カウンセリングをしていて、

援助側から見ると前よりすごく変わってきているのですが、

クライアントの評価としてはあまり変わっていない。

というような場合が間々あります。

 

例えばこのような場面です。

 

「いやぁ、最近調子が良くなくって、やっぱりうつ病がよくなっていない気がするんです。」

「この前もちょっとのことで落ち込んでしまいましたし…。」

 

こういったように”変わっていない”ことや、

”悪化している”というような側面を語るクライアントさんは多くいます。

 

それも当然です。

 

うつ病は一種の状態依存ですから、

その状態に引っ張られて、

悪い状態が気になりますからね。

 

ただ、これはうつ病だけでなく、

悩んでいる時というのは、

そもそも肯定的な側面に目が行きづらく、

否定的な側面ばかりが目に付くものです。

 

ですから、こういった時に援助側出来ることは、

クライアントが語ることに付き合いつつ、

出来ていることや変化していることなどを

取り上げて伝え返すことです。

 

例えば…。

「そうですよね。ちょっとのことで落ち込んでしまったかもしれませんが、

以前ほどずっと落ち込まなくなってきましたね。

それはとても大切なことだと思います。」

 

「調子が良くないと正直に言えるようになったことがまず大切なのではないでしょうか。

以前は調子が悪い時は、それすら言える状態ではなかったのですから。」

 

といったように出来ている部分や、

変わりつつある部分を取り上げて伝え返すことで、

クライアントに自分が出来ている所や、

変わりつつあるところも同時に見てもらえるように、

天秤に乗せていくのです。

 

すると、少しずつマイナスの方向に傾いてきた秤が上向いてくる。

 

そんなことがあるのです。

 

ただ、こういったコミュニケーションをしても、

「嫌でもそういった部分はいいんだけど、

結局仕事に行こうとすると動機がするし…。」

といったようなことを語る方もいますが、

その対処はまた次の機会にお伝えしていきます。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。