鬱状態に陥ると、
体のレベルで、
脱力感や、
体が重い感じ、
頭が働かずぼーっとした感じや、
食欲不振・増大
精力減退などの症状が出てきます。
こういった症状に引っ張られて、
思考がさらに悪い方向へと向かいます。
でも、ご本人はそれが鬱のせいではなく、
自分の責任であると考えている人が殆どです。
というのも、
やる気が起きないとか、
考えることが出来ないとか、
そういったことは目に見えないからこそ、
やる気の問題だとか、
自分のパーソナリティや心の問題だと帰属しがちだからです。
こういった場合に、
ご本人にそれはうつが原因でねと、
説明して理解してくれる場合もありますが、
そうではない場合もあります。
その場合、
こういった質問で気づきに繋がり、
うつと自分を切り分けられる時があります。
「いつもそんなように”かなり悪い方に”考える方でしたか?」
「それとも最近そうなってきましたか?」
という質問です。
いつもの自分はこんなにも悪い方向へと考えていたのか?
と、少し振り返ってもらうのです。
そしてこのような質問をすると、
「そうですね。前から自分を責めてました。」
といったようなことを言う方が必ずいらっしゃいますが、
その際もめげずに質問を重ねていきます。
「そういった責める部分をお持ちだったんですね。
でも、最近それがかなりひどくなってきていませんか?」
「勿論以前もご自分を責めていたでしょうけれど、
今ほど責めてはいなかったんじゃないですか?」
こういった質問を繰り返すと、
大抵の場合は、
「まぁ確かに言われてみれば、前は今ほどまでは責めていなかったです。」
というYESが取れますので、その後に
「そうですよね。それはですね。
Aさんの責任ではなくて、鬱の症状として表れているんです。
だからいつもよりも責めすぎちゃったり、
落ち込んじゃったりするのは、
Aさんの心が弱いからではなく、うつのせいなんです。」
というように、
うつ病とご本人のパーソナリティを切り分けて、
うつ病を外在化して対処していくという方向性もあるのです。
また、症状である以上、
うつ病が改善するまで続きますので、
ご本人に理解をしていただく必要もありますし、
ご家族にも理解してもらうことが助けになる場合もあります。
症状ということはつまり、
風邪であれば咳が出たり、
熱が出たりするようなものと同じということです。
鬱になると、
熱が出る代わりに自分を過度に責めて落ち込ませ、
気分がかなり落ち込む症状が出ます。
咳を出す代わりに、
やる気を体から出させて、
行動する力を奪い、
無気力な気持ちを出す症状が出てきます。
目には見えないけれど、
うつ病は、”病”である以上、
症状を出させてくるのです。
でも、それが目に見えないので厄介なのです。
ただ、このように本人や周りの人が”病”としてみることが出来れば、
話は逸れますが、少し世界は優しくなると思うのでした。