傷ついた心を聴く前に知るべき5つの事。

傷ついた心を聴く前に知るべき5つの事。

人生には上手くいかない時があるもので、

人から酷いことを言われたり、

暴力を振るわれてしまったり…、

『傷つく』ことがどうしてもあります。

そんな傷ついた心を持った方を目の当たりにすると、

僕たちはどうしようもなく立ちすくみ、

無力感を感じてしまったり、

どうしようもできない自分を責めたり、

一向に前を向かない相手をみて、

ついついイライラしてしまったり、

アドバイスばかりしてしまい、

さらに落ち込ませてしまったりすることって、

時にありますよね。

さて、そんな時僕たちはどう接したらいいのでしょうか?

僕たちはどうやってそんな方の傍で、

受け止めることができるでしょうか。

それには、まず「傷つき」という

とても複雑な心模様を理解することが大切です。

傷ついた心は、いろんな気持ちが混じっているのです。

「傷ついたんだね。辛かったね。」

その一言で片付けられることではなく、

その傷ついた心の裏には、

こんな気持ちが隠れています。

1.ショック状態による悲しみ。

その一つは、悲しみです。

急に酷いことを言われたり、過度なストレスが心にかかると、

心はショック状態となり、動転してしまうこともあります。

そして、それを心が何とかしようとして涙を流させてくれます。

2.寂しい気持ち。

これは、酷いことを言われたけれど、

やっぱり寂しい気持ちです。

寂しい気持ちは、大切な人との繋がりを思い出させてくれます。

誰かと触れ合いたい、繋がっていたい。

そんな気持ちを寂しさは僕たちに感じさせてくれます。

あんなに好きだったのに、酷いことを言われたのに、

傷ついたのに寂しいのです。

それは僕たちは知っているからです。

その人と一緒にいて、

どんなに安心したか、

どんなに落ち着いたか、

どんなに幸せだったかを僕たちの心は知っているからです。

だから、心は不安定になった気持ちを少しでも、

少しでも安定させて、あなたが楽になるように、

僕たちに繋がりを感じさせようとしてくれます。

僕たちは、誰かといることで、

誰かと繋がっていると感じていることで、

自分という存在を受け止め、認める事が出来ます。

傷ついた状態というのは、酷いことを言われたり、

されたことで、その存在がぐらついている状態ともいえます。

いわば緊急事態です。

だから、誰かに受け止めてもらって、

誰かとのつながりを感じて、

少しでも落ち着きたいのです。

酷いことを言われたり、

深く傷ついた直後に、

自暴自棄になって、

誰でもいいから受け止めてくれる人を、

温もりを感じさせてくれる人へと向かってしまう

なんてこともありますが、

それは、自分という存在を受け止めることができず、

誰かとのつながりを感じて、

少しでも落ち着きたいという心の表れなのです。

だからそういう方がいたとしても、

どうか責めないで下さい。

「最低だ。」と罵って、余計に傷つけないで。

本人は自分なりになんとかその寂しさを埋めようと、

必死なのですから。

3.怒る気持ち。

酷いことを言われたり、された時。

僕たちは悲しくもなりますが、

同時に怒ってもいます。

「なんでそんなこと言われないといけないの!」

「なんでお前にそんなことされなきゃいけないんだ!」

「もっと言い方があったんじゃないの!私だってさ!」

というように、して欲しくないことをされた相手に対して、

ふざけんな!という怒りが湧いてきます。

そう僕たちは、傷ついて悲しんでもいますが、

怒ってもいるのです。

そりゃそうなのです。

不当な扱いを受けたり、

自分の人格や存在を否定されるようなことを、

そんな扱いをされる筋合いはないですし、

自分を守るエネルギーが怒りですから、

怒りが湧き上がってきて当然なのです。

4.諦めさせる気持ち。

怒りや悲しみ、寂しさが出てきていても、

「もうしょうがないじゃないか。」

「そんな奴のことほっとこうよ。」

「きっとそういう人だったんだよ。」

というように、諦めさせる気持ちが出て来て、

それぞれの気持ちに対して蓋をしようとします。

何であんなこと言われないといけないの!

という怒りが出ても、

ま~でもさ、そんなこと言ってもしょうがないじゃん。

というようなに、諦めさせようとするのです。

諦めさせようとする気持ちは、

僕たちに前を向いて欲しいのです。

顔を少しでも上げてほしいのです。

悲しみに暮れないように、

怒りに飲み込まれないように、

少しでも、その苦しみを和らげようと、

僕たちに語り掛けているのです。

「しょうがないよ。」と囁きながら、

その心の奥にある色んな気持ちを感じすぎて、

苦しまないように。

5.関係を戻そうとする気持ち

酷いことをされて、言われたとしても、

「でもあの時は私も悪かったから、あの人だって…。」

というような気持ちが出て来て、

元の関係に戻そうとする気持ちも湧き上がってきます。

根底にあるのは、寂しさと、

傷ついたとしても残る相手への好意です。

そういった気持ちが「もう一度」と、

気持ちを向けさせるのです。

スパっと諦められればいいけれど、

そうもいかないのは、

どんなことをされても、

それほどまでに好意を抱けた、

気持ちを向けられた、

気持ちを向けている自分がそこにいるからです。

そんな自分はとっても大切です。

そんな自分をダメだと否定せずに、

その人がどうとかではなく、

それほどの気持ちを持てた、

持っている自分を大切にしたいですね。

確かに傷ついた。

でも、それでもその気持ちは変わらずにあるのですから。

それほど好きになれた、

好意を抱けた自分をどうか誇って下さい。

まとめ

さて、ちょっと長くなりましたが、

このように傷ついた心の裏には、

いろんな気持ちがあるのです。

だから僕たちは、

悲しいし、寂しいと思って、

酷いことをされたけれども、

やっぱり会いたいと思うのです。

でも、ひどい仕打ちに対して、

「あれはないよね!」と怒りもするのです。

そして、諦めようとするのです。

「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか。」と。

でもでも、

「そんなこと分かっている。」

「でもやっぱり、私は好きなんだ。」

と、関係を戻したい気持ちも出てくるのだ。

諦めたい気持ちが強く出る時も、

悲しみや、寂しさが強く出る時も、

怒りが強く出る時も、

関係を戻したい気持ちが強く出ることもあるのです。

だから、

悲しみたい時は、

悲しいんで、如何に大切だったかを感じよう。

なんで私だけこんなに悲しんでるだと怒りに気づいたら、

自分の為に怒ってやろう。

傷つくべきはお前だ!って怒ってやろう。

寂しい時は、

寂しがって、思い出に一緒に浸ろう。

怒りが湧き上がってきたら、

大声を上げよう。

ふざけんな!って怒ってやろう。

それでも、もう取り返しがつかない、

取り戻せないことに気づいてしまったら、

思いっきり悲しんでやろう。

でも、もうしょうがないんだ…。

そんなこといってもしょうがない。

分かっているんだ。

って諦めさせる気持ちが出て来たら、

前を向かせようとするその気持ちを、

少しでも楽になって欲しい願いに気づいてやろう。

「ありがとう。」って言ってやろう。

自分にありがとう。って言ってやろう。

傍にいる僕たちにできることは少ない。

傷ついた心の裏には、

いろんな気持がある。

どんな気持ちも悪くない。

だから、僕たちに出来るのは、

精一杯その人が自分の気持ちを感じれるように、

自分を感じれるように、一緒にいることだ。

僕たちに人を癒すことはできない。

癒しは、その人の内側から来るものだから。

だから、僕たちにできるのは、

評価せず、その時々に移り変わるその気持ちと、

一緒に流れることくらいなのだ。

「でも、諦めなきゃって。」

言われたら、

「そうだよね。そういう気持ちもあるよね。

そういう分かっている気持ちにもあなたは気づいているんだね。」

って今出てきたその気持ちに声を掛けよう。

「そう。でもね。こんなこと言ったら変だけど、

やっぱり寂しいの…。あんなこと言う人じゃなかったの…。」

そんな気持ちが出て来たら、

「そうだよね、あなたわかっているものね。

そんなに酷いことを言うのは、彼の一部であって、

彼にはもっと素敵な所が沢山あるって。

だからこそ、寂しいよね。寂しくて当然だよ。

そういう所、あなたらしいよね。」

って”その今”とコミュニケーションをしていこう。

僕たちにできることは、

きっとそのくらいだ。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。