カウンセリングでは、『宿題』を出すことがあります。
宿題といっても学校のような宿題ではありません。
その為、ここでは「課題」と呼んで、
カウンセリングでどのように課題を設定していくのかを説明してきます。
さて、課題というと例えば認知行動療法だと、
自分の自動的に浮かんでくる思考をこの紙に書いてきてください。
といったものや週間活動記録表という
1週間のうちに気持ちが動いた出来事や行動と感情を10段階などで評価する
といった課題を出すことがあります。
勿論、認知行動療法以外のカウンセリングでも
上記以外の様々な課題を出すことは間々あります。
例えば実際に僕が出した課題の例としては、
・お酒が飲みたくなったら奥さんに特定のスタンプを送る。
・1週間のうちに1回ケアリングデイズというお互いに相手を気遣う日を作って、
自分なりに相手を気遣う行動を一つだけしてください。ただし相手には何の行動をしたかを言わないください。
・奥さんが話始めたら、ひと呼吸待ってあげてください。
・自分が好きな小説を教えて欲しいので、おすすめのものを次回2・3冊教えてください。
・頭の中で行動したいなと思った時、その行動の最初のステップだけをやりませんか?
・起きようと思ったら、ちょっとだけ体を動かす。それで大丈夫かなと思ったら、次の行動をしていく。それが出来たらその先の行動をやってみる。
etc…
さて、こういった課題を出していくわけではありますが、
課題というのは、本当にハードルを下げて、
クライアントに簡単に今すぐに出来ることでないと、
クライアントはあまりやってきてくれませんし、
課題の出し方を間違えると、
出来なかった自分を責めてしまうことにもなりかねませんから、
注意が必要なのです。
こういったことを踏まえて、
課題は慎重にそして優しさや思いやりを込めて出していくことが大切ですが、
課題を出す時の伝え方もとても大切です。
というのも、
「○○をやってきてください。」
だけですと”意図”も”期待される効果”もわかりませんから、
相手からしたらその課題をするメリットを感じてくれません。
ですからやってみようという気持ちも起きにくいのです。
その為、課題を出す時は、
例えば、
「○○さんは、気持ちを伝える時に伝えたい気持ちが勝って話す量が増えていき、
せっかくAさんが伝えたい気持ちのポイントがぶれてしまうことがあるようです。
そうするとお互いに意図した形として気持ちが伝わらないことがあるように見えます。
伝えたい気持ちが沢山あるのはとても大切なことですから、
そのお気持ちが伝わりやすいように、
まずは自分の気持ちを言葉にする前に紙に書いてみるのはいかがでしょうか?
紙に書く際は、まとめなくてかまいませんから思いのたけを書いてみましょう。
書いたことを振り返ってみると自分が何を言いたいのかというポイントがわかりますし、
整えて伝えやすい表現方法を身につけることで、
理解されることも増えて結果的にお相手との関係も良くなってくると思います。
こういった取り組みをやってみませんか?」
といったように、
相手の心の癖やコミュニケーションをパターンを保証しつつ、
それを改善する案を提示し、
その改善案をやった先の期待される効果を提示すると、
やってみようかな?という動機づけが高まります。
このように課題を出すときは、
相手が取り組みやすいように工夫することも大事です。
あと最後に追記ですが、
課題を出す際はやった時に予測される障害を予め伝えておくと、
困難にぶつかった時も成長のプロセスであると捉えることが出来たり、
これは誰もがぶつかるものなのだという理解に繋がり、
出来なくても自分をあまり自分を責めなくなります。
課題を出すというのは、本当に難しいですし気配りや機転がいります。
僕自身も上手くいかないことも多くあり、
クライアントさんが課題をしてこないということもざらにあります。
それはひとえに自分の課題設定が悪かっただけですが、
でももしクライアントさんと一緒に考えてき、
上手に課題を設定することが出来れば、
カウンセリングの時間外もより豊かになるのです。
