相手の抵抗や不安と戦わない。
如何に相手の現状を保証するのか、
 
抵抗と戦うことなく、
 
それを受け入れていくのか。
 
 
それがいかにカウンセリングにおいて大切なのかを
 
最近は本当に痛感します。
 
 
それは先日も…。
 
 
うつ病になると思考が極端にマイナス思考になり、
 
何かをする意思も低下していきますし、
 
やる気も下がっていきます。
 
 
そういった状態なので、未来が考えられず、
 
小さなことでも不安になります。
 
 
ただ、これはご本人のせいではなく、
 
うつという病気のせいです。
 
 
でも、僕たちはそれをあまり知りません。
 
 
ですからご本人もご家族も、
 
まずはそこを知的に理解することから始めることが大切なのです。
 
 
うつ病という病のせいで、
 
普段よりかなり極端になっていることや、
 
やる気が出ないのは、あなたのせいではないのですよ。
 
ということを理解してもらえると、
 
ご本人が自分を責めることも減ってきますし、
 
ご家族も病気とご本人のパーソナリティを分けて
 
考えられるようになります。
 
 
さてさて、説明が長くなりましたが、
 
うつ病の方には知的にご自分の状況を理解していただくことと共に、
 
自分の状態は何も卑下することはないのであって、
 
それだけ頑張ってきたからであり、
 
そんな状態だったらそうなるのも当然であると、
 
保証したりするコミュニケーションが大切なのです。
 
 
 
ただ、これも保証をするタイミングを間違えると、
 
もちろん上手くいきません。
 
 
早い段階で保証をして、
 
「それはうつ病という病のせいでして…。」
 
なんていうことを言ったとしても、
 
ご本人には受け止めてもらえないかもしれません。
 
 
それはなぜかというと、
 
早い段階で保証してしまうと、
 
ご本人はまだ自分の話が出来ていなく、
 
自分の痛みの正当性を理解してもらえてないと、
 
そう感じることが多いからです。
 
 
つまりしっかりと受け止めてもらえてないと
 
そのように感じさせてしまう可能性があるということです。
 
 
 
ですから保証をするタイミングは、
 
しっかりと相手のことを受け止め、
 
その痛みの正当性をしっかりと認め受け入れた後、
 
ということになるのです。
 
 
 
これは、何もうつ病に限った話ではありません。
 
 
どんな悩みにも適応されます。
 
 
早すぎる保証やアドバイス、
 
一般化が相手から受け入れられない裏には、
 
同じような理由があるのです。
 
 
さて、こんな偉そうなことを書いていますが、
 
先日うつ病のクライアントさんに対して、
 
「そのように不安にそそのかされてしまうのは、
 
 うつ病のせいであって○○さんのせいではないですよ。」
 
と伝えた時に、
 
「先生でも、やっぱり不安なんです…。
 
 このまま復職できないんじゃないかと。だって…。」
 
とまた語り始めてくれました。
 
 
それを聞いて僕は心の中で
 
「そうだよね。ごめんなさい。早すぎたよね。」と謝ったのでした。
 
 
 
不安を感じる権利も、
 
心の痛みを感じる権利もご本人にはあります。
 
 
僕たちはその正当性を踏みにじってはいけないのだと、
 
そのように痛感するのでした。
 
 
そして僕たちが「すべきこと」は、
 
抵抗と戦うのではなく、
 
受容へのただひたすらの努力なのだと、
 
そのように感じます。
 
 
それも受動的な受容ではなく、
 
積極的に相手を受容していくような、
 
そんな努力が必要なのだと、
 
そう感じるのでした。
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。