上手にカウンセリングを進める3つのコツ

カウンセリングが上手くいかないなと思ったら、

これから書く3つのことを自分はきちんとできているかな?

と振り返って頂くと上手くいくかもしれません。

 

今日は、そんなカウンセリングを上手く進めていく3つのポイントをお話してきます。

 

その3つのポイントとは、相手の「現状」「問題」「課題」を見極め、共に決めていくことです。

 

では、この3つはそれぞれ具体的にどのようなことを意味しているでしょうか?

それを一つ一つ簡単に見てきましょう。

 

現状とは、今何がクライアントの心の中、もしくは周りで起きているのかということです。

問題とは、だからこそどこを変える必要があるのか?ということです。

課題とは、その変える必要があるうちのどこから取り組んでいくか?です。

 

これら三つをきちんと把握・共有して、

一緒に課題にクライアント取り組んでいくことで、

カウンセリングがスムーズに進んでいくのです。

 

逆にこれが少しでも共有できてなかったり、

自分の中で分かっていないと、

当然カウンセリングは上手くいきません。

 

ではでは、もう少し具体的にみていきましょう。

現状を把握し、問題点を見極めて課題を設定する意味。

多くの場合、クライアントは自分がなぜそのようにつらいのかを理解していません。

つまり「現状」を理解していないことが多くあるのです。

 

自分に何が起こっているのか、なぜこんなにも苦しいのか、

それが分かっていない場合が多いのです。

 

だからこそ、僕たちは心理的に苦しい時に、

自分の心の中で何が起きているのかを理解しようと、

本を読んだりネット検索をしたりして、

その糸口を見つけようとするのです。

 

そして、その糸口が見つかると、

見えてくるのが問題点です。

 

こういう心の動きがあるので、この心の動きをこうしましょうということが大体書いてあるのです。

 

それにはステップがない場合もありますが、

多くはまずはこれをして、次にこれをしていきましょうと、

そのような段階を踏んでいく課題になっていることが多くありますよね。

 

このように、現状を把握し、問題点を理解し、何を変える必要があるのかを理解する。

そしてそれを変える為に課題に取り組んでいく。

 

そんな流れが大まかなカウンセリングの流れなのです。

 

ちょっとわかりづらかったかもしれませんので、

この3つの段階を野球に例えてみましょう。

 

例えば野球でピッチャーをしているが、

ストライクがなぜか入らなくて困っている人がいたとしましょう。

 

「現状」としては、ストライクが入らなくて困っている。

ただ、自分としてはなぜストライクが入らないのかよくわないという状態です。

 

そこで少しでも現状を理解し、良くしようとコーチや監督に相談します。

 

するとある「問題点」が分かりました。

軸足がベースに向いてないこと、

投げる時に体幹が弱くて軸がぶれてしまっていて、

フォームが安定していないといったことが分かりました。

 

「問題」点としては、体幹が弱い・軸足がベースに向いてない・フォームが安定していないですね。

 

そこで、この問題点を変える必要があるわけです。

 

ただ、一気に全部取り組むことはできませんよね。

ですから、かみ砕いて一つ一つの「課題」をクリアしていく必要があるのです。

 

例えばまずは体幹を鍛えるトレーニングをしていくことや、

軸足をしっかりとベースに向けるように意識してもらうこと、

といったようなハードルが低い「課題」から取り組んで、

フォームの改善及び、安定という全体に取り組むことになりますよね。

 

このように一つ一つの段階をきちんと理解して、

今自分がどんな状態で、どんな問題点があり、

だからこそ何に取り組んでいく必要があるのかを理解して、

トレーニングをしていくことになりますが、

このプロセスはカウンセリングでも似たようなものになるのです。

実際のカウンセリングの流れ

実際のカウンセリングの流れのうち、

自ら考える力が著しく落ちている場合や、

援助側の支えが多く必要な場合は次のようになります。

 

「現状あなたはこういう状態にある。

そこでまずはここを変える必要がある。

その為、今日この時間はこれをしていきましょう」

とこのような流れです。

 

ちょっと抽象的すぎたかもしれませんので、

これを認知行動療法というカウンセリングの流派の一つに

当てはめて説明していきますね。
※かなり大雑把な流れです。

 

今回は、説明のために、うつ病の人に認知行動療法をしていくと仮定します。

 

そこでクライアントの話を聞いた上で、

次のように伝えていきます。

「現状あなたは、うつうつとしており、うつ病のような症状を呈しています。」

 

「そしてうつ病の時というのは、

特徴的な認知の歪みがあると言われています。

今過度に自分を責めてしまっているのも、

その認知がいつもより”うつ病”のせいで歪んでおり、

その歪んだ捉え方が極端な思考を生み、

その思考が今のあなたの感情を生み出しているのです。」

 

「ですから私たちのうつ病にせいで極端になってしまった認知を変えていけば、

少しずつ気分が改善していくのです。」

 

といったように現状を説明しつつ、

そういう現状だからこそ、少しでも改善していく為に

「認知」という部分を変えていきましょうという話しになっていくのです。

これは、「現状」から「問題」への流れですね。

 

そこで、今日はまずはその認知がどのように自分の心の影響を与えるのか、

それを理解していきましょう。

といって3カラムといって「出来事・思考・感情」の3つを書いてもらい、

思考(認知)と感情の結びつきを理解してもらい、

自分の思考がどのように気分に影響しているか見ていくことから始めていきます。

 

そしてその影響の強さがわかり、感情に影響を与える認知の歪みが同定されたら、

今度はそれを少し緩めていきましょうといったようにステップステップで進んでいくのです。

 

これが「問題」から「課題」への流れです。

 

ただこの時に、現状の共有が上手くいかないと認知行動療法をしてもらえません。

どういうことかというと、

「え?別に認知と言われてもピンとこないし、私としては認知が関係しているとは思わない…。」

といったように、現状の理解が本人の今の世界観と合わないと

カウンセラーがいくらこうした方がいいと言っても、受け入れてもらえません。

 

また、現状が分かったとしても、

どこを変える必要があるのか?が曖昧なままだと、

それもやはり上手くいきません。

 

現状はそうだよね。

認知が関係しているんだね。

だからこそ、どの認知を変える必要があるの?

という所が共有されていないと、

モチベーションが下がってしまいますし、

何に取り組めばいいのか具体性に欠けて、

クライアントがイメージしづらくなってしまいます。

 

また、現状や問題点が分かったとしても、

1回に取り組む課題が大きい場合は、

クライアントに負担ばかりかけてしまい、

それも上手くいきません。

 

ですから、今日この時間に取り組めるハードルが低い課題を設定する必要があり、

その課題をすることで、どのように自分が目指すゴールへと繋がっているのか

その道筋も見えていることが大切です。

 

でないと、この課題が何のためにやっているのかぼやけてしまうからです。

まとめ

このように、カウンセリングでは

「現状」「問題」「課題」の3つをクライアントと共有することが大切ですが、

「現状」を理解するには、知識的背景が必要になってきます。

 

それは、心理学によるものかもしれませんし、

臨床心理学や、様々なカウンセリング理論によるものかもしれませんが、

いずれにしても現状クライアントに何が起こっているのか?

を理解する枠組みが必要になってきます。

 

次に「問題」つまり、何を変える必要があるのかは、

現状の理解の下でどのようなことに困っているのか。

そしてクライアントは、何を変えたいと考えているのか。

そこをきちんと把握していく必要があります。

 

そして、最後にその為に今日このカウンセリングの時間何をしていくのか。

それを相手と一緒に見ていき、

相手が今日食べれる範囲に細かく切っていく。

一気に牛一頭は食べれませんからね。

 

僕自身、このプロセスを何度も考え、

課題が大きすぎたり、

現状が共有できなかったり、

現状が共有するところまでは出来たが、

問題、つまりだから何を変える必要があるのかの共有ができなかったり、

それを見立てられなかったりといったように、

この3つの点には今も苦労していますが、

これはとっても大切なポイントですから、

皆さんも是非押させておいてくださいね。

 

上手くいかないな。

話が通じてないなと思ったら、

この「現状」「問題」「課題」がきちんと共有できているか、

それはクライアントの現実とあっているのか、

きちんと今のクライアントにあった課題が設定されているのか、

それを振り返ってみて下さいね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。