傾聴講座をしていてよくこんな思いをお持ちの方が多くいます。
「相手の気持ちを理解したい。」
そんな思いを持っている方です。
よくよく話を聴いていくと多くの場合、ここに辿り着く方も多く、
それほど”人の気持ち”を理解するっていうのはテーマなんだろうなって、
そう感じます。
と、こんなことを書きながら、僕も相手のことを理解したい。
相手に寄り添いたいという所からカウンセリングを始めたので、
同じなんですけどね。(笑)
さて、この人の気持ちを理解したいという気持ちの奥には、
相手が今どんな気持ちなのか?
今どんなことを考えているのか?
そんな相手の気持や考えも理解したい。
という方も多いように思います。
気持ちを理解することが出来なくても、コミュニケーションはできる。
すごく極端なことを言えば、
気持ちを理解しなくてもコミュニケーションは成立します。
例えば仕事の場合は、
お互いにこうしたいという考えが伝わればある程度は、
仕事はうまくいくわけですね。
これをしたくない。
あれがしたい。
という個人的な気持ちはありますが、
多くの場合、「そんなこといっても仕事だからしょうがない。」といって、
気持ちを”諦める”なんてケースも多くあります。
友人や家族に対してもそうですね。
お互いに、例えば、
「電気を消してほしい。」
「子供の面倒を見てほしい。」
「○○の事情があるから、今日は一緒に遊べない。」etc.
といったように、互いの考えや意見が伝われば、
その背後にある気持ちに気づかなくても、
ある程度はコミュニケーションは成立します。
でも…。
そういはいっても、人には気持ちがありますから、
考えや意見が分かったとしても、
気持ちが納得しない。
なんてことがあるのが難しいところなのです。
考えや意見が分かっても、納得いかないことが沢山ある。
小さいころこんなことってよくありませんでしたか?
「脱いだらすぐに片付けなさい!」
と言われ、言っていることや考えは至極まっとうなんだけど、
でも、なんだか親から言われるとイラっとくる。(^^;
こんなこと沢山ありませんでした?
言っていることわかるけど、なんでそんなこと言うんだよ!と怒りを抱えたり、
その考えは正しいけど、それは聴きたくなかった。と悲しくなったり、
考えはわかるけど、でも気持ちが納得せずに気持のわだかまりを抱えてしまう。
なんてことって多いと思います。
そう、ご存知のように、人は頭(考え)だけで動いているのではく、
心(気持ち)があります。
だから、頭ごなし(考え)に言われても、
心(気持ち)が納得しないと、本当の意味で腑に落ちないのです。
それが、考えが分かっても、納得しない理由なのです。
そして、冒頭の相手の気持ちを理解したい。
という思いはここに通じていて、
人は、相手の考え(頭)ではなくて、
心(気持ち)を理解したいのです。
ただ、僕たちは気持ちを抑えるように生きてきた。
僕たちは社会で生きていく為に、
常識を身につけていき、
人に迷惑をかけてはいけない。
人には優しくしなさい。
男の子は泣かないの。
女のことはおしとやかに。
といったように色んなことを学び、
自分の気持ち(心)を抑えることを学んで生きてきています。
それもこれも社会に適応して生きていく為であり、
そういった多くの共通認識を持つことで、
コミュニケーションを取りやすくする為でも、
社会で生きるルールを学ぶ為でもあります。
その為、僕たちは自分の気持ちをあんまりうまく表現しないで、
生きてきている場合も多くあります。
特に大人になって働くと、
気持よりも優先することが沢山ある為に、
本音と建前を学んできます。
一種の処世術ですね。
例えば、仕事を頼まれた時に、
「この仕事を明日までにやっといてね。」と言われた時。
「いつもいつも急なんだよ!もっと早く言えよ!」
と本音では思っていても…。
「はい!わかりました!明日までにやっておきます。」
と建前上は言いますよね。
このように、本音と建前ってある程度必要で、
僕たちは仕事だけではなくて、
プライベートでもそれを使い分けて生きてます。
それは何も悪い事では全くないんですよ。
様々な状況に対処するに役立ちますからね。
ただ、この本音と建前がコミュニケーションを難しくします。
それは、
「こういっているけど、本当のところはどうなんだろう?」
という疑問がついて回るからです。
だから、相手の気持ち(本音)が分からない。
「何を相手は考えているんだろう?」という疑問が出てくるのです。
「本当は今どんな気持ちなんだろう?」と、僕たちは考えを巡らせるのです。
それもこれも、僕たちは自分自身がそうであるように、
本音と建前が違うからです。
そりゃ~、みんなが本音でコミュニケーションが取れたらいいけれど、
なかなかそうはいかないのです。
ただ、本音で人と人がコミュニケーションを取れるように、
そして、自らに気づいて前に進めるように、
そんな取り組みをカール・ロジャースさんというカウンセラーは、
グループエンカウンターという手法を用いて取り組みましたが、
それもある程度安全な空間での事です。
世間一般で素直に怒りを表現したりすると、
関係がかえって悪化したりもしますから、
なかなか本音でのコミュニケーションをいつもするというのは、
難しいのです。
気持ちが見えないのは、建前があるから。
僕たちが相手の気持ちを理解する時に、
困難さを感じるのは、こういった本音と建前があるからです。
そして、さらに難しく感じるのは、
本音は言葉に表れることが少ないからです。
では、どうやって気持を理解するのかというと、
それは非言語を捉えることです。
人の気持ちは非言語に表れますから、
その非言語を聞くこと。
それが相手の気持ちを理解する一つの方法です。
例えば、「本当の気持ちを教えて?」と、
聞いてみることもいいんですが、
それでもやっぱり出てくる答えは、
本音かどうかわかりません。
関係性によって、言える範囲での言葉だったりしますから、
やっぱり、そこでも本音かどうかを判断するには非言語を。
ということにもなるのです。
では、どうやって非言語に気づくかというと、
それは、言語と非言語の不一致に気づくこと。
これが最初のステップです。
例えば、
「最近調子どう?」と相手に聞いた時に、
「元気だよ〜!」って、相手が言った際、
その元気だよという言語と、
声のトーンだったり、表情だったりの非言語が、
どれだけ一致しているのか。
声のトーンは元気なように明るいのかな?
表情はどうだろう?
といったように、発している言葉と、
非言語に気づくこと。
これがまず最初のステップです。
人の気持ちを理解するにもまずは”気づかない”とわかりませんから、
最初にこの気づくというステップが大切になるのです。
とはいえ、いきなり気づくというのは難しいですから、
もう一つの視点をご紹介します。
それは、相手の言葉の背景にある期待に気づくということです。
ちょっとだけ長くなりますから、この期待については、
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