気持ちを聞くときに役立つ視点。
人に話をする時は、感情が動いた時です。
「ねぇねぇ、聞いて!昨日ねディズニーに行ってきたの!それでね」
という話も、
ディズニーに行ったこと自体を伝えたいのではなく、
ディズニーに行って、例えば楽しいことがあった。
美味しい食べ物を食べて幸せな気分を味わった。
彼が不機嫌でせっかくの気分が台無しになって悲しかった。
といったように、
出来事を通して起きた感情をあなたに伝えたいし、
分かって欲しいのです。
こんな出来事があってね、こんな感情になったんだよ。
といったようにです。
だからお話を聞くときは、どんな感情を相手は分かって欲しいのだろう?
という視点が役立つのです。
そして、この時に感情とはどんな性質のものだろうか?
と知識レベルで理解しておくことも、話を聞く上で役立ちます。
例えば、相手に自分の気持ちを分かってもらえない時、
怒る人もいれば、悲しくなる人もいます。
それは何故だかわかりますか?
これを明確に答えられない場合は、
ちょっとこのお話をこのまま読み進めて頂き、
一緒に勉強していきましょう。
そんなん簡単だよ!
というあなたには、分かっている知識の確認になってしまうかもしれませんが、
よろしければこのまま一緒に読み進めて見てくださいね。
さて、感情を理解するには二つの視点が欠かせません。
それは、「メッセージ」と「期待」です。
この二つの観点から、お話を進めていきますね。
メッセージというと少し抽象的ですが、
何かあなたに伝えたいことがあって感情は沸いてきますから、
その「伝えたい」ことと理解していただければ大丈夫です。
感情は心からの「メッセージ」。
では早速、「メッセージ」からいってみましょう。
「感情なんてなければいいのに…。」
悩んでいると、そんなことも考えてしまいますが、
この感情は僕たちが生きていく上でとっても大切な役割を果たしてくれているのです。
例えば、「怒り」が湧いてくる時、僕たちはカッとなって頭に血が上ります。
すると臨戦態勢になり、すぐに行動がとれるようになりますし、
自分や大切な人やものを守ることができるのです。
では、なぜ「怒り」が湧いてくるのかというと、
それは自分や大切な人が被害にあったからです。
例えば、「あなたは本当に、ダメ人間ね!」なんて言われると、
怒りが湧いてくるものですよね。
「はぁ!?お前になんて言われたくないよ!」と言い返したくなります。
これは、自分というたった一人の大切な存在が、「ダメな奴」だと決めつけられたからです。
直接は物理的な被害を受けたわけではありませんが、
自分というアイデンティティを脅かされたという点で被害となります。
また、「あなたの友達のAさんて、自己中だよね。」と言われて怒りが湧き上がってくるのも、
大切な友人のAさんが勝手に評価をされて、自分の大切な人に被害が及んだと感じるからです。
「仕事は結局売り上げがすべてでしょ。そんな丁寧な接客とかいらないから。」
と言われて、怒りが湧き上がってくるのも、自分が大切にしている「丁寧さ」という価値観を、
否定されたという点で言うと被害となり、怒りが湧いてきます。
そして、この怒りはその被害にあったと感じる対象が大切であればあるほど、強くなります。
つまり、怒りは大切なものを守るエネルギーといえます。
さて、よく怒りと悲しみは表と裏であると言われますが、
悲しみはどんなことを僕たちに教えてくれるのでしょう。
悲しい時、僕たちは涙を流します。
そして涙を流すとによって意識が内側へと向かい、
その失ったことの大切さや、如何にそれが大切だったのかを感じることが出来ます。
悲しみは、僕たちに失ってしまったものが如何に大切だったかを教えてくれます。
その大切にしたかった、大切にしていたものへの思い入れが強ければ強い程、
悲しみは強くなります。
では、他の感情は何を僕たちに教えてくれるのでしょうか。
いくつか例を挙げてご説明しましょう。
恐怖感は僕たちに、その場やこれからやろうとしていることが、
安全ではないことを教えてくれます。
悲しみは、泣くことによって意識が内側へと向かい、
その失ったことの大切さや、如何にそれが大切だったのかを教えてくれます。
寂しさは、人とのつながりを感じさせようとしてくれるのです。
こういったように感情は、あなたに何か大切なことを教えてくれているのです。
つまり気持ちがわき上がった時というのは、
あなたに何かメッセージを伝えようとしてくれているタイミングであり、
心があなたの為に動いてくれているタイミングでもあるのです。
感情は『期待』を理解することがポイント。
では、感情はメッセージであるということを踏まえた上で、
次に理解することが大切なものが≪期待≫です。
僕たちは行動するときに大抵期待をしています。
「おはよう。」と相手に言うときも相手がおはようと返してくれることを期待しています。
相手の為に、部屋を片付けておいたとか、ある仕事をやった時、
「これ(片付けや仕事)やっといたから。」と相手に伝えた時、
感謝されることを僕たちは期待しますよね。
このように行動の背景には期待があるわけです。
この期待は相手へと向けられ、自分へも向けられます。
相手へは先に書いたように、ある行動した時にこのような反応(行動)をしてくれるだろうということです。
一方で、自分への期待に関しては、
『自分はこれくらい出来るはずだ。』
『自分はこういう人なはずだ。』
といったような期待です。
自分は、人を傷付けない人だと思っていたのに…。
といって悲しくなることや、自分にイライラすることがあります。
自分は、仕事でもっと稼ぐことができるはずなのに…。
でも現実がその期待と異なると、悲しくなったり虚しくなったり、イライラしたり…。
このように僕たちは、自分や相手に対して期待を持っています。
この期待が叶うか、叶わないかでどのような感情になるかが変わってくるのです。
例えば、「相手に自分の気持ちを分かってくれない…。」という
冒頭で挙げた例の場合、『相手は自分のことを分かってくれるはずだ。受け止めてくれるはずだ。』
という期待があります。
そしてこの期待通り(叶う)にいくと、安心し、嬉し気持になります。
『よかった!分かってくれた。』と。
でも、期待通りにいかなかった場合、つまり期待外れの場合は、
『なんで分かってくれないの!』と怒りの感情にかわるか、
『なんで分かってくれないの…。』と悲しみの感情にかわります。
期待外れが起きた時に、なぜ同じ期待外れなのに怒りと悲しみに分かれるのでしょう。
それは、その期待を取り戻せると本人が感じているか否かによって決まります。
例えば、期待外れ=分かってくれなかった場合、
「いや、だからさ!こうだって言っているじゃん!なんでわからないの!」
と怒るのは、分かって欲しいという期待を取り戻そうとしているからです。
怒ることで、分かってくれなかった期待外れをなんとかしようとしているのです。
バカにされて、「なんでお前にそんなにこと言われなきゃいけないんだ!謝れ!」
という反応がでるのも、自分への評価を撤回(取り戻そう)させようとしているからです。
このように怒りは、期待外れ+その期待が取り戻せると本人が判断した時に湧いくるのです。
つまり、「なんでわからないんだ!」と相手が言う場合は、
まだ分かって欲しい気持ちが残っていて、
なんとか相手に理解して欲しい気持ちが強くあると言えますし、
その理解して欲しいことが如何に大切かを暗に示しているのです。
※怒りは、大切なものを守るエネルギーでしたね。
※勿論他にも、反射的に自分を守るために怒りが湧いてくる時もあります。
さて、では悲しみはどうかというと、
悲しみは、期待外れ+その期待が取り戻せないと判断した時に湧いてきます。
『なんで分かってくれないの…。』と悲しくなるのは、
「分かって欲しい」という期待が叶わなくて(期待外れ)、
もう分かってくれないんだと判断しているのです。
※期待通りにはもう無理なんだ…という判断です。
だからもう取り戻せなくて、もう分かってもらえないんだ…と悲しくなるのです。
例えば、付き合っている人から酷いことを言われて、傷つけられて悲しくなるのも同じです。
付き合っている人から、
「あなたって何もないのね…。つまらない人…。」と酷いことを言われ傷ついたとしましょう。
この場合は、大切な人だったら自分のことを理解してくれるはずだという期待があります。
でも、その期待が叶わず、分かってくれない…。
大切にしてくれる人だと思っていたのに…。
そんな期待も叶わない。
もう二度と分かってくれないんだな…。
と判断して期待通りにはもうならないんだと、
自分が願っていた通りにはならないのだと判断して悲しくなるのです。
同じ言葉を言われて怒りが湧いてくるのは、
その評価を何とかしよう(取り戻そう)としているからです。
「何もなくなんかない!私だって○○な所はあるし、▲▼だってある!」
といったように、怒るのはきちんと自分を分かって欲しいし、
まだ分かってくれるはずだと判断しているからです。
このように感情の裏には、期待があります。
この期待が叶わない(期待外れ)時、怒りか悲しみにふれます。
怒りにふれる時は、その期待を取り戻したい、取り戻せると判断した時。
悲しみにふれる時は、その期待がもう取り戻せないと判断した時。
そして、怒りや悲しみの強度は、その期待していたものがあなたにとって、
どれだけ大切かによって変わってきます。
あなたが大切にしたい、して欲しいものへの思い入れが強い程、
それが叶わなかった時の怒りや悲しみは強くなるのです
怒りと悲しみを聴く具体的な方法
さて、感情は「メッセージ」であること、
そしてその感情は「期待」によってある程度感情の方向性が決まってくること。
期待外れの時に、怒りや悲しみが湧き上がって来て、
期待外れ(叶わなかったこと)を取り戻せると感じれば怒りに、
期待外れ(叶わなかったこと)を取り戻せないと感じれば悲しみに変わるのです。
ここまでは、理解して頂けましたでしょうか?
では、ここから話を聴く時にどのようにこれらの理解が役立つのかをお話していきますね。
怒りを聴く方法
相手が怒っている時というのは、期待通りにいかなかった+それを何とかしたいということです。
コミュニケーションにおいては、ここで相手の期待を汲むということが大切になってきます。
例えば、「相手が分かってくれなくてイライラする!」といった場合、
相手は当然分かってくれるはずだという期待や、
相手が自分のことを受け止めてくれて、感謝してくれるはずだとか、
そういった期待があることが多くあります。
そこを話の文脈を見ながら、その期待を汲み、
その期待を言葉にして伝え返してあげると、
分かってくれたと相手が受け止めてほっとすることがあります。
ただ、一番最初から思いを汲んでも上手くいきません。
というのも、怒っている最中は周りが見えなくなり、
それどころではないことが多いからです。
ですので、まずはペーシングをしつつ相手と同じようなテンションで話を聴いて、
怒りを受け止めることが大切です。
そして、その後にちょっとずつ怒りは落ち着いてきますから、
そのタイミングで期待を汲んで「そりゃ怒るよな!感謝くらいしろよな!(期待)」と、
言葉を返していくと、「そうそうなんだよ!」と相手は受け止めてもらった感じを強く感じ、
さらに少しずつ落ち着いてくることがあります。
また、その際に「感謝」は相手が大切にしている価値観ですので、
それを大切にしている目の前の方に対して、
その価値観を自分も大切にして聴けるとよりベターです。
例えば、
「あなたはいつも感謝を忘れない人だもんね。人はそういう一つ一つがの小さいかもしれない感謝が、大きな違いを生むしね。あなたはそういうこと分かっている人だもんね。」
とか、
「私はあなたのそういういつでも人に感謝する所が好きだよ。○○さんは分かってくれなかっただろうけどさ。」
といったように、相手が大切にしているものを自分も大切に聴けるとよりよいコミュニケーションが取れます。
ただ、ちょっと汲んだ価値観がズレていると逆に自分が怒られる場合もありますから注意は必要です。(汗
また、ちょっと話は変わりますが、一緒に怒るというコミュニケーションもとっても大切ですが、
ただ一緒に怒るだけですと怒りを増長させるだけになるケースがあります。
その場合は、ちょっと専門的なかかわり方が必要になりますのでここでは割愛します。
悲しみを聴く方法
最後に悲しみです。
悲しんでいる方というのは、大切にしたいことがあったし、大切にして欲しいことがあったのです。
その悲しみがつよければ強い程、それの大切にしたいものや、したかったものが如何に大切かが示されています。
ここでも、怒りと同じくその大切にしたかったもの(期待していたこと。叶えたかったこと。)を汲み取り、
言葉にして伝えるコミュニケーションが役に立ちます。
その為には、「何を大切にしたかったんだろう?本当はどうして欲しかったんだろう?」
という視点を持って相手の話しを聴くことが大切です。
このような視点を持って話を聴くと、「ただ悲しいんだな…。」ではなくて、
「どのように悲しいのか、どういう姿を思い描いていて、それがどのように崩れたと感じているのか?」が、
何となく見えてきます。
例えば、「彼に振られて悲しいんです。」という方の話を聴く時に、
そりゃ~好きな人に振られたら辛いよ。
ではなくて、どんな期待があったのか、どんなことを大切にしたかったのか?
という視点や、その大切にしたかったものがもう戻ってこないと感じているのだな
という視点を持って話を聴くことが大切です。
彼に振られたという方は、次々に色んなことをあなたに伝えてくれると思いますが、
そのそれぞれの言葉には、期待外れ(叶わなかった願い)が込められ、
それがいかに大切だったかを示してくれているのです。
例えば…
「彼には、そんな酷いことを言って欲しくなかった。」という言葉には、
→優しく接して欲しかった。私の事を大切に思っていてほしかった。(期待)
→お互いを思い合って関係を築いていくこと。(叶わなかった願い)
が含まれているかもしれません。
「本当だったら今頃彼が隣にいて、一緒に笑っていたはずだったのにな…。」という言葉には、
→彼と一緒にいる時間や、その繋がりを本当に大切にしたかった。(期待)
→今もずっと横で笑いあって支えてくれる将来。(叶わなかった願い)
が含まれているかもしれません。
このように一言一言には、その期待や願いがあります。
その思いを聴いて、受け止めて、言葉として伝え返していく。
それが悲しを抱える方の話を聴く時に大切です。
それはこのように…
「本当はもっと彼に大事にして欲しかったし、彼にそう思っていて欲しかったよね。」
「彼と本当はもっとずっと一緒にいたかったね。」
といったように、期待や願いを言葉にして伝え返してあげる。
そうすることで、人は自分の願いや大切にしたかったことに気づいていきます。
悲しみは、失ったことが如何に大切だったかを思い出させてくれる。
そんなメッセージでしたね。
ただ、期待や言葉だけを伝えた場合、
それがやっぱり大切だと感じるがゆえに、今はそれが叶わなくなってしまったという
そんな悲しさと出会う方も多くいます。
そんな時は、その悲しみをねぎらうことが大切です。
大切にしたかったことが、大切にできなかった。
たとえそれが自分で崩してしまったと感じていたとしても、
やっぱり今からでも、大切にしたいし、
本当に大切だったからこそ悲しくて涙が出てくるのです。
思いを向けてきた気持ちが強ければ強い程涙は出てくる。
(※涙が出てこないからといって悲しんでない。思いが強くないというわけではありません。
涙が出てこない場合は、事前に心の準備をしている時があります。「あ~もうダメなのか…。」って。
少しずつ心の中で準備をして、その時にきっと沢山悲しんでいるはずで、振られて涙が出てこないのは、心が急なショックに耐えられないから少しずつ準備をしてきたのです。そんな場合は、その自分をねぎらってあげて下さい。事前に分かっている。気づいている。けれども、見ないように気丈に振る舞ってきたわけですから。)
如何に思いを向けてきたのかを感じよう。
上手くいく、いかなかったという出来た出来ないの基準ではなくて、
どれだけ気持ちを向けてきたかに気づこう。
そこに声を掛けよう。
まとめ
さて、いかがでしたか?
感情として怒りと悲しみをメインに、その感情を抱える方の話の聴き方をお伝えしてきました。
怒りは、期待外れがあり、それを何とかしたい気持ち。
怒りを聴く時には、ペーシングをしつつ同じような声のトーンやテンションで聴いてみる。
そして落ち着いてきたら期待を汲み取って伝え返してみる。
そうすることで、自分がいかにそれ(期待・願い)を大切にしたかったのかに気づく事があります。
悲しみは、期待外れがあり、それをもう取り戻せないと感じている。
悲しみを聴く場合は、怒りと同様にペーシングをしつつ、期待を汲み取る。
そして願いも汲み取り言葉にして伝え返していく。
そしてそして、その悲しみをねぎらっていくことが大切です。
ちょっと長くなってしまいましたが、あなたのお役に、
そしてあなたと関わる人のお役に立てれば幸いです。
体験を通して聴き方を身につけたい方は、こちらにお越しくださいね。
それでは。またお会いしましょう。
※この記事は、原田先生から学んだことが多分に入っております。
とても素敵な先生です。ブログはこちら。