カウンセリングをしていると、

クライアントの変わってきている所とまだ変わっていない所が見えます。

 

でも、クライアントは両方を当然見ることができず、

変わっていない所、

つまり変わらずある大きな苦しみに目が行きます。

それも当然です。

 

いまだに苦しいのですから。

 

ただ一方で、変わりつつあるところや

変わってきている所もありますから、

そこも見えるようにフィードバックをしたり、

労ったり褒めたりしつつ力づけをしていくことも、

とても大切です。

 

ただ、この伝え方がとても難しいのです。

 

伝える時に、良くなっていることだけを伝えると、

クラインとは受け取ってくれませんし、

「いや、まだ苦しいんだって…。」と、

自分の痛みの正当性を否定されたようにも感じてしまいます。

 

ですから原則的には、

両方を同時に伝えていきます。

例えば、

「家では、嫌なことを思い出さなくなってきたんですね。

勿論職場ではいまだに思い出すとしても。」

といったように。

 

二つの側面を同時に伝えると、

クライアントも受け取りやすいのです。

 

ただ、両面を伝えたとしても、

このニュアンスがクライアントにとって、

「結局家が問題なんじゃなくて、

職場で嫌な思い出が繰り返されて

動悸がすることが問題なんだよ。」

という感じで伝わってしまうこともあります。

 

すると、両面を伝えたとしてもマイナスです。

 

こういった時は、

「苦しみ」を十分に理解してくれてない、

受け止めてくれていないということを示していますから、

そこから受容することが大切です。

 

このように、結局は相手が最も理解して欲しいことから受け止めていく、

共感していくこと、労っていくことが大切なのだと最近は思います。

 

その上で、「そうですよね。そういう気持ちがありますよね。そして…。」

といったように良くなっていることを小出しに繋げていくことで、

力づけをしていく、

希望を見える形で伝え返していくことが、

大切なのだなと最近感じます。

 

伝える順番や、

優先すべき気持ちや、

タイミング、

言葉のチョイス、

非言語など、

相手に言葉を届けるって、

とても繊細さがいるなとつくづく感じるのでした。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。