「場面の明確化」という技術がカウンセリングでは、

よく用いられます。

 

これは、話を具体的に聞いていく技術であり、

以前の記事でも書いた相手の心理的現実を明らかにする為に

とても役立ちます。

 

心理的相談では、悩み事がよく抽象的に進む場合がありますから、

より具体的に聞いていくことがとても大切になるのです。

場面の明確化とは?

例えば、「最近辛いんです…。」と相談に来た方がいたとしましょう。

この場合は、最近どんな”出来事”が辛かったのかを聞きますよね。

「お辛いと思いますが、最近どういった事が辛かったのか?出来事を教えて頂けますか?」と。

 

このように抽象的な話は、具体的な出来事レベルに落として話を聞く事が大切なのです。

なぜなら出来事レベルに落とすと、

より具体的に相談者の行動・言動や関わる人がとった行動・言動が見えてくるからです。

 

すると相談者のコミュニケーションパターンや、

物事の捉え方の癖や、

何が具体的に辛いと感じたのかが見えてくるのです。

 

そうして初めて援助の方向性が見えてくるのです。

 

これが話が抽象的なまま、

例えば「そうですか。仕事が辛いんですか。分かります。大変ですよね仕事って。」

といったように仕事のレベルまでしか明確化が出来ていないと、

結局抽象的なまま話が進み援助が上手くいきません。

というのも「仕事のどんなことが、どのように辛いのか。」が見えてないからです。

 

ですからこの場合も「仕事ので最近辛かった場面や出来事を教えて頂けますか?」と、

場面の明確化をすることが援助においては大切なのです。

 

ただ具体的に思い出せば思い出すほど、

相手に心理的な負担を掛けます。

これは、以前に書いた「質問する時に注意すべき視点」で詳しく説明していますので、

よかったらそちらを読んでみて下さいね。

 

さてさて、話を戻しますと質問は心理的負担を相手にかけますから、

場面の明確化をする時にも、心理的なケア(共感や受容・ねぎらい)をしながら

少しずつしていく必要があるのです。

 

このようにカウンセリングでは、日常会話と違い

話を具体的に聞いていく明確化のスキルを用いてることで、

相手の心の癖や、コミュニケーションの癖、

どういったことが具体的に苦しみを生んでいるのかを

理解する一つのヒントにしているのです。

抽象的な話に明確化は有効です。

これは、抽象的な話に終始している方にも役立ちます。

例えば、「自己肯定感が低いんです。」とか、

「自分に軸がないんです。」と相談に来る方が間々いますが、

そもそも自己肯定感は目に見えないですし、

自分の軸というのもそうです。

 

この二つは、定義があいまいなものですから

人それぞれ何が自己肯定感が低いと呼んでいるのか、

自分に軸がないという事は何を指しているのかが違うのです。

 

ですから、

どういったことを自己肯定感が低い、

自分に軸がないと呼んでいるのか、

つまりどういった出来事をそれらに紐づけているのか、

それをまずは理解する必要あるのです。

 

その為、この場合でも「場面の明確化」のスキルを用います。

 

例えば、

「具体的に自己肯定感が低いと感じた出来事を教えて頂けますか?」

「最近、自分に軸がないなと感じた場面を教えて頂けますか?」

といったように、どのような出来事かを聞いていきます。

 

すると、その出来事は自己肯定感が低いわけではなく、

コミュニケーションの癖として遠慮しがちな所が関係しているかもしれません。

または、相手から酷いことを言われてしまったのは、

本来相手にせいであり、相手に責任があるのに、

過度に自分のせいだと捉えてしまっていて、

責任の切り分けのトレーニングの必要があるかもしれません。

 

自分に軸がないのではなく、

過度にストレスにさらされた時に、

寂しくなって人に頼ることは、

誰にでも起きる事であり、

頼るということ誰にも許された手段であると

ただ知らないのかもしれません。

 

自分の中にある軸(価値観等)に気づいてないのかもしれません。

 

軸がないのではなく、自分のことを過小評価する癖があり、

自分をしっかりと正当に評価することが必要かもしれません。

 

このように具体的にしていくと、

それぞれの自己肯定感の低さや軸がないといったことが、

具体的にどのようなことを指しているのかが明らかになってくるのです。

 

ただ、明らかになったその時に

「それは自己肯定感が低いんじゃないくて○○ですよ。」

と伝えてたとしてもあまり上手くいきません。

僕も何度もカウンセリング中にやってしまったことがありますが。(汗

 

というのも、本人の中ではそれが自己肯定感が低いということであり、

それが自分の軸がないということを意味しているわけですから、

それを違いますよと指摘することは、

相手の世界観に反してしまうからです。

 

ですから、大抵の場合は「いやでも、やっぱり自己肯定感が低いんです…。」

と拒否されてしまいます。

 

そうならない為には、相手の現実に即してコミュニケーションをしていくことが大切です。

 

例えば

「相手に酷いことを言われても上手く自分の意見を言えなかったのは、

あなたは自己評価が低いからだとお考えですが、

何も言えなかった本当の原因は、自己肯定感が低いからでしょうか?

それとももしかしたら、頭に浮かんでいたのに上手く表現できなかったのは、

コミュニケーションの技術として

自分の気持を表現できなかった可能性も考えられますが、

どちらの比率が高そうでしょうか?」

といったように、相手に相手に考えてもらったり、

「もしあなたが自己肯定感が高かったらどう対応していましたか?」

といったように、本人の中の自己肯定感が高い行動を答えてもらい、

それに即して援助を少しずつ進めていくなどがあります。

 

また、こういった自己肯定感が低いというこや、

自分の中に軸がないと相談に来る方の中には、

上手くいかない理由をその二つにすべて紐づけている方がいます。

 

ですからそういった場合は、

そもそも自己肯定感が低いと感じる理由は何のか?

自分の軸がないと感じる理由は何なのか?

を質問して、その理由を出してもらいます。

 

すると、それぞれ上手くいかない理由は、

自分に軸がないわけではなく、

自己肯定感が低いわけでもなく、

他の理由である場合が見えてきますから、

より援助がしやすくなるのです。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

日常会話とカウンセリングの会話は異なりますが、

具体的に聞いていく、場面を聞いていくというスキルは、

どのコミュニケーションでも役立ちます。

 

勿論、その際に相手の心理的な負担を少しでも減らすために、

ねぎらい・共感・受容を織り交ぜて聴いていく。

 

そして、相手の具体的な痛みが見えて来たら、

それを否定することなく、

受容しつつ相手の現実に即して援助を進めていく。

 

僕もまだまだな部分がありますが、

こんな援助が出来たら理想ですね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。
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