相手の良い所を見るのは、才能でなく意志。

「”コントラストをつける。”

ということを僕はよくカウンセリング中にやります。」

 

という先生の言葉を聞いて、

そういえば、

カウンセリングを受けた時も、

そのようなことをしていただいたなと、

そんなことを思い出したのでした。

 

このコントラストをつける。

というのは、とても有効です。

 

先日のスーパーバイズでは、

そのことを教えて頂きました。

 

コントラストとは、日本語で対比という意味です。
※最初から日本語で書いてよ。という突っ込みはご容赦下さい。(汗)

カウンセリングの文脈で、

コントラストをつけるとはどのようなことでしょうか?

コントラストは、「対比」ですから、

何かと対比させるということです。

 

それは例えば、

・「今(現在)」と「以前(過去)」

・「頭」と「心」

・「自分」と「他人」

・「能動的」と「受動的」

といったように、

対の概念と対比をするということです。

 

例えば、自分と他人で対比をさせてみましょう。

 

「これまで家族のことや、子供のこと、旦那様のこと等、沢山誰かに気遣ってきましたね。」

「そして今、そのご自分に気づいて休ませたりと自分を労わることで気遣っていますね。」

「勿論、まだ誰かに気を配る配分は多いとしてもです。」

 

といったように「誰かを気遣う」ことから、

「自分を気遣う」ということが出来ていますよね。

ということを対比させるのです。

 

なぜこれをするのかというと、

同時に両方を意識に上げてもらう為です。

 

僕たちは、

自分の気持ちを一つだけ意識しがちですし、

変わってきているのにも関わらず、

一方の面だけに引っ張られて、

多方面を意識に上げないこともあります。

 

だからこそ、その人にもともと存在している両面を意識に上げてもらうのです。

 

また、こういったフィードバックをすることで、

援助側とクライアントの心にちょっとしたフックをつけて、

いつでもその両面に戻れるようにすることが出来ます。

 

これはどういうことかというと、

先程の例でいうと、

「やっぱり人のことばかり気遣ってしまう。」

といった時に、

「そうですよね。今までそのように身近な誰かのことを気遣ってきましたよね。」

「そして先程お伝えしたように今、

その誰かの中に自分が入り、自分の中にある苦しみにも気づいているんですね。」

といったように、

両面がやはり今もあなたの中にあると、

そのように伝えることで、

自分の中には一つの気持ちだけではなく、

両輪があるのだと受容へとつながっていきます。

 

また、このコントラストを活かして、

「そのように今まで誰かだけを気遣っている時と、

その中に自分も入った今、

自分の気持ちにより鋭敏になっているのに気づいていますか?」

と心の方向を外(誰か)から内側(心)へと移して、

フォーカシングなどのワークのトレーニングなどをすることもできるのです。

 

このコントラストを有効に使うには、

前提として相手の心の癖や強みなどを把握する必要があります。

 

例えば、

誰かを怒らせないようにと気を配る人は、

常に意識が外側に向かっており、

自分の内側に意識があまり行きません。

 

感情をブロックしてきた人は、

抑えることが上手で、

自分を律することが上手ですが、

一方で自分の気持ちを感じる大事にする

ということは苦手です。

 

受動的な傾向がある方は、

自分からお願いをするとか、

能動的に働きかけることが苦手です。

 

こういったように、

相手の強みや心の癖を把握しつつ、

相手の中に対の概念が出てきた時(成長)、

そこを見つけてフィードバックして、

コントラストをつけていく。

 

それを受け取ったうえで、

例えば、

感情を抑えて我慢してきて、

故に気持ちが分からなくなってきたけれど、

カウンセリングの場で我慢しなくなったこと自体、

感情を抑えずに表現するという第一歩であり、

今までにない大きな一歩だとコントラストをつけて伝え返す。

 

勿論今も抑える気持ちがある一方で、

今この瞬間は我慢せずにいられている。

 

自分の気持ちにタッチするということは、

これまで生きてきた背景を考えると、

とても怖かったでしょうし、

とても勇気がいることだったと思います。

 

その恐れていたものに立ち向かい、

気持ちに触れることが出来た今、

気持ちを抑えることと、

気持ちを味わうことがどのように違うのか、

気づいていますか?

 

イエスが取れたなら、

そのようにこれからは、

自分の気持ちを抑えるだけではなく、

感じたい時は感じることが出来るように、

練習をしていきましょう。

 

といったような方向性で、

援助をして、

気持ちを感じるようなトレーニングをしていく。

 

こういったコミュニケーションの仕方もあると、

先日学びました。

 

これは、かなり大事なコミュニケーションであり、

有効なコミュニケーションですから、

別の方向からまた次回、

このコントラストについて書いていきますね。

 

ただ、ちょっと難しいですね。汗

ごめんなさい。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。