ある本を読んだ時に、
このようなことが書いてありました。
対人援助には、大きく分けて二つのサービスがあり、
1つは問題予防サービス。
もう一つは、解決を進めるサービスです。
問題予防サービスとは、
問題をまた起きないように援助をしていくということです。
つまり、
問題がなぜ起きたのか、
何が原因だったのか?
ということを聞いていき、
原因とされるものを突き止めていきます。
それで、もうそのようなことが起きないように対処策を立てていく。
これが問題予防のサービスです。
そして、もう二つ目が「解決を進めるサービス」です。
これは、解決に役立つ情報を通じて、
今起きている状況に対処し、解決を進めるサービスです。
つまり、問題が起きている時は、
問題の原因を聞いたりすることよりも、
解決に役立つ情報を収集して、
対処をすることが先決であるということです。
誰かが交通事故にあった時に、
「何が原因だったんですか?」
と問題の原因を聞くよりも、
”今”双方の車に乗っている方たちは、
どのような状況なのか、
車を移動できる人はいるのか?
歩ける状況なのか?
動いても大丈夫なのか?
周囲の交通状況は大丈夫か?
二次被害は起きないか?
などの解決を進めていく為の情報を把握して、
今何がどのような対応が必要なのかを判断します。
そして救急車を呼んだり、
警察を呼んだり、
乗員のケアをしたりと対処していきます。
このように対人援助には、
大きく分けて二つの方向性があり、
起こってしまったことに対しては、
問題予防サービスではなく、
解決を進めるサービスが大切です。
また、こと心の問題に関しては、
個人の精神内界の要因だけではなく、
家族だったり、
社会情勢だったり、
仕事環境だったり、
ご本人の身体的な要因だったりと、
様々な要因が関わっている為に、
原因を一つの特定することが難しく、
片っ端から対処していくのは、
ちょっと難しい。
だからこそ、今起きている悩みに関しては、
解決を進める方向性での対応が大切です。
なぜならば、もう悩みが起きているからです。
長くなりましたが、
というような趣旨のことが本に書いてあって、
なるほどと感じたと共に、
どっちの視点でも解決することがある為、
なんとも言えない部分もあるなとも感じました。
問題の原因とされるものをクライアントと共有して、
それを解決していくという観点で問題が解決されることもあります。
古典的な心理カウンセリングの多くは、
この原理で原因論にのっとり援助を行っており、
成果を出してきました。
勿論解決を志向する観点のカウンセリングも、
成果を出してきました。
つまり、どちらの視点も大切なのです。
ここで大切なのは、
変化した時に”何が起きたのか?”だと思うのです。
問題の原因を突き止めて、
それをイメージでやり直したり、
現実の世界で行動を通して、
再学習を促したりするやり方もありますし、
それが功を奏することもあります。
この時に、何が起きたのかが大切なのだと思います。
問題の原因を突き止めるという文脈で、
古典的なセラピーを捉えるのではなく、
原因論に則った仕組みや理論はわきに置いて捉えてみると、
結局は「リフレーミング」が起きていることがわかりますし、
過去に出来なかったことや、
言えなかった言葉を口にすることで、
自分に対する自信が高まり、
さらにこれまでつかえていた感情が、
カタルシスによってとけていき、
行動に繋がりやすくなったことも起きています。
そして解釈に希望を見い出した方もいます。
また、こういった原因論とは別に、
人は経験を通して数々の学びをしており、
それによって対処方法を身に付けて今を生きています。
そういった観点から言うと、
例えば、考え方の癖が心のテーマに影響を与えていることもありますし、
自分の気持ちを言うのを遠慮してしまう癖がある方もいます。
こういったものは心の癖であり、
経験を通して、
ある状況に対処する為に身に付けていったものです。
そして悩む時は、当時は上手くいっていた対処方法が、
成長するにつれてそれだけでは上手くいかなくなった時であることも多いのです。
こういった経験という観点も「原因」と捉えるならば、
原因となりますが、
これはただの反応パターンとして身に付けたものであり、
それが出来た要因というものはあります。
その要因を知ることが役に立たないかというと、
そんなことはありません。
その要因を知れば、背景が見えてきますし、
その苦労をねぎらいやすくもなり、
その人の全体の成長プロセスも理解しやすくなります。
すると援助もしやすくなるのです。
さて、ちょっと長くなってしまいましたね。
問題か解決かという話は、
よく話題に上がりますが、
その二分化の視点だけではなく、
心の悩みには色んなことが関わってきていますから、
広い視点で相手の悩みを捉えつつ、
クライアントさんにとって有効なアプローチが出来れば、
それが一番なのだと感じます。
大変偉そうなことを書いてしまいましたが、
自分で読み返してみると、
バランスよくなんて書いているけれど僕は解決よりですね。(爆)
すみませんでした!