一見マイナスに見えるような反応の中にも、

人の力強さはあります。

 

お話を聞く際は、

相手のそういった力強さに

目を向けていくことが相手の助けになります。

 

勿論、その人の苦しみも丁寧に聞いた上で、

という大前提の下ではあります。

 

悩んでいる方は、当然苦しみの中にいます。

そしてその苦しみを丁寧に受け止め、

その中にあっても、

その人らしさや、

その人の力強さを見ることができますから、

そういったその人の良さに目を向けていくのです。

 

それにより、苦しみだけでなく、

自らの力強さを思い出してもらったり、

感じてもらったり、

強さゆえの苦しみを労っていくのです。

 

例えば、先日カウンセリングをした方は、

家族を恨んでいもいて、寂しくも感じていました。

 

家族を恨むほどの怒りを抱えながら、

責めきれず、悪口もあまり言わず、

むしろそれぞれの事情に目を向られてもいました。

 

自分だけでも苦しいのに・・・。

 

そんな方にこんな言葉を掛けました。

「僕はあなたのことを凄く立派だなって思うんです。

というのもあなたは恨んでいると言いますが、

それだけの事がありながら恨みきれてないですよね。

それどころか、自分だけでも辛いのに相手の背景にも自然と目がいってしまう。

そんな思いやりを持っていますよね。

勿論それがあなたを苦しめている部分があるかもしれませんし、

お辛いかと思いますが、僕はその事に心を動かされました。」

と伝えました。

 

恨みを持ちながら責めきれずにいられるその人らしさに、

その思いやりや優しさに、

それ故の苦しみに、

そして本当は家族を大切にしたかったという思いに、

そういった事に目を向けてもらう為に、

上述の言葉を掛けました。

 

恨みというのは良くなく、

マイナスな所ではありますが、

そこにもその人なりの形があります。

 

確かに恨んでいるけれど、

攻撃はしていないかもしれない。

それを出さないようにしているかもしれない。

行動を否定していて、

人格は否定していないかもしれない。

 

このように一見マイナスに見える反応の中にも、

その人らしさが、

その人の力強さがあります。

 

そこに、その素晴らしさに言葉を掛けていく。

 

そんなことが日々できたらいいですね。

 

僕も日々是精進です。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。