fight,flight反応

私たちには、fight・flight反応というストレス反応が、

急なストレスにさらされた時に起こることがあります。

 

これは日本語で、闘争逃避反応といって、

過度なストレスにさらされた時に、

人は闘うか、逃げるかの反応を示すというもので、

人間に誰しも備わっているストレス反応であり、

こういった反応が備わっている為、

僕たちは生きていくことができるのです。

 

”人も動物”ですから、

他の動物と同じように

何か脅威にさらされた時に、

そういった動物的な部分が反応し、

自分を守る為に闘ったり、

自分を守る為に逃げたりすることがあるのです。

 

そして僕たちは、

こういったfight・flight反応を仕事の場面や、

私生活で過度なストレスにさらされた時に示すことがあります。

 

例えば、

人からいちゃもんをつけられたりして怒ることも闘争反応です。

上司に仕事で怒られて、それがかなり堪えて上司のことを考えるだけで、

嫌な感じがしたり、

引いては思い出すだけで動悸がしたり

といった反応も逃避反応です。

 

少し長くなりましたが、

今日はこの人に備わっている動物的な逃避反応に関して

少しお話をしていくと共に、

心理援助者としてどのような援助が出来るのかを

お話をしていきます。

逃避反応の意味と対処方法

カウンセリングをしていると、

色々と嫌なことがあって例えば仕事にいこうとすると動悸がする。

といったこともありますが、これも逃避反応の一つです。

 

そして、こういった逃避反応は正常なストレス反応であり、

人の動物的な側面が出ていて、

脅威を避けて自分の安全を確保しようとしてくれる

そんな心の動きなのです。

 

ただ、そういった正常な反応でありますが、

僕たちはそういった反応(今回は動悸)に対して、

やはりまだ準備が出来ていないからだ、

まだダメなのだ…。

といったように否定的な意味づけをしてしまうことが間々あります。

 

そうすると、余計にそういった反応を避けるようになり、

避けた結果として、安心したりホッとしたりしますから、

そういった安心感が報酬となり、

回避するという行動を強化することになってしまいます。

 

するとすると、余計にそういった出来事を避けるようになり、

改善が遅くなってしまうという悪循環があるのです。

 

ですからそういった悪循環を断つために、

暴露療法と呼ばれる療法では、

敢えてそういった動悸や嫌な感じがする出来事や、

物などの刺激に段階的にさらすことで、

そういった刺激に慣れていってもらうといったことで、

その悪循環を断ち切っていったりします。

 

ただ、今回はそのお話しではなく、

そういった悪循環になる時に、

僕たちはその嫌な感じや、

嫌な気持ちを過度に感じすぎてしまいがちで、

そういった気持ちに巻き込まれてしまう事がありますが、

どのようにそういった時に対処ができるのか

といったことを今回はお話をしていきます。

 

ではどのように対処していくのかというと、

そういった気持ちと距離を取ることがキーポイントになります。

 

気持と距離を取るということはどういうことかというと、

自分を客観視するということです。

 

客観的に捉えることが出来ず、

主観的にそういった嫌な感じなどを体験してしまう為、

僕たちはそういった嫌な気持ちを感じすぎてしまい、

逃避反応が起きた時にうまく対処ができないのです。

逃避反応の対処は知的に理解することから。

ではどのようにしたら自分を客観視できるのでしょうか?

その一つの方法をご紹介しますが、

これは僕の先生である原田先生から教わったやり方です。

どのようなやり方かというと、

過度にストレスにさらされ逃避反応が起きる前に、

逃避反応はどのようなものかを理解し、

起きている最中も知的に理解することで対処するやり方です。

 

では、まずなぜ逃避反応を理解することが大切かというと、

僕たちはどうして自分が今そういった状態になっているのか、

その理由が理解が出来ないでいると余計恐怖を抱くからです。

 

例えば、体調が崩れて原因がよく分からずにいると不安ですが、

病院にいって医者から「風邪」ですねと言われれば安心しますよね。

 

このように自分の状態に対して理解が出来ると、

僕たちは”安心”するものなのです。

 

さらに、今の自分の状態は何もおかしいわけではなく、

正常なストレス反応であるとわかれば、

気持ちはさらに落ち着きますよね。

 

僕たちは状況が分からないと、

勝手にマイナスに解釈したりしがちですから、

正しく理解すれば、そういったことも起きにくいのです。

 

また、知的に自分の状態を理解したり、

理解しようとする取り組みをすると、

知的理解が働き、自分の状態に対して客観的に捉えられるようにもなります。

 

ここがポイントです。

 

動悸がしたり、嫌な感じに巻き込まれるのは、

その状態を主観的に体験しすぎてしまうからであり、

自分の状態を正しく認識できていなく、

その状態に対して客観的になれていないからです。

 

ですから、知的な理解を通して客観的に自分の状態を捉えることです。

 

また、自分という全体がおかしいわけではなく、

自分の動物的な部分が、以前の状態を覚えていて、

うわーっとなって、またならないかな?大丈夫かな?

と心配してくれている状態なのです。

 

ということは、それ以外の自分の他の部分は心のどこかで

大丈夫であるとわかっているということです。

 

このように自分の動物的な部分と知的な部分を分けることも、

こういった知識の心理的な教育をする上でとても大切なポイントです。

 

これを説明するには、

馬に乗っているイメージをしてもらうとわかりやすいかと思います。

僕たちは馬の上にのって手綱を持っている人です。

 

動悸がしてうわーっとなってしまったり、

嫌な感じがして今にも逃げ出したくなるのは、

馬になってしまっている状態ですので、

もう一度上に乗る必要があるのです。

 

そして馬の上に乗って、

「大丈夫だよ。命が危ないわけじゃないから。」

となだめてあげることが大切なのです。

 

具体的には、事前にこういった情報を理解した上で、

まずは知的に今の状態を理解する為にも、

例えば、「大丈夫。命が危険にさらされたわけじゃないんだ。」

「仕事にまたチャレンジしようとしているんだから、こういった心臓がバクバクして当然だ。」

と自分の状態を受け入れつつ、先程説明した馬をなだめるように、

自分の頭の中で言い聞かせてあげる。

 

「体の一部が昔のことを思い出して心配してくれるんだ。」

といったように自分の頭の中で言い聞かせてあげる。

 

それによって知的な部分を働かせてもらい、

馬になってしまうような悪循環から抜けてもらう。

 

そのような援助もあるのです。

 

また、今後同じようなことが出てきた場合に、

こういった理解が出来るようになると、

少しずつ色々なことに対応が出来るようになるのです。

 

ただ、もし現実の場面でこういった関わり方をする場合は、

この他にも気を付けることがいろいろとありますし、

相手が援助を求めていて、

契約が取れるという前提がありますので、

こういったような関わり方をする場合は、

専門的なトレーニングを積んでからにしてくださいね。

 

ここでこういったように、

自分の状態を知的に正しく理解する手助けも、

とても大切な援助になるのですよといった意味でこの記事を書かせて頂きました。

 

少しでも参考になれば幸いです。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。