どんな経緯で相談に来たのかに思いを馳せてみる。
クリニックでカウンセリングをしていると、
色々な方がカウンセリングに来ます。
その来談の仕方は様々です。
自分で見つけて来た方もいたでしょうし、
連れてこられた方もいます。
また、ドクターの進めで来た方もいます。
その背景は実に様々ですが、
そういった背景に思いを馳せていくことも、
相談を受ける際はとても大切です。
例えば、連れてこられたということは、
本人は来たくなかったことが想定されますので、
「来たくなかったですよね。」
というペーシングが役立つかもしれません。
また、来たくなかったけれど来たということで、
少しでも問題意識がある場合は、
「連れてこられた部分もあるかもしれませんが、
ご自分の中でも何かを変えないとという思いがあったからお越しいただいたんですよね。」
というペーシングが役立つかもしれません。
医者からとりあえずということで勧められて来たのだとすると、
ちょっと期待外れがあるかもしれません。
どんな期待外れかというと、
「ドクターにしっかりと話を聞いて貰いたかったのに、とりあえずカウンセラーに相談してみたら?」と言われたのだとしたら、
「この人も自分のことを分かってくれないのか。」と思うかもしれません。
そしてもうちょっと時間を前にさかのぼるとすると、
誰もその気持ちを分かってくれないと思って、
その方が相談に来ていたとしたら、
周りの人が理解してくれない苦しみと、
専門家も理解してくれない苦しみという二重の苦しみを抱えてきているかもしれません。
「ご自分の気持ちをしっかりと話に来てくれたのに、そういった対応で申し訳ありませんでした。」
とこのように謝ることから始める必要があるかもしれません。
このように相談に来る前に、どのような背景があって、
目の前の方が相談に来たのかに思いを馳せてみることも、
対人援助のお仕事をしていく上では大切なのです。
