勇気づけの言葉

人は変わっていきますし、

変わっていることを見つけていくと、

「変わっている実感を持って欲しい。」

そんな思いが頭をよぎり、

勇気づけの言葉を掛けたくなります。

 

そしてそんな時に、

僕は一つのパターンとして次のような伝え方をします。

「以前は、そういう風に冷静に判断できませんでしたよね!すごいじゃないですか!」

といったように、

驚きを込めて伝えることが僕はよくあるのです。

 

でも、この言葉もうまく機能しないことがあります。

だからこそ、

最近この言葉の掛け方のバリエーションを考えています。

 

例えば、

「そういう場面で、何かが○○さんをいつもよりも冷静さを持って

行動することを可能にしているようですが、

何がそれを可能にしているのでしょうか?」

と伝えて、ご本人にその力が内在化していて、

その冷静さを支えるリソースを聞く伝え方もあります。

 

また、

「以前だったら、飛び込んでいた場面でどのようにして冷静さを保てたのですか?」

と聞くこともできますし、

シンプルに「どうやってその冷静さを持てたのですか?」

と聞くこともできます。

 

すると、如何に自分がその冷静さを持てたかを語ってくれるでしょう。

そうすると、その語りの中にある

”自らの中にそれが出来る力がある。”

”環境要因や他者の助けを力に変える力がある。”

といった前提に少しずつ気づけるかもしれませんし、

誰かに強いられたのではなく、

自分でやったのだという実感が持てるかもしれません。

 

はたまた、

「その場の気持ちだけを重要視することなく、

冷静な選択が出来たのはどのようなことのおかげなんでしょうか?」

といったように直接その冷静な選択が出来たことの裏にあるリソースを聞くこともできます。

 

このように、ご本人に語ってもらうという方向性は、

案外に大切だなと感じますし、

着目する点(良くなっている所)が同じでも、

言葉がけ次第では、

相手から引き出される反応もかなり変わってきます。

 

僕は変わっている所を見つけると、

最初の例の他にも、

「そういうように冷静に判断が出来たのは、今まで○○に取り組んできたからですよね。」

というような言い方をすることもよくありました。

 

これは、結局評価的なコメントになってしまっていますし、

本来その○○に取り組んできたことというのは、

クライアントが語るべきものだなとも振り返って感じます。

 

カウンセラーから”指摘”されたわけではなく、

自らが”気づく”ということが大切ですから、

言葉がけも出来れば、

そういった”気づける”方向性で伝えることが出来たらいいですよね。

 

ですから最近そんなことを意識しながら、

逐語録を振り返り、

言葉がけを改善しようと日々励んでいます。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。