心理的現実を明らかにする。
これは、カウンセリングにおいてとても大切なことです。
さて、いきなり心理的現実と出てきましたが、
心理的現実とは何でしょうか?
これは、クライアントが語る現実のお話のことを指します。
僕たちは、正確にこの世界を記憶しているわけではなく、
それぞれ何かしら記憶を色づけて理解をしているのです。
そしてその色付け方が人それぞれ違う為、
同じ経験をしたとしても、
それぞれ異なったように感じるのです。
ですから、カウンセリングでは、
その方がどのように現実を色づけているのか、
どのように捉えているのかを理解する必要がありますし、
どのような意味でその言葉を言っているのか?
これも理解する必要があるのです。
例えば、「家の掃除が出来ないんです。」というお話を相手がしてくれたとしましょう。
これを聞くと多くの場合、「本当に家の掃除が出来ていない。」と思うでしょう。
日常会話では特にその理解でも問題ありませんが、
カウンセリングの場面では、その理解ではちょっと危ないことがあります。
というのも、家の掃除が出来ないということを
どのような意味で使っているのかを吟味せずに、
自分の中の「家の掃除が出来ていない。」というイメージで、
話を進めてしまうことになってしまうからです。
もしかしたら家の掃除が出来ないということは、
・ゴミは捨てられているが、掃除機が掛けられない。
・1週間に1回は掃除は実はしているが、毎日しないといけないという思い込みがあり、それを掃除ができないと言っている。
・ある特定の部屋だけが掃除が出来ない。
・掃除は出来ているが、他の人と比べて綺麗にできてないと感じることを掃除ができないと言っている。
といったような可能性があるかもしれませんよね。
ですからこのように相手が語る言葉の裏に、
どのような現実が含まれているのか、
それを明らかにしていく必要があるのです。
というのも、こういった相手にとっての現実(掃除が出来ない)を
紐解いていくのといかないのとでは、
援助の方向性が変わってくるからです。
その為、何をもってそれができないといっているのか、
何をもって○○と言っているのか?
○○とは具体的にどのようなことを指すのか?
という、クライアントの心理的現実を”具体的に”聞いていくことが、
カウンセリングではとても大切なのです。