「影響を与えないということはあり得ない。だとするとどのような影響をこのカップルに与えればいい?」
この問いカップルカウンセリングの講義で講師の方が言っていた言葉です。
これは、とても大切な問いですよね。
カウンセリングをする。
誰かの相談にのる。
そうやって誰かの援助をするということは、
誰かと関わることです。
それは、
個人と個人との関わりかもしれませんし、
個人と多人数かもしれません。
いずれにせよ二者間以上の方が関わるわけですので、
その時点でお互いに相互作用が生まれます。
するとそれは、互いに影響し合う人間同士のシステムとなるわけです。
そして、システムである以上お互いの心に様々な影響を与え合っています。
だから誰かを援助する際は、援助側の言語や非言語なども含めて、
いろんな影響を相手に与えていることを自覚することが大切なのです。
冒頭の言葉は、そんな大切さを僕たちに思い出させてくれます。
では、あなたは相手にどのような影響を与えたいでしょうか?
きっとどうせ与えるのなら、肯定的な影響を与えたいのではないでしょうか。
でもいきなりそういった肯定的な影響を与えるのは、
難しいかもしれません。
肯定的な影響を与えるというのは、
案外ハードルが高いものですからね。
そんな時はカウンセリングをする際に、
たまに聞くこんな言葉を思い出して頂くといいかと思います。
「一番最初に誰かの相談にのる時は、相手を落ち込ませないだけでもまずは十分。」
という言葉です。
本当に誰かのカウンセリングをするのが初めてといったカウンセラーの方に対して、
こんな言葉を掛けているのをたまに耳します。
そう、まず最初は無事終える。
落ち込ませない。
酷くしない。
少なくとも最低限悪い影響は与えない。
そんなことが実は大切だったりするのです。
僕たちは「良くしよう。楽にしてあげよう。」
そんな思いにつかまって、その気持ちが空回りし、
相手を落ち込ませてしまうことも間々ありますから、
初めて心理相談にのる時は、
こういった「最低限悪影響は与えない。落ち込ませない。」
そんなことを心掛けてみるのもいいんじゃないかなと、
それが出来ただけでも本当に初回は十分に○だと思うのでした。
