みんなベストを尽くしている。

そのように相手を信頼できる、

人を信頼できる力って、

とっても大切。

 

だけど、僕はこれがまだまだまだ足りないなと、

先日改めて感じました。

 

そのクライアントは、

周りが気になってしまって、

ついつい自分の仕事以外のことも引き受けたり、

やりすぎたりしてしまう所があるのです。

 

そして、話をする時は、

こういうことがあって、

どうしても気になってしまって、

それで自分としてはこうして、

それで周りの人は…。

 

といったように、

やっぱり気になってしまうんです。

どうしても気になってしまうということを、

事細かに話してくれます。

 

それも当たり前です。

クライアントというのは、

自分が気になって何とかしたいことを話してくれますから、

会話の中心もそのような流れになるのも当然なのです。

 

でも、頭ではそういったことがわかっていても、

そういった話をずっとされると、

心中で「またか…。変わっていないな…。」

という囁きが聞こえて、

「だからこうした方がいい。」

というようなことをいいたくなってしまいます。

 

しかし、こういった発想が出るのは、

良くなってきている所、

頑張っている所を

カウンセラー側(僕)が見つけられていなく、

目の前の人を信頼出来ていない未熟さ故です。

 

だから、変わっていないと感じ、

ベストを尽くしていないと感じてしまうのです。

 

ただ、その時の僕は、

どうしてもクライアントがベストを尽くしていると思えなくなってしまった。

 

しかし、そんな時にクライアントからこんな言葉が出てきたのでした。

「やりすぎているなと思って、それをメモして、

自分でここはやりすぎだったなと、

振り返るようにしているんです。」

 

そう、クライアントは頑張っていた。

そして、僕は信じていなかった。

 

みんなベストを尽くしている。

 

同じに見えても、

努力が失敗を迎えていたとしても、

ただ、耐えているように見えても、

変わっていないように見えても。

 

努力をすることは、

頑張る事であり、

勇気を出す事であり、

挑戦することであり、

怖さと向かい合うこと。

ダメかもしれないという頭をもたげてくる思いと闘うこと。

今を抜け出そうとすること。

 

失敗する。

 

それは、戦ったものだけが知る世界。

怖かったけど、挑戦した。

今を抜け出そうと、心の叫びを聞いたということ。

不確定な世界に飛び出す勇気をもったということ。

失敗する恐怖に勝てたこと。

体裁を気にしないでいられたこと。

 

耐える。

 

それは、沢山の苦しみを押し殺し、

押し込めること。

心の奥の奥の方から湧き上がってくる叫びを、

ぐっとこらえて、押し込めること。

それだけで、どれだけのエネルギーがいるかは、

ダイエットの時に空腹に耐えられずに、

何かを食べてしまった人はすぐにわかるだろう。

 

変わっていないということ。

 

現状を保つということがいかに大変か。

不安定な日々の中、

心がこれ以上ひどくならないように、

現状を維持することがいかに大変か。

 

この世の中で、

フリーで働いている人が収入を維持するということや、

歳をとってから体重を維持することがいかに大変か

想像すればすぐにわかるはずです。

 

そう、とっても大変で、

何かをしていない、

もしくは敢えて何もしていないなど、

何かの努力がその影にはある。

 

頑張っていないと、

そう判断する時、

もう一度僕はこういったことに思いを馳せて、

もう一度、目の前の人を見る必要があるのだと、

そう反省しました。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。