心理カウンセリングをする時に、見るべきポイントは沢山ありますが、ここでは私がこれまで教わってきたものを皆さんにもご紹介しようと思います。

さて、心理カウンセリングをする時にクライアントさんのどのような点を捉えるかというのは、援助においてとても大切な点です。

なぜならどのような点を捉えられるかによって、見立てが決まってくるからです。

見立てとは治療方針の事です。

心理カウンセリングは医療モデルを参考にしていますので、お医者さんがするようにどのような要因が関係してそうなのかを見立てるわけです。

ただお医者さんと違うのは、医療行為ではないので治療は出来ない為、治療のかわりに心の悩みの解決と解消を目指すべく見立てをしていくのです。

解決と解消の違いに関しては、こちらの記事をご覧くださいね。

またお医者さんの治療と違うもう一つの点は、お医者さんが病因を探して外側から治療するのに対して、心理カウンセリングは、原因を求めるのではなく要因を探すとともに、その人の長所や能力面、感情面、自尊心、自己効力感の高低、家族歴などのその人ならではの特性を捉えます。

こころは体と違って明確に病変が見えませんから、今の目の前に心の歪みとして表れている悩みが、どのような要因が関わってそうなのかを捉えようとするのです。

あるカウンセリングの本にこんな言葉が書いてありました。

「治療は外側から起こる介入である。癒しはその人の心の内部から湧き出てくるものである。」

うろ覚えではありますが、このようなことを言っていました。

この言葉はどのようなことを指すかをちょっと例を挙げて説明しましょう。

例えば、友だちから酷いことを言われ傷つき、かっとなって大喧嘩をしてしまい、そのはずみで転んでしまって手を折ってしまった人がいたとしましょう。

手の骨折は病院は、病院で治療することが出来ます。

ただ、その時に酷いことを言われて傷つけられた心は、骨折のように治療はできず癒えることはありません。

その傷を癒していくには、心と向き合い癒しが必要となります。

この癒しは、色々な方向性で起こることが考えられます。

癒しの例

・友達に心からそのことを受け止めてもらい、自分は一人じゃないって心の中で感じ、安心感を感じた。

・振り返ってみて、そんなことを言う人とこれ以上付き合う必要はないと気づいた。今まで勇気を持てなかったが、自分にとって大切な環境は自分で選んでいいと気づき、勇気を持てた。

・その後友人から、実は酷いことを言った人は妹を最近亡くし、心のバランスを著しく崩していて、彼も同じように傷ついていたことを知った。あの人も同じように傷ついていたのだと、思いやりの気持ちが湧いてきて許せるようになった。

・とことん泣いて、わめいて気づいたのは、自分がその人のことを本当に心から友だちだと感じていたこと、だからこそこんなにも傷ついたこと。それほど思いを向けて来て、大切な時間も過ごしてきたこと。傷ついた気持ちだけではなく、その心の底に合った感謝や繋がりなどの大切な気持ちも感じられるようになった。

このように、色々な方向性の癒しが考えられますが、それはすべて自分の内側から湧き上がってくるのです。

友だちから話をされたり、受け止められたりすることは確かにそれは外側からの介入ではありますが、それをどう受け取るかは、本人次第であり、受け取った結果自分の中で気づきが生まれたり、繋がりを感じて安心して自分を受け止められるようになったりするのは、やはり本人の心の内側から溢れてくるのです。

このように癒しは誰かが与えてくれるものではなく、自分の中から起こるのです。

治療はここでいう医療行為ですが、癒しはここでいう心理カウンセリングです。

その為、心理カウンセリングでは、外側からこうした方がいいとかアドバイス(介入)は極力せずに、その人の心の内部から癒しが沸き出て自ら癒せるように援助をしていくのです。
(”極力”というのは、クライアントの状態によってアドバイスや心理教育を行うことがあるからです。)

その為には、目の前に相談に来てくれた方の特性(その人ならではのもの)を捉えることが大切なのです。

その特性を捉えた上ですることが見立てなのですよという説明をしたかったのですが、長くなりすぎましたね。失礼いたしました。(汗)

では、ようやく本題です。

見立てに大切な視点

ではどのように相手を見立てていくのでしょうか。

相手を見立てていくにはある程度視点がないと見立てることはできませんから、その視点をできるだけ多くお伝えしていきます。

1.感情の身体的苦しさ

感情は、怒り・悲しみ・虚しさ・孤独感・自責感などです。

ここで一般的に言うマイナス感情ばかり挙げているのは、悩み相談においてはそういった感情が多いからです。

さて、こういった感情をなぜ一番初めに見るかというと、感情は体感覚に表れ僕たちを苦しめるからです。

例えば怒りは、お腹がぐつぐつした感じや、むかむかした感覚、胃がキリキリしたような感覚。

悲しみは、胸がきゅ~っと締め付けられるような感覚、胸がぽっかりしたような感覚といったように、感情は身体感覚として表れてきますから、感情が強く出ていると身体的に苦しさが伴なうのです。

その感情が強く出ているために、身体的な苦しみも強く伴っている場合は、怒りが収まらない、悲しくて涙が止まらない…といったような症状として表れます。

この状態ではカウンセリングは出来ませんから、まずは感情のケアが最優先されるわけです。

なぜカウンセリングが出来ないかというと、詳しくは「カウンセリングですることはたった二つ」の記事に書かせて頂きましたが、感情のわだかまりが強すぎると、冷静にも考えられませんし、その感情の状態に心が引っ張られて、頭が混乱してしまい支離滅裂な状態になってしまいますし、前を向こうにもその感情のくるしみをまずは何とかしないと、前に進めないからです。

だから悩み相談においては、まずは相手の感情の身体的な苦しさの強さを判断することが優先されるのです。

また、感情は一つだけが出ているわけではなく、複数の感情が同時に出ていますので、どの気持ちが強く表れて、感情的苦しみを最も生み出しているのかを判断して、目下その気持ちに対して少しでも楽になるように援助をしていくことが大切になります。

2.能力面を見立てる。

その次に大切になってくることは、相手の能力面を見立てる事です。

相手の能力面には、次の大きく分けて3つの種類があります。

1.コミュニケーション力

これは、相手がこれまで身につけてきたコミュニケーションパターンです。

このコミュニケーションパターンが苦しみを生んでいる場合がありますから、このコミュニケーション力を捉えることも大切なのです。

コミュニケーションパターンは、それぞれこまで生きていく過程で身につけてきたものですから、人の数ほどありますが、例えば次のようなものがあります。

・自分の意見を我慢するorストレートに言う傾向がある。

・自分の意見より相手・自分の意見を大切にする傾向がある。

・察して欲しい気持ちが強く、言葉足らず。

・自分の気持を言葉にすることが苦手。

・要点を話すことが苦手て、長いコミュニケーションになりがち。

・過度に一般化したり、評価的な要素が強いコミュニケーションを行う。etc.

このように色々なコミュニケーションパターンが考えられますが、例えば一番最初の自分の意見を我慢する傾向が強かった場合は、自分だけが我慢していると不満が強い怒りや、言えないでいる自分への自責感や、分かってもらえない悲しみにかわることが考えられます。

この場合は、そのパターン自体を学び直していかないと結局自分の意見を言えず、不満がたまり色々な感情が再び溜まってしまうことがあるのです。

ですから、感情的な苦しさを解消したとしても、こういったコミュニケーションパターン自体を改善・再学習していかないと、結局また悩んでしまうということがあるのです。

勿論、自分の意見を伝える時に過去の体験が関係していて過度に怖くなっり悲しくなったりする場合や、自分の意見なんて価値がないという信念が関係している場合などがありますから、その際はコミュニケーション面としての対処ではなく、認知面や感情面としての対処をすることになります。

余談ですが、対人関係療法では、このうつ病の方独特の自分の意見を我慢することや、言えないなどのコミュニケーションパターンに心理的問題の焦点を絞り、そのコミュニケーションをパターンを改善することで、対人関係の関係性の改善が行われ、心理的な苦しみが減ると同時に、新しいコミュニケーションスキルが身に付くことで、再発の予防にもつなげるという手法が取られることもあります。

対人関係療法に関しては、色々な本がありますので読んでみて下さいね。

2.意志の力

この意志の力とは、自分で何かを選び取る力であり、自分が主体性を持って自分をコントロールしようとし、主体的に人生を生きようとする態度であり、姿勢であり、力です。

この意志の力が育まれていないと、自分が今の人生を生きている実感がなく、主体性が失われていきますから、過度に他責的にならざるをえなかったり、自分で何かを選択したり、選んだりすることができなくなってしまったり、自分の感情や行動面に関してもある程度コントロールすることが出来るという実感も少ない為、自分の感情に過度に圧倒されてしまったり、感情や欲求のまま行動してしまい結果として苦しくなってしまうということも起きてきます。

その為、相談の場面では相手の意志の力を捉えることも大切なのです。

例えば、意志のトレーニングとしてこれまで選択をあまりしてこなかった方には、敢えてどのようにしたいですか?という質問や、あなたはそうしたいと思ったんですねと、相手の語尾をしたいにかえてバックトラッキングをしたりします。

3.認知の力

認知とは相手がこの現実世界をどのように受け止めているかの枠組みであり、物事の捉え方です。

僕たちは、これまで生きていく中でいろいろな物事の認知的枠組みを獲得してきました。

男は泣いてはならない。

人には優しくしなければいけない。

人を頼ってはいけない。

日本人はお淑やかだ。

○○人は○○だ。

自分は○○な人間だ。

といったように色々な枠組みを学び、また、自ら身につけてきました。

この認知的枠組みのお陰で、僕たちは色々な物事に対してパターンに当てはめて理解することができ、逐一覚えておかなくても、日々起こる出来事に対して反応が出来て、物事を効率よく吸収することが出来ています。

ただ、このように役立つ一面がある一方で、この認知的枠組みが僕たちを苦しめる事があります。

例えば、あの人のあの目つきは、私が嫌いだからあのように見るのだと、ただ目が悪いからどの人に対しても目を細めてしまうからなのに、その一つのことに過度の反応をして、「あの人は私が嫌いだ。あの人は嫌いな人をにらむ嫌な奴だ。」といったように、過度に一般化した認知の枠組みを作ってしまって、その認知の枠組み故にその相手に過剰反応して、自分を苦しめてしまったり…。

人には優しくしなければいけないという信念が強すぎる場合は、優しくできなかった場合は自分を責めて苦しむことになってしまったり…。

私には価値がないという信念を信じて、友だちに予定があったにも関わらず、遊ぼうと誘って断られた事さえ、その「私には価値がない」という信念に結び付けて理解してしまい、「やっぱり私は価値がない人間だから断られるのだ。」と感じて、落ち込んでしまうなんてことにもなってしまったりといったように、認知が平均よりも大きくゆがんでしまっている為に、悩んでしまうということがあるのです。

その為、悩み相談の際は、相手の認知的枠組みの癖も捉えることが大切なのです。

なぜなら今説明したように、認知が感情へと大きな影響を与えているからです。

ですから、感情的なわだかまりを解消(例えば受け止めたり、共感したり、ねぎらったり)しても、その感情を生み出していた認知がそのままですと、同じような感情がまた溜まってしまうことがあるのです。

そしてこの認知的枠組みの癖は、相手の話す言葉に出てきますから、それに気づくことも大切なのです。

また、会話で気づく事がなかなか困難な場合もありますから、極端な認知が悩みと関係してそうだなと判断した場合は、認知行動療の技法を用いて記入課題などをしてもらうことになります。

認知行動療法は、この認知の歪みを修正する為に、認知療法の技法を用いて自分の頭の中の思考をチェックして、その自動的に浮かんでくる考えと、その考えを生み出しているスキーマという信念・価値観を修正する取り組みを行うと同時に、その修正した新しい認知が定着するように行動療法の技法を用いたりと、認知面と行動面の両方から取り組む療法です。

3. 学習してきたパターン(こころの癖)

ここでいう再学習とは、これまでにその方が身につけてきた心理的な反応パターンを学び直すということを指します。

多くの人は、小さい頃などに学習した(上手くいった)パターン等を無自覚に用いています。

例えば怒られたらはぐらかすことでしのいできた場合、大人になって怒られてもすぐおちゃらけたり、はぐらかしたりするということが繰り返される可能性があります。

その場合、大人になってもはぐらかしたりおちゃらけたりすると、さらに怒りをかってしまうこともあり、ますます立場を悪くしてしまうことがあります。

ただ本人としては、無自覚に反応しており、他の反応の仕方を身につけてきていない為、どのように反応すればいいのかわかりません。

このように、僕たちはついついある行動をしてしまうことがありますが、それはこれまでに生きて来て身につけてきた心の癖(反応パターン)の場合が多いのです。

この他にも例えば…

怒られるとついつい委縮してしまう。

怒られるとよくわからないけれど涙が出てくる。

怒られると相手以上に怒ってしまう。

 

上手く意見がつたわらないとすぐに諦める。

上手く意見が伝わらないと自分を責める。

上手く意見が伝わらないと相手にすぐイライラしてしまう。

 

頑張ってない人を見ると、ついつい厳しくなってしまう。

自己卑下している人を見ると、イライラしてしまう。

ついつい人に気を遣いすぎてしまう。

 

このようについついやってしまう事は、いずれも僕たちがこれまでに生きて来て学習してきたパターンなのです。

そして、僕たちが悩むということは、それを身につけた当初は上手くいっていたがそれが今は上手くいかなくなってきて、新しいパターンを学び直す必要がある時期であることを示しています。

ですから悩み相談の場面では、その心理的パターンに援助側が気づくことが大切なのです。

また、この心理的パターンに気づいていく為には、当たり前に話を聞かないということと、相手の話を具体的に聞くことが大切です。

例えば、あなたが友人に「恋人と喧嘩をして、自分の意見を分かってもらえなかったの…。」と泣いて相談されたとします。

その時に、それはそうだよね。当然泣くよねと捉えてしまうと相手の話に巻き込まれてしまうことがあり、何があったのか正確に見えなくなってしまいます。

その為、相手の話を受け止めつつ具体的に何があったのかを聞くことが大切です。

なぜなら相手が話す出来事は、相手なりの心理的現実であって事実と異なる場合が多いですし、そのお話を紐解いていくと、先に説明したコミュニケーションの癖や、認知の癖・心理的反応パターンが含まれていることがほとんどだからです。

また、当たり前に聞かないということは、相手の行動を当然として捉えないという事です。

どういうことかというと、恋人に分かってもらえなかった時に悲しくて泣く人もいますが、怒って「何で分かってくれないの!?」と言う人もいますし、笑顔でその場を取り作ろって諦めようとする方もいますよね。

このようにいろいろな選択肢がある中で、この方は分かってくれなくて泣いて、そしてあなたに相談に来てくれたわけです。

勿論相談に来ないという選択も、自分の中で内に秘めておくという選択もあったのにです。

するとそりゃ泣いて当然だよねというように捉えるよりも、相手のことが見えてきませんか?

例えば分かってくれなくて泣いているということは…

・分かってくれなかった時に諦めるこころの癖があるかもしれません。

・意見はちゃんと聞いてくれて分かってくれて当然という期待がいつも強いのかもしれません。

・自分一人で抱えずに、辛かったことをすぐに相談できる力があるとも言えます。

・喧嘩をして黙ることも出来るが、その選択肢は取らずきちんと自分の意見を言うこと出来ると捉えられます。

・分かって欲しいと思ったら、喧嘩している状態でも恐れずに自分の意見を言う勇気があるとも言えます。

・自分の中の譲れない所を強く持っているとも、頑固とも言えます。

このように、当然と捉えずに聞いていくと様々な側面が見えてきます。

勿論、具体的に話を聞いていくことにより相手の心の癖や、長所・短所がより明確になってきますから、お話を具体的に聞いていきながら話を聞いていくことが大切です。

そして、具体的に聞いていく過程で相手の苦しみを生み出している心の癖が見えてきますから、その心の癖に対して幅が広がるように関わっていくことが大切なのです。

より具体的に話を聞いていくには、この記事(悩み相談のポイントは、問題の明確化と焦点化である。)もご覧くださいね。

4.自信の度合い

自信とは、自分を信じる気持ちのことですが、この自信は自己効力感と自尊感情で出来ています。

そして、この自信も相手の状態を捉える時にとても大切な一つの要因なのです。

なぜなら、自己効力感とは物事に対して出来ると感じる度合いであり、その度合いが低いと新しい物事に対して、やってみようといいう気持ちがなかなか湧き起らず、今一歩が出なく、挑戦してみようといいう気持ちが出てこないからです。

また、自尊感情は自分という人間に対してその存在を大切に感じる度合いで、この感情が低いと過度に自分を傷付けてしまったり、自責が強くなってしまったり、自己卑下したり、他者と比べすぎてしまったりしてしまい、自分を大切に出来ないからです。

その為、相談の場面においては相手の話しを聞きながら、自己効力感と自尊感情の度合いを見極めることが大切になってきます。

両方とも下がっている場合が多いですが、自己効力感が低い場合は、褒めたり、小さな成功体験を積み重ねられるように援助して、物ごとに対して出来る・出来ているという実感を高めてもらうことが大切です。

自尊感情が低い場合は、聞き手側が丁寧に受容したり、共感したり、ねぎらったり、ゆくゆくは自分をいたわったり、自分のこれまでの道(人生や体験)を肯定的に再評価できるように援助したり、大切にするとはどういうことかという心理的な教育をおこなったりもしていきます。

5. 愛されてきた経験の有無

この経験の有無も援助をする上でとても大切です。

それはなぜかというと、カウンセリングでは例えば昔の幸せだったときの思い出や、大切な友人や家族、愛されたと実感した時などことなどを思い出してもらうことで、自分という存在の安定感を高めてもらったり、何かを乗り越える時にそういった経験や、大切にしてくれている・いた家族や友人・仲間の存在を用いて、今の状態を乗り越えられるように援助することがあるからです。

その際に、DVやネグレクトなど色々な事情で愛されてきた経験がそもそも本当にない場合は、そういった関りが出来ませんし、そういった発想自体相手を苦しめてしまうことがあります。

ですから、最初の段階でそうった愛されてきた経験があるのか、無いのか。

無い場合は、本当にないのか(思い出せないだけなのか。)を区別して捉えることが大切です。

愛されてきたことが本当にない場合は、これから一つ一つ積み上げて自分が幸せになれるように、周りとの関係性を作ったり、安心できる場所を作れるように援助したり、信頼できる関係というのをまずは援助者との間で学び直したり、これから大切な人との間で愛情を受けとれるように援助していくことになります。

ただ、これまで受け取ったことがないですから、受け取り方が分かりませんし、怖くなったり居心地の悪さを感じたり、色々なことが起こりますから、長期的な援助が大切になります。

このように愛されてきた経験の有無により、援助の方向性が異なりますから、見立ての段階でそれを捉えることが大切なのです。

まとめ

さてかなり長くなりましたがまとめに入りたいと思います。

悩み相談で、相手を見立てる時には、感情の身体的苦しさの度合いを見極めることがまず大切です。

それは、先に説明した通り、感情の身体的苦しさが強いと前を向こうにも向けないですし、その状態に引っ張られて悩み相談どころではなくなりますから、まずはその状態からすぐにでも楽になってもらうことが大切です。

楽になってもらいながら、相手の能力面(コミュニケーション面・認知面・意志の側面)、心の癖(心理的パターン)などを見立てて、その苦しみを生んでいる心理的な要素に対して取り組んでいく。

取り組んでいく上では、コミュニケーションレベルでも援助する側が褒めたり、ねぎらったりなど相手の自己効力感や自尊感情が上がるように、また、様々な取り組みや課題を通してこれら二つの感情が高まるように援助していく。

そして援助していく上では、相手の愛されてきた経験も大切にしながら援助していく。

勿論すべて並行して出来るわけではないけれど、それぞれ出来る限り丁寧に見立てて、目の前の相談に来てくれた相手と一緒に協力しながら、相手の今の状態に合わせながら歩んでいく。

そんなことがカウンセリングにおいてとても大切なことなのです。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。