフォーカスを絞り、

お話をしていきます。

 

僕たちは、「伝えた」つもりでいても

・伝わってなかったり

・誤解が生じていたり

・うまく伝えた言葉が相手に理解できる形になってなかったり

・伝えるタイミングが悪く伝わっていなかったり

・自分の意図した言葉が伝えた言葉に入ってなかったり

といったような様々な要因があって、

自分が言葉にしたことが相手に「伝わらない」ことがあります。

勿論、上記すべてのことをクリアしたとしても、

意味は伝わったとしても、「伝わっていない」と感じることがあります。

 

それはなぜかというと、

僕たちが「伝わった。」という時は、

伝わった結果として相手が行動を起こしたり、

何か行動を変えることを「伝わった。」と捉えているからです。

 

ただこれは、もう自分の領域の範疇ではありません。

相手がどうするかは、相手の領域になりますから、

過度に伝わることを望み、相手が行動を起こすことを望むと、

自分が苦しくなってきてしまいます。

 

それでは、何もしないのかというとそういうことではありません。

「伝える」ということは、自分の領域の中のことです。

つまり自分でコントロールできる範囲内ですから、

そこに希望があるのです。

 

よくいいますよね。

「自分で出来ることの中でベストを尽くそう。」って。

この言葉と同様に、自分が出来ること(伝える)で

ベストを尽くそうということなのです。

 

僕は、カウンセリングである原田幸治先生から

何度かこういったことを教わってきました。

 

今日は皆さんに原田先生から教わったことを含めて、

どう伝えていくのかを皆さんにもシェアしたいと思います。

 

さてベストを尽くそうにも、

何から始めていいのやら…。

そんな声がしてきそうですので、

今回は知識としての「伝える」ことについて、

まずお話をしていき、次回に「伝わる」ということお話していきます。

その中で、どうベストを尽くしていけるのか。

そんなお話をしていきます。

ではでは、「伝える」上でまず大切なことはこれです。

相手に何を伝えたいのかという自分の気持ちに気づく。

さて、相手に「伝える」上でもとても大切になってくることは、

至極当然のことですが、

自分の伝えたいことや、

自分の気持ちに気づく必要があります。

 

その為、何かを相手に伝える時は、

自分の気持に気づき、

何を伝えたいのかを意識することが大切なのです。

ただ、この最初のプロセスは実はちょっと難しくもあるのです。

 

なぜなら自分が何を本当は伝えたいのか?

それを僕たちは普段意識しないことも多いですし、

それを言葉にしないことも多いからです。

 

例えば、親から「宿題をやったの?」と聞かれた時に、

「今やるよ!」なんて伝えることは多いと思います。

でもこの時、僕たちはすぐにやるからということを

本当は親に伝えたいわけではなく、

例えば

「言われなくても自分でやるから子ども扱いしないで欲しい。」

「何から何まで構わないで欲しい。自分でいつ何をするかくらい自分で決めさせて。」

といったような本当の気持ちがありますが、

それに気づかず「今やるよ!」と怒りだけを伝えてしまう事も多くあります。

 

また、他にも例えば仕事において相談に来てくれた人に対して、

「自分で決めて。」

なんて一見すると冷たいような言葉を伝えることがあるかと思いますが、

この言葉の裏には、

「そういう些細なことも、相談する前にしっかり考えられるようになって欲しい。」

「いつまでも頼らず、自立して欲しい。」

「今は、頼らなくて頑張る時期だから一人で頑張って。ごめんね。」

なんていうときもあるでしょう。

 

このように気持ちに気づいていても、

言葉にしない選択をする時もあります。

それは、言葉にしなくても察して欲しい感づいて欲しい

という期待があるからです。

 

こういったコミュニケーションも大切ではありますが、

言葉にしないと分からない方はいますから、

期待を過度に持ちすぎると誤解が生じた時に、

それが怒りや悲しみに変わり、

関係性が悪くなることがあります。

 

ですから自分の気持ちに気づくとは、

そういった自分の期待や思い、感情、価値観等に気づくということです。

そして気づいたことを言葉にしていく、

それもしっかりと相手に伝わりやすいように。

 

勿論気づいていたとしても、言葉にしないという選択も大切です。

ただ、その時に誤解が生じたり意図が伝わらないことがあるのは、

相手に気づく力がないということもあるでしょうけれど、

それは「伝えていない」自分の責任でもあるのです。

 

ですから気持に気づいたからこそ、

その気持ちをきちんと言葉にするか。

気持ちに気づいたらこそ、

その気持ちを察して欲しくて、

言葉にしないという選択をすることになりますが、

ここでは「伝える」ということを観点にお話していますので、

出来ればどの選択をしたとしても、

いつかその意図を相手に言葉にして頂きたいなって思います。

言わないとわからないことは、案外多いのですから。

 

さてさて、少し長くなりましたが

「気持ちに気づいてきちんと言葉にする。」

これが最初のステップです。

相手に理解できる形に言葉を整える。

さて、最初のステップの「気持ちに気づく」ことができたら、

その気づいた気持ちを、

相手に分かるように言葉に変換する段階が次の段階です。

 

よく相手に何を伝えたいのかが整理できてなくて、

「ごめん。結局言いたいことというのは?」

というようなことを相手から言われてしまうことこともありますが、

これは伝えたい気持ちを整理できてない段階ですので、

この場合は、最初の段階に戻り気持ちに気づき、整理する必要があります。

 

ここでいう相手に伝わりやすいようにということは、

例えば

主語や目的語が抜けていたりして相手に伝わらない

相手の知らない言葉(専門的な言葉等)が多く含まれていて、相手が理解出来ない

アドバイスの形になっており、相手が受け取りづらい

などの場合を指しています。

 

では、例を挙げてみましょう。

「もうそういうこと嫌だからやめてくれる?」
(主語や目的語が含まれていなく、その理由も含まれていない。)

「そこはおして(時間をオーバーする)ほしくないんだよね。」

「もっとスマートやってほしい。」
(表現が抽象的過ぎて伝わらない。)

このように専門用語が入っていたり、

何を指しているかの対象が不明確だったり、

表現が抽象的過ぎると相手に伝わりませんから、

より具体的に伝えたり、主語や目的語を入れたりといったように、

伝えたいことの言葉を改善する必要があるのです。

 

実はこのようなコミュニケーションは、よくあるのです。

ですから、きちんと相手に伝わるような形に直す必要があるのです。

この他にも例えば、

最も伝えたいメッセージまでのプロセスが長すぎてメインメッセージがぼやけたり

結論だけを伝えて、その裏にある理由や思いが抜けていたり

こういった場合も修正する必要があるのです。

 

また、この言葉にする過程で

察してほしいという思いから、

言葉が抽象的になったり、

自分の本当の気持ちをその言葉に含んでいなかったり、

言葉の表現方法がアドバイスになっていたり、

評価になっていたりすると、

相手に伝わりづらくなりますから、

そういった形も相手に伝わりやすいように

工夫していくプロセスも必要となります。

伝えるタイミングを見極める。

では、気持ちに気づいて言葉が出来上がったら、

次はそれを実際に相手に言う段階です。

この言う段階というのは、言うタイミングをはかるということです。

次にその言葉をタイミングを見て、

相手が聞こえるように言うことが大切です。

 

「え?言いましたよね?」という誤解が生じる一つの要因は、

きちんと相手が聞こえていないことです。

また、きちんと相手が聞く状態が整ってないのも、もう一つの要因です。

 

何かを作業をしながらとか、

他の人と話ながらとか、

集中している時などは、

伝えたとしても、

「聞こえてない。」ということがありますし、

相手がきちんと聞く体制が整っていない。

ということがあります。

 

相手がきちんと聞ける状態で、

しっかりと相手に伝わる文章で伝えた時、

初めて相手はあなたの言葉を「理解」できます。

ただ、「理解する」ことと「納得」することは違います。

「理解する」ということは、言葉の内容、

つまりあなたのメッセージが分かったということです。

 

「そういうことを言いたかったんだ。」

と理解した状態といえます。

 

しかし、メッセージを理解したとしても、

その内容に納得するかというとまた別のお話です。

なぜなら「そっか、そういうことが言いたかったんだね。ただ僕はこうした方がいいと思うんだ。」

といったように、理解することと納得することは別な場合がよくあるからです。

こういった場合があるから、「伝える」と「伝わる」は、違うのです。

伝わったとしても、それが納得するとイコールとならないのは、

人それぞれ価値観が違うことと、

感情のわだかまりがあることが関係しています。

 

ただ、それは今回の伝えるということとは別ですので、

また次の機会にお話をしていきますね。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

ちょっと長くなりましたが「伝える」ということを

それこそ皆さんにお伝えしてきました。

 

伝えるというのは、自分の領域の範囲内のこと。

つまり、自分が出来る範囲であり、

自分でコントロールできる範囲であるということです。

 

その範囲で精いっぱい伝えてみるわけですが、

それにはこれまでご説明したようなプロセスが大切です。

 

まず最初は「気持ちに気づく」、

そして気持ちに気づいたら

その気持ちを「相手に分かり易い言葉に変換する」

最後にその言葉を「タイミングを見て言う」ということです。

 

それぞれの段階で工夫が出来ますから、

それぞれの段階で自分が伝えたいことが、

相手に伝わるように努めていく。

 

それでも「伝わらない」ことは当然起きてきますが、

我慢し続けたり、言わないで後悔したり、

早い段階で諦めるよりは、

自分の気持に踏ん切りがつようになるのでは?

なんて思います。

 

長々最後までお付き合い頂きありがとうございました。

次回は、「伝わる」といことについてお話をしていきます。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。