すべき思考という認知の歪みへの対処方法

先日は、原田先生のスーパービジョンでした。

そこで「すべき思考」が強い方の援助の仕方を相談しました。

すべき思考とは、認知療法でいう所の認知の歪みの一つです。

「~すべき。~しなければいけない。」

このような思考を”すべき思考”といいます。

 

こういう思考があると、

仕事や私生活などにおける目標や基準が高くなります。

そして、高くなったその目標や基準を達成できなかった時に、

自分を責めるようになります。

 

また、すべき思考が相手に向かった時は、

相手が最低限のその自分の中の基準を満たさないと、

相手に対して怒りを向けることにもなりますし、

自分の中では当然のことと考えている為、

相手に対して厳しさを向けすぎて、

相手を遠ざけてしまう結果にもなります。

 

このすべき思考をどのように緩めていけばいいのか。

そんなことを考えて相談したのです。

 

そこで先生と話していく中で

「その高い基準と目標はこの二つの内のどれだと思いますか?」

と聞かれました。

 

その二つとは、

・目的志向

・回避志向

です。

 

目的志向は目標を立てる際に「~したい。」という言葉になり、

自分が”したい・得たい”という気持ちから目標を立てて、

それに向けて行動を起こしてき、

それを得る為にモチベーションが上がっていきます。

 

つまりその得たいものに心が向かっていくのです。

 

 

一方で回避志向は、「~したくない。」といった言葉になり、

その目標は目的志向と違い回避の性質を持ちます。

例えば、「失敗したくないので、○○をしたい。」といったようなものとなり、

回避をすること自体に心が向かっていき

そこにモチベーションが湧いてきます。

 

そしてすべき思考は、どちらかというと回避志向です。

 

「~したい。」というものではなく、

世間一般的に正しいとされているものや、

「これだけは最低限すべきである」といったものを

クリアできないことを”回避”しようとします。

 

つまり、その自分の基準や目標が達成できない状態を”避けたい”のです。

 

こうやって見ていくと、

すべき思考の方の目標は、目的志向の方のそれと違うことがわかりますよね。

 

こう考えてみると、僕は一つ間違えていたことに気づきました。

 

それは、すべき思考が強い方というのは、

自己成長意欲が強くて、

それゆえに苦しむこともあるけれど、

そのおかげで基準も目標も一般よりも高い。

その為にある程度パフォーマンスを上げることが出来ると、

そのように考えていました。

 

でもそうではありませんでした。

 

その目標は、目的志向的なものではなく、

回避志向的なもので、

達成したとしても自らの”したい”という欲求ではなく、

自らの”避けたい”という気持ちから設定されたものだったのです。

 

そしてそれを避けられたとしても、

すべきものなのであまり満足はしない。

 

そういった心の動きに気づけていませんでした。

 

こうやって細かく見ていくと、

目標といった時も、

それをしたいから設定しているのか、

それを避けたいから設定しているのかで、

心の動きが違う為、

対処の仕方も変わってくるということです。

 

昨日は、そんなことを先生からのフィードバックで教えて頂きました。

そしてその後、すべき思考に対して見方が変わるような、

そのような教えを頂いたのですが…。

 

今日は少し長くなりましたので、

続きはまた次回ということにさせて頂きますね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。