相手の話を聞いて、

どのような言葉をかけるのかというのは、

とても大切なコミュニケーションの要素です。

 

そして、どのような言葉をかけるかは、

相手のどこを見るのかによって決まってきます。

 

例えば、

「最近気分が沈んでいるんです。前はそんなことなかったのに何だかやる気もなく、ずっと憂鬱な感じが続いていて苦しいです。」

と相談に来てくれた方がいたとしましょう。

 

その際に、次のように返すこともできます。

「そうですか。最近気分が沈んでいて、やる気が起きない状態なんですね。」
(オウム返し)

「ずっと気分が前を向かないというのは、とても辛い状態ですよね。」
(共感)

「そうでしたか。そういった状態ではご相談にくるのも大変だったでしょう。そんな中でお越しいただいてありがとうございます。」
(ねぎらい)

このようにどこに注目するかでかける言葉が変わってくるのです。

 

今回は、相手のどういった部分に注目すれば、

勇気づけの言葉を掛けていくことができるのか。

その為の大切な視点の一つをお伝えしていきます。

 

では、冒頭の例を取り上げて

早速その視点をお話していきましょう。

 

冒頭の例の方は、「気分が沈んでいる」とお話されています。

一般的にこの気分が沈んでいるという状態は、

悪いとかダメといった判断がされることが多いですよね。

 

ただそれは落ち込んでいるという否定的な部分を見ているにすぎず、

そういった気分が沈んだ中でも肯定的な部分が実はあるのです。

 

では、どうやってその肯定的部分に注目すればいいのでしょうか。

 

それは、悪い状態の中でも出来ている部分に目を向けることです。

 

例えば冒頭の相談者の例でいうと、

抑うつ状態ではありますが、相談には来れていますよね。

抑うつ状態で相談にくるというのは、かなりエネルギーがいることです。

 

そしてうつ病になる前に相談に来るという選択ができていますし、

ずっと憂鬱で状態でいる選択も出来たはずなのに、

前に進みたい・何とかしたいという自分の声を聴き、

良くなるために相談に来るという一歩を進む選択は、

出来ていますよね。

 

このように相手の悪い状態の中でも、

出来ている部分(行動や選択等)に意識を向けると、

そんな辛い状態の中でも出来ていることが見えてきます。

 

あとはそれに対して声をかけていけばいいのです。

 

例えばこんなように。

「抑うつ状態の時は、どこへも行きたくないものですよね。ずっと家にいる選択も出来たでしょうけれど、あなたはここに来たわけです。お気づきではないでしょうが、ここに来たということ自体、既に良くなる為の一歩は踏み出してるんですよ。」

「うつ病になる前に相談に来てくれたというのは、とても賢明な選択だと思います。」

「ご自分の「このままではダメだ。」という声を聴いたからこそ…。」

といったように相手の今できていることに対して声を掛けることが出来ます。

 

このように声を掛けていくことは、相手にとっては「勇気づけ」にもなるのです。

 

皆さんも是非、相手の否定的に見える状態の中でも

出来ている所に目を向けてみて、

相手を勇気づけて下さいね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。