話をコンパクトに聞く

今日は、今年最初の傾聴講座でした。

年が明けてからもう10日も経つんですね~

早いものですね。

 

さて、今日は受講生から出たお話のこんなテーマです。

話を長く聞きすぎてしまう。

話を丁寧に聞くというのは、とても大切です。

 

その一方で、丁寧に聞いた分だけ話を聞く時間が長くなり、

要点が絞れていなかったり、

結局何の話だったっけ?

ということになったり、

無意識的に相手に心理的な負担をかけていたりすることもあります。

 

長い時間をかけて、相手の話を丁寧に聞くということも大切ですが、

カウンセリングという観点で言うと、

時間が限られていますから、

時間をオーバーするわけにもいかず、

限られた時間でぎゅっと凝縮して、

相手の話を短く(カウンセリングという短い時間で)聞いていくことが大切になってくるのです。

 

相手の話を短い時間で聞く為に大切なことが以下のようにいくつかあります。

凝縮して聞くポイント

・要約

・ねぎらい・共感・受容

・問題の焦点化

・明確化

・問題枠から結果枠への転換

上記すべてを細かくご説明すると長くなりすぎますので、

今回は要点だけをお伝えしていきますね。

では、上からいってまいりましょう。

要約

これは、傾聴スキルの一つですね。

読んで字のごとく「相手の話の要点をまとめて」伝え返す技術です。

 

話が長くなる一つの要因は、話し手の中で気持ちの整理が出来ていないからです。

 

ですから予約によってその整理のお手伝いをするのです。

 

また、悩みを抱えている方は、

話をしている内に自分が何を言いたかったのか

分からなくなってしまう時があります。

 

ですからそんな時に、ポイントをまとめて伝え返すことは、

とても役に立ちます。

 

ただ、話が長いからといって

「結局こういうことでしょ。」とまとめすぎてしまうと、

話し手からするとコンパクトにされすぎて、

聞いて貰っていないという印象を受けたり、

早い段階で要約されると反発したい気持ちが出てきてしまい、

結果的に逆効果になることもありますからご注意くださいね。

ねぎらい・共感・受容

話が長くなる要因のもう一つの理由はとてもシンプルです。

それは、話し手が聞き手が自分の話を「分かってくれない」と感じているからです。

 

ですからわかってもらおうと

同じような話を繰り返すことがあります。

 

人は、自分の話をしっかりと受け止めてもらえてないとか、

分かってくれてないと思うと、

正しく理解してもらおうと同じ話をもう一度話しますよね。

 

それと同じなのです。

 

ですから、何か似たような話を繰り返している気がするとか、

「いや、そうなんだけど○○がさ…。」

「分かるけどさ、でもさ私としてはさ○○をしたいんだけど…。」

というように、yes butの話が出てきている場合は、

話し手が受け止めてほしかったり共感してほしかったりといったように

掛けて欲しい言葉を掛けられてない場合があります。

 

ですから、そういった場合聞き手は何か聞き逃してないか?

と振り替えってみる必要があるのです。

 

しっかりと相手が話したい話や気持ちを受け止めて、

共感し、時に労いながら聞くことが出来れば、

より凝縮して相手の話を聞くことが出来るようになります。

問題の焦点化

問題の焦点化とは、相手の悩みの中でどれに取り組みたいかを一つに絞るプロセスです。

悩みを抱えている方というのは、

話していくうちに色々なテーマが出てくることが多くあります。

 

例えば、恋愛の話をしていて好きな彼に告白が出来ないといった話になった時に、

昔から自分に自信がなかった。

親が離婚していて自分が幸せになれるか不安である。

過度に嫌われることを恐れて、周りに合わせすぎてしまう所がある。

自分の意見が言えない。

etc…

こういったように話が広がっていって悩みが沢山出てくる。

なんてことが多いのです。

 

この一つ一つを聞いていったらとても時間が掛かりますから、

カウンセリングでは一つに絞っていく必要があるのです。

 

つまりこのカウンセリングという限られた時間の中で、

どのテーマに一番困っているのかを絞っていくのです。

 

1回ですべてのテーマを解決することは不可能ですから、

今日この時間の1回分をどのテーマを話すことにするのか、

話し手と一緒に一つに絞っていくのです。

 

そうすることで、あちらこちらに話が飛ぶことを防ぎ、

相手のニーズに沿った話を進めていくことが出来ます。

・明確化

明確化とは、相手の話をより具体的に聞いていくことです。

人が悩みを話す場合は、見出しを話すことが多いのです。

 

例えば、「最近仕事が辛いんです。」という言葉も見出しです。

その中には、仕事が辛いと感じたエピソードがあります。

 

でも僕たちは、そのエピソードを聞かずに、

見出しだけで納得してしまうことがあります。

 

例えば、「仕事が辛いんです。」という言葉を聞いて、

「そうだよね。仕事って辛いよね。」と納得してしまって、

「そうなんですよ。なんで仕事ってこう辛いんですかね…?」

という話になっていってしまったり…。

 

「仕事って辛いよね。それで、何が辛いの?」とエピソード(実体験)を聞こうとして、

「いやぁ、仕事で上手くいかないことが多くてさ。」との返答に納得してしまったり。

 

さらに一歩突っ込んで、

「どんなことが上手くいかないの?」

と聞いて以下のような返答が来た場合も、

「上司がさ厳しくてさ…。細かいんだよね。書類の向きがとか。」

これは、まだエピソードではありません。

 

というのも、厳しいということがどういうことを意味しているのか?

もまだわかりませんし、

具体的にどのようなやり取りがあったのか?

もまだわからないからです。

 

でも私たちは、こういった時に相手から

「こういう細かい上司にどう対処したらいいんだろう?」

と聞かれると、その段階でアドバイスを考えたり、

一緒にそういう上司って嫌だよねって共感したりしてしまいますよね。

 

でもでも、話をもっと明確に聞いていくと、

もしかしたら上司が厳しいというのは当然のことなのかもしれませんし、

上司には上司なりの理由があることが見えてくるかもしれません。

ご本人が仕事が辛いという理由は、上司以外にあるかもしれません。

書類の向きという一見すると細かそうなところは実はあまり気にしていなく、

自分の思い通りにやれていない歯がゆさを感じているのかもしれません。

 

このように紐解いていくと様々なことがわかるかもしれません。

 

でも私たちは、エピソードを詳しく聞いていくことはあまりせず、

見出しレベルで会話を進めてしまい、

堂々巡りになってしまって話が長くなってしまうことが間々あります。

 

ですから、そうならない為にも出来るだけ明確に聞いていくことが大切なのです。

・問題枠から結果枠への転換

悩み相談の場面では、ほとんどの方が自分の問題を話ます。

ですから、その問題を聞いていくことになるわけですが、

この問題ばかりを聞いていても話は一向に進まず、

平行線をたどってしまうことが間々あります。

 

問題を聞くことはとても大切ではありますが、

ある程度問題を聞き終えたら話を転換する必要があります。

 

どこへと転換するのかというと結果枠へです。

 

問題は解く為にありますから、

どのような解決を本人は望んでいるのかを聞いていくのです。

 

カウンセリングのトレーニングをしている時、

受講生が共感や受容は十分に出来ていましたが、

あることをしていなかったのでずっと問題が語られて、

同じところをずっとグルグルとしていたことがありました。

 

それはご本人がどう解決していきたいのか?を聞いていなく、

話しが展開せずに詰まってしまったから起きたことでした。

 

このように、ある程度問題を聞いていったら結果枠へと移ることも大切なのです。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

話を聞く時間がついつい長くなってしまう時に考えられる要因を

1つずつ簡単ではありますがご紹介していきました。

 

あなたが少しでもよりぎゅっと凝縮して話が聞けるようになり、

お互いに濃密な時間が過ごせますように。

 

また、こういったトレーニングは、傾聴実技コースで行っていますので、

もしごご興味があればお越しくださいね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。