カウンセリングをしていると、心理教育が必要な時があります。
心理教育というのは、読んで字のごとく
心理学の知識を教えるということであり、
教育的にかかわるということです。
例えば、うつ病の方が以前よりも気分の落ち込みが激しく、
マイナスなことばかり考えたり、自分を責めたりすることがあったとします。
これは、本人が悪いわけではなく、
うつ病の「症状」として表れてきていますから、
それを伝えることも心理教育の側面です。
知識をお伝えすることで、自分の状態を知ったり、
予防的な側面が期待されたりするのです。
カウンセリングをしているとこういった心理教育を行うことが間々あるのです。
上記の例以外にも例えば…
「その特定の場面で度々出てくる胸のぎゅっとするような感覚は、
心からのメッセージであることがあるのです。だから心のメッセージを聴いていくと
その胸の痛みが落ち着いてくることもあります。」
「心が弱いからうつ病になるのではありません。うつ病は心が弱いとか強いとかに関係なく、誰にでもなる可能性がある心の病です。」
「ぱっと浮かんでくる声が自分の本当の声だと思っているかもしれませんが、
ぱっと浮かんでくる声は、自分の本当の声ではなくて、自動的に浮かんでくるだけで、
自分の本当の気持ちを表しているわけではないのですよ。」
「自分の気持ちを表現したい場合は、まずは自分の気持ちに気づく必要があります。」
「コミュニケーションには、自分の範囲と相手の範囲という領域があり…。」
「コミュニケーションを取るときは、相手の領域も自分の領域も大切にする為に、
アイメッセージを用いるとうまくいくことがあります。
それでアイメッセージというのは…。」
「怒りというのは、大切なものを守るエネルギーなんですよ。
その怒りは、きっと何か大切なものを守りたいのだと思いますが…。」
「責めるという行為は、実は本質ではないのですよ。というのも…。」
「感情というのは、抑え付けると身体反応として出てくる時があります。また、感じないようにするといつまでも追ってきますから、感じるということが大切です。」
といったように教育的に関わることが間々あるのです。
というのも、ただ「知らない」というだけで対処できないでいたり、
ただ「知らない」ということが悩みを生んでいるなんてこともあるからです。
また、こと心の事に関しては、心理学的知識がある方は少ないですし、
悩みがちな方というのは、極端に考えることも多い為、
こういった心理教育の側面が大切になるケースも間々あるのです。
※心理教育はただアドバイスするのとは違います。
話を聴いて自分で解決していく方もいますが、
それだけでは今は不十分な方も勿論いるのです。
後者の場合は、教育的に関わる必要も、
積極的にカウンセラー側が関わる必要がある時もあるのです。
知識の提供はダメだと思われがちですが、そんなことはないのです。
目の前の人が今どのような状況か、目の前の人に今何が必要かを判断すること。
それがやっぱりとっても大切なのです。