「ラポール」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、心理学の用語で次のような状態を指します。
”お互いに安心して感情のやり取りが出来る状態”です。
こういった状態ですと、
人は心を開いていますから、
安心して自分の本音だったり、
気持ちだったり思いだったりを話すことが出来ます。
また”お互いに”ということですから、
話を聞く側も安心して自分の気持ちを表現したりなど、
互いに心の交流ができる状態のことを”ラポール”というのです。
そして、こういう状態になると相手のことを”信頼”出来ると感じることが多い為、
”信頼関係”とラポールは直訳されることが多いですが、
厳密にいうと先に説明したように
”互いに安心して感情のやり取りが出来る状態”
のことを指しますのでちょっと違うのです。
さてさて、このラポールを相手と築くことは、
コミュニケーションにおいて大切になってくるのですが、
その理由の一つは相手が安心してお話ができる状態でないと、
僕たちが主に聞きたい相手の本音や気持ちだったりが出てこないのです。
ですから、ラポールを築くことが大切なのです。
では、どのようにラポールを築くことが出来るのかというと、
一般的には”共通点の多さ”が大事とされています。
皆さんも経験があると思いますが、
話をするまでお互い知らない人でも、
同じ地元だったり、
学校が一緒だったりすると、
なぜだか急に親近感を感じませんか?
それは何故かというと、
人というのは自分と似たところがある人に対して、
なぜだか親近感を感じやすいからです。
例えば趣味が同じとか、
同じような経験をしてきたとか、
考え方が似ているとか、
価値観が一緒とか、
そういった共通点が多ければ多いほど、
なぜだか人は親近感を感じやすいのです。
ですから、ラポールを築く上では、
共通点を探す、もしくは作るということが大切とされていて、
共通点を作り安心してもらうといった観点で、
次のような3つのテクニックがラポールを築く上では大切だとされているものがあります。
それが「バックトラッキング・ミラーリング・ペーシング」です。
バックトラッキングとは、オウム返しのことです。
相手の語尾や単語などの相手の言葉をそのまま伝え返すことです。
つまり相手と同じ言葉を話すということですね。
ミラーリングとは、日本語に訳すと「鏡うつし」です。
ですから、相手の動作やしぐさを自分が鏡になったかのように真似ていくというスキルです。
例えば、カップルとか仲がいい関係においては、
同じタイミングで飲み物を飲んだり、
同じタイミングで膝を組み替えたり、
といったような同調現象がよく起こります。
それを意図的に相手をマネすることで作り、
信頼関係を築こうとするテクニックです。
ただ、これはあからさまにやると逆に信頼関係を失います。汗
ペーシングというのは、
ここでの記事でも何度も登場している技術ですが、
「相手と非言語を合わせる」テクニックです。
非言語とは、例えば声のトーン・テンポ・リズム・表情・呼吸等です。
そうすることで、非言語レベルで同調をして、
相手と非言語レベルで共通点を作り安心して話をしてもらったりすることで、
ラポールを築く一助になることがあります。
このように3つのテクニックがラポールを築く上では、
有効ですよということが紹介されることが多いようです。
ただ、バックトラッキングが上手くなったとしても、
ミラーリングが上手くなったとしても、
ラポールが築けるかはまた別問題な場合が多くあります。
※ペーシングは、確かにラポールを築く一助になりえまが。
というのも、
ラポールに必要なことは、
そういったことよりも
基本的な聞く態度の方だからです。
例えば、相手の話を否定的したりせずに、
まずは受け止めるという「受容」の姿勢。
相手の話をただ聞くだけではなく、
相手の話を共感的に聞いて寄り添う姿勢。
といったような基本的な姿勢の方が、
ミラーリング・バックトラッキングよりも重要です。
ですから、そういったテクニックに行く前に、
話を聞く基本的な態度と姿勢を身に付けることの方が大切なのです。
ジョイニングとラポールはどう違うの?
最後にちょっとした豆知識です。
ラポールと似た言葉の中に「ジョイニング」という言葉があります。
これは、家族療法で使われる言葉で、
「相手のシステムに参加する(join)」ことを指しています。
ラポールは、
どちらかというと個人間で安心して相互交流を目指すものですが、
ジョインニングは、
例えば家族といったような組織であり、
1つのシステムに対して参加する際に、
そのシステムに溶け込むことを目指すものです。
ですから例えば家族面談などがあった時に、
その家族が父から話を最初に切り出すのであれば、
カウンセラーも父から話を先に聞くようにしますし、
意見を求める時に母にみんな目を向けて、
母が逸れに促されるように話すなら、
意見を聞く時は母親にまずは聞く。
といったような家族という一つのシステムには、
そういった見えないルールがありますから、
そういったルールにうまくjoinする
というものが「ジョイニング」です。
なぜこんなことをするかというと、
まずは”郷に入っては郷に従え”だからです。
例えば極端な話、
アメリカの文化を全く知らない状態で、
こちらが妙に畏まってカウンセリングを始めても
失礼なことをしてしまったりで上手くいかないですよね。
家族というのも一つの文化でありますから、
その文化に合わせていく。
つまり参加していくということをしていくのです。
但し、ジョイニングは僕は出来ません。汗
個人療法の専門なので。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
今日は、ラポールのお話をさせて頂きました。
ラポールは、カウンセリングもそうですが、
コミュニケーション全般で大切ですから、
是非あなたが関わる方とラポールを築いて頂いて、
より良いコミュニケーションを行ってくださいね。