怒りも、不満も、クレームも、

意識が外に向かっています。

 

どれも期待外れなことが起きたわけです。

して欲しくないことをされたり、

こうして欲しかったことが叶わなかったり、

最低限これくらいしてくれるだろうという期待が裏切られたり、

そういった時に、僕たちは怒りや不満が出て来て、

クレームを言ったり、暴言をいったり、

行動として相手や物をなぐったりと

怒りを外に出すことがあります。

 

でもこの怒りを外に出す行為というのは、

実はずっと外に出し続けていてもあまり効果がありません。

 

勿論、行動として怒りのエネルギーを

体の外に出すという事は大切です。

怒りのエネルギーを外に出すと、

体の力がスッキリして、

こころに余裕が生まれてくるからです。

 

すると相手のことを許しやすくなったり、

諦めがつきやすくなるからです。

 

ただ、怒りをずっと外に出し続けていても、

気持ちが落ち着かず、

ずっとイライラしてしまうなんてことがあります。

 

それはなぜかというと、

怒りを生み出したと考えている

自分の外側の出来事や人に対して、

意識がずっと向いている状態だからです。

 

意識がずっとそういった自分の心の外側へと向かっていると、

怒りはいつまでたっても解消しません。

 

それは怒りは大切なものを守る為のエネルギーであり、

自分が大切にしたいものを大切にしたい、

大事にしたいからこそ湧いてくるものだからです。

 

それなのにも関わらず、

怒りをずっと外側に向けているということは、

そういった大切にしたい、したかったもの、

大事にしたいという内側の気持ちに

目を向けていない状態、

つまり意識していない状態ともいえます。

 

根底にある内側の大切にしたかった気持ちを

意識せずにずっと怒りを外に向けていると、

怒りは解消せずに残ってしまうことがあるのです。

 

ただ、怒っている時に、

こころを内側へと意識を傾けること自体、

ストレスが掛かりますから、

原則的には怒りを出した後に、

自分の気持ちを内側へと向けることが大切になるのです。

 

その為、カウンセリングにおいても、

怒りを行動を通して吐き出してもらい、

その後に意識を内側へと向ける取り組みを行います。

 

行動を通して吐き出す場合は、

・大声を出して怒鳴ってもらう

・タオルや新聞紙で椅子をなぐってもらう

・思いっきり息を吸って、息を思いっきり吐いてもらう

・文字で怒りを書きなぐってもらう

などです。

 

こういった「行動」を通して、

怒りを体から出して、

怒りがおさまってきたタイミングで、

意識を内側へ向けるような言葉がけを行います。

 

例えば、

「本当は大切にして欲しかったもんね!」

「本当はもっと一緒に笑っていたかったもんね!」

と相手が期待していたことを、

聴き手側が言葉にすることで、

その大切にしたかったことを感じてもらったり、

「本当はどうしたかった?」(自分に対して。)

「本当はどうして欲しかった?」(相手に対して。)

「何を大切にしたかったの?」(自分に対して。)

「何を大切にして欲しかったの?(相手に対して。)

といったような質問を通して、

意識をその大切にしたかったものへと向けてもらい、

それを言葉にしてもらうように援助していきます。

 

すると、自分が怒っているのは、

本当はこうして欲しかったし、

これを大切にしたかったからだ、

自分はこんなにもこれを大切にしかったのだと、

そのように気づいていくのです。

 

するとすると怒りは、

ただ外側へ向けている時よりもはるかに静かになり、

その怒りの意味に自ら気づく事で、

怒りは癒されて、解消されていくのです。

 

いかがでしたでしょうか?

 

もし、あなたが怒っている人の話を聞いてて、

共感もしているんだけれど、

上手くいかないなという時は、

このお話を思い出してくださいね。

 

怒りは、外側へ向けることは大切だけれど、

それは本質ではない。

怒りは、大切にしたかったもの、

つまり内側を守りたかったのだと。

 

だからずっと外側へと意識を向けていると、

怒りは一向に解消しないのだって。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。