「最近なんか調子がいいんです。」
とカウンセリングの場面で相手が語ってくれることが間々あります。
その時に「そうなんですか!いい調子ですね。」
という伝える選択肢もありまし、
「良いですね!」とだけ伝えてその話が終わりになってしまうこともあります。
でも、上手くいっているということはとても重要な情報ですから、
もうちょっと突っ込んで聞いた方がいい時があります。
その際の質問は解決志向アプローチの質問が役に立ちます。
例えば、
「そうですか!何をしたのが効果がよかったんですか?」
と相手が何か調子が良くなることをしているという前提で聞いていくこともできます。
なぜ相手がよくなることをしたという前提がつくかというと、
解決志向アプローチでは、相手は解決する力を必ず持っていると信じているからです。
だからこそ、相手がよくなるようなことをしたはずだという前提で聞くのです。
それで例えば、本人がしたことが特に思い当たらない場合は、
「いつもと違う出来事とか、周りの人の対応がちょっと違ったとかありませんでしたか?」
というように、いつもと違っている変化を聞いていくこともできます。
この質問をする前提は先程と違い、
変化には、解決のカギが含まれていますから、
周辺での例外を聞いていくことで、
援助につなげていく為です。
他にも、
「いつ頃から、あれ?ちょっと調子がいいかもという最初の変化に気づきましたか?」
という変わり始めた変化点を聞いていくこともできます。
そうすることで、キッカケのできごとを思い出してもらって、
その前後の変化を聞いていきます。
クライアントは、何となく変わったことを把握していることが多いですが、
それを具体的に思い出せるように援助をすることと、
変わり始めたということは、
今までと違うパターンの対処をしているかもしれませんし、
であればそれを続けてもらうという選択肢が出てきます。
そしてまたちょっと違った方向性ですが、
「そのように調子が良くなってくると、日々の生活で張りが出てきたりとか、何か変わってくるようなことが多いんですが、以前と違いどんなことが変わってきていますか?」
といったようなことも聞くことが出来ます。
変化がどのように波及していっているのかを聞いていくのです。
何故かというと、一つの行動が変わっていけば、
それが肯定的な変化の波となって、
その人の他の部分や他の人にも肯定的な影響を与えている可能性があるからです。
そういった変わってきていることに目を向けてもらい、
悪循環を断っていきながら、
調子の良さが影響して、
少しずつ変わってきている”小さな違い”を、
日々の生活でDo more 、
つまりうまくいっていることをもっとしてもらう
という方向性で援助をしていくこともできますし、
それにより良循環を作っていくこともできます。
このように「最近調子がいいんです。」といった一言から、
様々に展開をさせることが出来ます。
ただ、こういった質問自体が重要なわけではなく、
質問をする視点が大事なのだと思います。
・相手は解決する力を持っており、どんな状況でも対処行動をして頑張っている。
・クライアントは、既に問題に対処をしている。
・変化は絶えず起きている。だからこそをそれを見つけるのだという視点。
・問題が起きている時ではなく、起きてない時や上手くいっている時に何をしているかが大切である。
・人は変わっているんだ。それを見つけて伸ばしていくんだという信念。
こういった視点や考え方を身に付けることの方が、
質問よりもずっと大事です。
なぜならそう見えないと、
そのように心から考えられないと、
それは単なる質問の技術になってしまい、
次の展開も技術的に覚えないといけなくなってしまいますし、
次の続かず柔軟に対応できません。
何よりも、
そういう相手を信じる姿勢というのは、
相手に伝わりますから、
心がこもった質問でないと、
自分が信じる姿勢がないと、
その先の援助が上手くいかなくなってしまうのです。
ですから、技術には在り方が必要であり、
在り方を形にするには技術が必要なのであり、
僕たちは両方をバランスよく身に付けていくことが大切なのです。
結局質問のテクニックの話じゃなくなってしまいましたね。(汗)
僕自身への自戒も込めての記事でしたが、お許しくださいね。