クライアントをどのように捉えるのかというのは、

当然その後の援助の方向性を決めていきます。

 

問題だと捉えるのか、

背景を考えると仕方がないことだと捉えるのかで、

援助の方針というのは大きく変わってくる気が最近しています。

 

どいうことかといいますと、

例えば「自分の気持ちを話すことが出来ない。」という主訴を持つ

クライアントがあなたのもとに来談してきたとしましょう。

 

それで、その気持ちを伝えられないのが問題だと捉えれば、

それを改善する方向性で援助が進みますし、

そもそもそれを問題だと捉えていますから、

意見を言えないのがダメなのだと、

そのような捉え方になります。

 

そうすると、

意見を言えない”クライアント”を問題だと捉えてしまいます。

すると、援助が上手くいかないことがあります。

 

その理由は、簡単です。

 

クライアントを否定的に捉えていることと、

そういう目線で接してきた周りの方が、

上手くいかなかったらこそ、

クライアントは相談しに来てくれたからです。

 

一方で、「背景を考えると仕方がない」と捉えるということは、

意見を言えないことを問題として捉えるのではなく、

「しょうがなかったのだ。」というニュアンスで捉えるということです。

 

何がしょうがなかったのかというと、

「意見を言えないのも、

これこれこういう事情や人生の背景を加味すると、無理もないよな。

そういうことをする機会に恵まれなかったし、

自分を大事にする為にはそうやる必要があったのだろう。」

といったように、

相手の経験や背景を加味して、

ご本人の責任ではなかったのだ。

勿論他の誰かの責任でも。

 

このように捉えることが出来るか、

というのはとっても大切だと感じていますし、

援助の成否を分ける1つの要素にもなりえる気がしています。

 

後者の「仕方がない。」という視点で相手を捉えられてば、

より思いやりを持って、

相手を責めることなどなく、

一緒に頑張っていきましょうね。

というようなスタンスで関われますし、

まずは大きなことに取り組む前に、

こっちの小さいことからゆっくりやっていきましょうね。

といったように援助のハードルを下げて関わることもできますし、

少しでも改善が見れれば、

背景を考えると頑張っているなと捉えることもできます。

 

また、このような「仕方ない。」という視点で関わると、

保証というコミュニケーションが増えてきます。

 

それは

「あなたのせいではなく、一般的に言ってもそうするか仕方がなかったのだ。」

というように相手の現状を責めるのではなく、

保証するコミュニケーションが増えてきます。

 

すると、クライアントの自責も結果的に減るかもしれませんし、

心理的な負担をも減っていくかもしれません。

 

このように「問題」と捉えるか「仕方なかったのだ」と捉えるかで、

援助の方向性は大きく変わってくるように感じます。

 

ただ、後者の「仕方がなかった。」という視点を持つには、

相手を非言語聞く力や、捉える観察力や、

相手の人生の背景に思いを馳せる想像力や、

共感力が必要になってきますので、

一筋縄ではいきません。

 

でも、やはり僕はそれでも後者の視点で相手を見れるようになりたいと、

そのように思うのでした。

 

その為、僕自身もいまだトレーニング中なのです。

頑張っていきましょう!

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。