おとといくらいに面白い番組をみました。
日本に住んでいる外国の方が、日本の製品で感動したものを
母国の家族に持ち帰るというTV番組です。
見た方いるかな?
そこで、とある家族がウォシュレットをおじいちゃんの家持っていくんですが、それを持っていくのが、なんと12歳の女の子。
場所がどこだか忘れてしまいましたが、イスラム圏でした。
おじいちゃんは、ホースの水を使って手でお尻を拭いているらしく、
今回ウォシュレットを届ける事になったのでした。
そして、その届ける女の子は、なんとおじいちゃんに一回もあったことないんですよ(笑)
凄くないですか?
外国にいるおじいちゃん。
しかも、TVのクルー同行ですが、親も一緒じゃない中で、
一度もあったことがないおじいちゃんに、言葉も通じないのに会いに行く。
(いや~自分には無理だな…)
そんなことを思いながらTVを見ていたら、やっぱり、会いに行くにいくには理由がありました。
それは、おじいちゃんとお父さんを仲直りさせること。
そして、驚いたことに彼女は優秀なセラピストでした。
カップルカウンセリングでやることを彼女はしていたんです。
これにはちょっと驚きました。
では、彼女は何をしたんでしょ?それを今日はちょっと見ていきますね。
分かり合えない気持。
その12歳の子は、一人で外国のおじいちゃんのところにいって、
色々と苦労があって、時に泣くこともありましたが、
おじいちゃんの家につきました。
ドキドキしながら、インターホンをならすと、
おじいちゃんが出てきます。
すると、おじいちゃんはしばらく顔を見つめて、
「○○なのか!?」「嘘だろ…信じられない…」
と言って、涙を流して、その孫娘を抱きしめました。
実は、このおじいちゃん、
その子のお父さんともう20年も断絶状態。
だから、孫とも会うのもこれが初めてでした。
写真を息子(12歳の子のお父さん)の奥さんからもらっていたので、
初対面でもわかったのでした。
おじいちゃんは、ずっと教師をしていましたが、
ある時に突然辞めてしまい、いろんな職を転々とするようになります。
お父さんはおじいちゃんの教師姿に憧れ、教師を志していて、
お父さんからも、教師になれっていわれていたんですが、
急にかわった父を見て、家計も大変になり、
お母さんが倒れ、それでも仕事が長く続けない父をみて、
ある日に声を荒げて、喧嘩をし、手をだしてしまいました。
それ以来、家を飛び出て日本へ。
そう、それから会っていないのです。
その事情をしった娘(12歳の子)は、仲直りして欲しくて今回実はおじいちゃんちにいったのです。
この家族のように、喧嘩をしてしまうことってよくあると思います。
そして喧嘩とは、お互いに分かり合えない状態です。
お互いが、それぞれの意見を主張し合い、譲らない状態、理解しがたい状態と言えます。
つまり、お互いが分かって欲しいけど、お互いが譲らず分かってくれない状態とも言い換えられます。
この喧嘩をしている状態で、カップルカウンセリングに来る方がいますが、
そこでセラピストは、あることをします。それは…
喧嘩には通訳する人が必要。
ここでの通訳とは、英語を日本語に訳すというわけではなくもちろんありません。
では、何を通訳するの?というと、二人で話すとまた喧嘩するので、
セラピストが間に入って、お互いの言い分を聴いて、
その言動や行動の裏にある真意をくみ取ります。
例えば、
男性「こいつ待ち合わせの時にいつも遅れてくる。そしていつも時間にルーズなんだ!」
女性「何よあなたそんな小さなことで!」
といった場合に、こんなことをセラピストは聴くのです。
セラピスト「時間を大切にしたいんですね。彼女に時間を守ってくれたどんな気持ちになりますか?」
男性「そりゃ~、おれはきっちりしたいタイプだから、いつも計画を立ててるから、安心するよ。」
セラピスト「安心しますよね。そして、その計画はあなた自身の為だけではなく彼女の為でもある?」
男性「そうですね。色んな所に行くのが好きで、沢山連れて行ってやりたいんですよ。だから時間が気になって。」
セラピスト「そうでしたか、彼女に楽しんでほしくて、一緒に色んな所に行きたいからこそ、大切な時間だったのですね。」
セラピスト「あなたは、彼がそんなことを考えているのを知っていましたか?」
女性「いや、そんなの初めて聞きました…。そんなこと思ってたんですね。」
このように、一見理解しがたい相手の行動も、
紐解いていくと、その背景には、その行動を大切にする肯定的な理由や想いがあります。
これを肯定的意図といいます。
とある心理の分野では、この肯定的意図は人の行動には必ずあると言っています。
カップルカウンセリングで汲み取るのは、この肯定的意図です。
お互いが、この肯定的意図に気づいていないからこそ、すれ違いが起きているのです。
この肯定的意図をくみ取り、この行動は実はこんな思いからだったんですよって通訳をするのです。
すると、行動レベルでは理解できないことも、
それは例えば、彼・彼女なりの思いやりだったんだな。
一緒にいる時間を大事にしたい気持ちの表れだったんだなと、
その行動にある思いがわかります。
人は行動自体はわからなくても、思いは伝わります。
すると、「そうだったのか」と、お互いに歩み寄る気持ちや理解する気持ちが湧いてくるんです。
その女の子がしたことは、行動の背景をくみ取ること。
さて、ではあの女の子の話に戻りましょう。
その女の子は、おじいちゃんと過ごすうちにおじいちゃんのある秘密を知りました。
それをしった彼女は、意を決して日本にいるお父さんに電話して、
「お父さん、大切な事があるから来て!」って説得をしたのでした。
そして、おじいちゃんの家にその二日後、お父さんが来たのです。
最初は、「何だお前か、帰れ。」
といっていたおじいちゃんも、孫娘の言葉に説得され、
お父さんを家に入れたのでした。
そこで、ずっと無言の二人。
そりゃそうです。20年ですよ。20年…。
そこで、女の子がある行動にでます。
それは、手紙を読み始めるのです。それはこんな手紙。
「お父さん、あなたは知っていましたか?」
「おじいちゃんはずっと腰がこの20年悪かったこと。」
「そして、その腰の痛みは立っているのがやっとのくらい。」
「20年前、先生を辞めたのも、それが原因でした。」
「手術をしなくちゃいけなかったけど、
お父さんの大学の学費に手を出さないといけない位のお金が必要だった。」
「だから、おじいちゃんは手術を受けずに、立ち仕事ではないデスクワークについたこと。」
「お父さんは知っていましたか?外回りに回されて、すぐに辞めたのも、腰が痛かったから。」
「お父さんはしっていましたか?」
それをしったお父さんは愕然とし、
「お父さん本当ですか…?」
「それは言わない約束だろ」といいつつ、
「そうだよ。でもお前は教師にならずに日本に逃げた。」と責めます。
そこで、また女の子は手紙を読みます。
「おじいちゃん、あなたは知っていましたか?」
「お父さんが、教師につかなかったのは、家計が厳しくてお母さんが一家を支えている姿を見て、
何とかしたいと思ったから。」
「だから教師ではなく、お金を沢山稼げる日本に行って、仕送りをしていたこと。」
「諦めたのではなく、家族を支える為だったこと。あなたは知っていましたか?」
そう、不器用な二人は、お互いにその行動の意味を知りませんでした。
おじいちゃんは「あいつは逃げて家族を裏切った。」と思い、
お父さんは「仕事を好き勝手に辞めて、家族を苦労させたひどい父」と思っていました。
でも、蓋を開けてみれば、お互いが家族の為を思っていたのです。
人の行動の背景には肯定的な意図があります。
その意図をくみ取ること、行動そのものではなく、
その裏の気持ちに目を向けてみる。
それがお互いに歩みよる一つのきっかけになり、僕たちが聴く時に大切なことなんじゃないかなって思います。
その親子は最後はお互いに泣きながら、抱きしめ合って和解をしました。
それにしても、その子の勇気と家族の愛に涙が溢れてくるいい番組でした。
