人が悩む時は、こんなケースである場合が間々あります。

 

例えば、好きなはずなのに相手のことを信頼できないなんて、

自分は本当に相手のことを好きじゃないんじゃないか。

 

自分は、好きで学生と接しているはずなのに、

たまに学生のことがうっとおしいと感じることがある…。

そんな自分は先生失格だ…。

 

といったように「感じてはいけない」と自分の中で考える感情が

湧き上がってくる自分の心に戸惑うケース。

 

「もうこの仕事を辞めたい…。」

「でも、あの人があんなにも応援してくれたから頑張らないと…。

辞めたいなんて考えてはダメだ。」

といったように、こんなこと考えてはいけない、不謹慎だ!失礼だ!

と考えてはいけないと感じていることが脳裏をよぎり、

その考えに苦しめられるというケースです。

 

このように人は、感じてはいけない・考えてはいけないとする感情や考えに

苦しめられ、圧倒されることがあるのです。

 

本当はそれらは、どれも僕たちの気持ちのほんの一部にすぎないのに、

その気持ちがあると、すべてが嘘のように、

今まで好きだったその気持ちも嘘だったかのように、

全てが崩れてしまうように感じてしまう事があるのです。

 

僕自身も、以前に臨床心理士になろうと会社を辞めた時、

いろんな人が応援をしてくれました。

 

そして色々な形でサポートをしてくれました。

 

でも、いつかしペンが進まなくなり、

勉強が出来なくなっていきました。

ペンを握ってテキストと向き合うと、

何故だか吐き気がする…。

 

それでも、

「こんなにも応援してもらったんだから、辞めたいだなんて思ってはダメだ。」

と、辞めたい気持ちを押し込めようと必死な時期がありました。

 

でもきっとあの時、僕はこんな言葉を掛けられたら

何かから解放されたように、その場で泣き崩れていたかもしれません。

「苦しんで苦しんで、吐きそうになる迄やれたんだ。

もう辞めたいと感じたっていいじゃないか。

それだけ頑張れたんだ。お前にはその権利があるよ。」って。

 

そう。

僕たちは、感じてはいけない。

考えてはいけないとする考えや感情に苦しめられる。

 

でも、感じてはいけない気持ちも、

考えてはいけないことも僕はないと思う。

勿論、犯罪に関わることなどは別だ。

 

ただ、自分ではその気持ちに許可を出す事が出来ない時がある。

だから、一たび誰かから許可をもらえると、

僕たちはそれだけでも救われたような安心感を味わうのだ。

 

「辞めたいって思ってもいいんだよ。」

「子供が嫌いでもいいんだよ。」

「逃げたいって感じてもいいんだよ。」

「怒ってもいいんだよ。」

「悲しくっていいんだよ。」

「寂しいさ、寂しくっていいんだ。」

「忘れようとしなくていいんだよ。」

 

誰かが自分の気持に許可を出せない時、

僕たちは替わりにその許可を出すお手伝いをすることが出来る。

 

何かをしてはいけない。

考えてはいけない。

感じてはいけない。

こうしなければいけない。

 

そんなことに対して、

僕たちは許可を出すことで、

少しでも目の前の人の気持ちを軽くするお手伝いをすることもできるのです。

 

ただ、この許可を出す時は、

その出した先が、本人にとってさらによくない結果にならないその時に。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。