傾聴

傾聴とは、何かをあなたは知っていますか?

なんか言葉だけは聞いたことがあるけど、

ようは聞くってことなんでしょ?

というイメージをお持ちの方が多いですよね。

そこで、今日は”傾聴”ってそもそも何なの?という傾聴入門をお伝えしていきますね。

傾聴を知るには、まずは来談者中心療法を知る。

傾聴は、カール・ロジャースによりって創られた来談者中心療法という

心理療法における応答技法のひとつです。

この傾聴を理解するには、まずはこの療法の理論的基盤を知ることが大切です。

さて、ロジャースよって創られた来談者中心寮では、

パーソナリティの問題(個人の悩み)は、

自己概念と経験の不一致によるものと考え、

この二つが一致すれば、悩みは解決する考えたわけです。
ちょっとだけ難しい言葉が出てきたので、すごいざっくりですが、ご説明!

自己概念セルフイメージのことで、自分自身のことを自分がどう思っているかということです。

例えば、「私は優しい人である。」「私は、気が弱い人である。」「私は仕事ができる人である。」

といったような事がセルフイメージに当たります。


経験=あなた自身が今体験している私のことです。

例えばあなたの”自己概念”が、「私は仕事ができる人」であっても、

実際に今あなたが”経験”していることが、仕事が失敗して、「何でお前はこんな仕事ができないんだ!」

と上司から怒られたとしましょう。

すると、実際に”体験”しているのは、「仕事ができない自分」です。

すると、自己概念と経験の間にギャップが生まれます。

 

これをうまく取り込めて、自己概念が修正できればいいんですが、

例えば、「仕事ができる人間である」➡「仕事ができない時もある人間である。」といったように。

ただ、これができないと=その経験を受け入れられないと、

「いや、仕事ができないのではない。このミスはクライアントが悪いんであって、私のせいではない。」

「だって、私は仕事ができるし、ミスはするはずがない。」

といったように、本当は私のミスなのに、事実を歪めて解釈したり、相手を責めたり、

他にもいろいろと仕事ができていないという指摘などを否定したり、

もしかして、私は本当は仕事もできず、ダメな人なんじゃないかっていう恐れを抑圧したり、

自分のイメージを守ろうしたりします。

 

このように、自己概念に、経験をうまく取り込めない時に、

問題(悩み)が起るとロジャースは考えたのです。

そしてこの状態を自己不一致状態として、カウンセリングの対象としたのです。

問題(悩み)を解決するには、自己概念と経験を一致させること。

ロジャースは、人には、生来、自己成長の力や自己実現へと向かう力、

簡単に言うと、”良くなる力”が備わっていると考えていました。

ただ、先ほど説明した自己不一致(自己概念と経験の不一致)の状態だと、

その良くなる力が阻害されて、本来は自然と前に進む力があるはずなのに、

それが発揮できずに、悩み苦しむと考えました。

 

そこで、問題(悩み)を解決するには、例えば気分が落ち込むとか、

夜寝れないとか、胸が苦しいとか、過去の事を引きずってしまうとか、

そういった症状を取り除くんじゃなくて、

自己概念(私が思う私)と経験(今の私)が一致すれば、

つまり両方の私を受け入れることができれば、その良くなる力が花開き、

症状もなくなっていき、人は自然と前に進んでいくものですよ。

って、考えたのです。

ロジャースの根底には、人間に対する”信頼”があったんですね。

問題を解決し、自己一致へと進む為に、傾聴がある。

さて、では、どうやってこの”自己一致”(私が思う私)と”経験”(今の私)は、
一致していくんでしょうか?

ロジャースは考えました。

自己一致へと進んでいくためには、

それには、相手を無条件で受け入れ

相手の気持ちに対して共感的に理解していることを示し、

相手の気持ちをそのまま伝え返したり(オウム返し)

まとめて伝え返したり(要約)

まだ言葉になっていない気持ちを感じ取り、

カウンセラー側が言葉にして伝え返したり、(明確化)

することで、相手は自分自身を受け入れ、

自分に気づき、自己一致へと進んでいくと考えたわけです。

 

もう、勘が鋭い方はお気づきかもしれませんが!

傾聴は、自己不一致にいるクライアントに対して、

つまり、問題(悩み)を抱えるクライアントに対して、

問題そのものをどうこうして関わろうとするのではありません。

 

傾聴とは、目の前の人が”自分自身”を受け入れられるように、

援助する為の”応答技法”なのです。

傾聴は手段であって、目的ではない。

傾聴をする、傾聴を学ぶ時に、

これまで説明してきた、傾聴が何のためになされるのかを、

理解していないと傾聴の意味があまりありません。

 

傾聴という技法だけにフォーカスしていても、

技法だけではうまくいかないからです。

 

そもそも、傾聴とは、相手を理解し、受け入れ、

相手”も”自分自身に気づき、受け入れられるように、

そして、相手と”気持”の交流を通じて、

自分の気持に気づき、相手の中にある”良くなる力”が、

花開くように、援助する為に用いられる手段だからです。

 

そう、手段であって目的ではないのです。

ここはついつい忘れがちですが、

大切なポイントです。

傾聴の手段とその効果

これまで、傾聴について説明してきました。

では、具体的にどんな応答技法なの?どんな聴く技術を用いているの?

というところが気になりますよね。

 

この文章の中盤くらいでも、ちょっとだけご紹介しましたが、また、ご説明しますね。

・オウム返し

相手の気持ちをそのまま伝え返す。
(語尾や、単語を伝え返す。)

例:「今日は晴れて、なんだかすがすがしい気分です。」

「そうですよね、すがすがしい気分ですよね」

このように、相手の語尾や単語を繰り返すことです。

・これにより相手に聞いていますよ。というメッセージを送ります。

・相手の口から客観的に自分の言葉を聞くことで、

自分はそんなことを思っていたのかと気づきになり、

自分との対話が進むことがあります。

・要約

相手の話をまとめて伝え返すこと。

例:「いや、聞いてよ。昨日さ、電車に乗っていったらさ、急におっちゃんがぶつかってきてさ、

あやまりもしないのよ、それでイラっとしてさ、だけど降りて行っちゃったからさ、その人、

だから、もういいやと思って、空いてたから座ったのよ。そしたらさ、隣の女の子がさ、

イヤホンつけて音楽聞いているんだけど、これがうるさくてさ、もうなんの、今日は!って、

そう思って、ほんとイライラしたよ、電車の中では静かな気持ちで過ごしたいのにさ。」

「電車で、おっちゃんにイラッとしただけでなくて、隣の女の子まで音楽がうるさくて、

 静かな気持ちで過ごしたいのに、さんざん一日でしたね。」

このように相手の話を要点を絞り、まとめて伝え返と、

・ごちゃごちゃしていた相手の気持ちが整理される。

・客観的に自分の話を捉えて、吟味できる。

・聞く側の理解を確認できる為、話し手とのズレが少なくなる。

などの効果があります。

ちなみに日常会話で要約しすぎると、

嫌われかねませんので、ご注意を(^_^;)

・明確化

相手がまだ言葉にしていない気持ちを感じ取り、聞き手側が言葉にして伝え返すこと。

例:「なんだかこう、本当はやりたかったんだけど、出来なかったんだよね。

でも、それはしょうがないと思っているんだよ。でもね、なんだか、

何とも言えないけど、よくその時のことを思い出すと、嫌な気分になるんだよ。」

「なんだか、話を聴いていると、整理しきれず後悔している気持ちがあるように感じますよ。

「あぁ、そうだね、やっぱり気持ちの整理がつかないんだよ。」

このように、まだ相手が言語化できていない体験を、

こちらが言葉にすることで、

・自分の何とも言えない気持ちに気づき、わかってくれたという気持ちが相手が強まります。

・自分の気持ちを吟味するプロセスが起こり、会話がより本質的な方向へと向かいます。

・相手が自分の深いところの気持ちに、タッチするということも起こりえます。

 

傾聴では、このような応答技法があります。(他にもありますが、またの機会に。)

それもこれも、先ほどご説明した通り、

相手が自己一致へと向かい、良くなる力が花開くように、

援助する為にあるわけですね。

技法だけではなく、態度があって初めて意味を成す。

さて、もうちょっとだけ突っ込んで今日は話をしていきます。

これまで、傾聴は、相手が自分の良くなる力に気づき、

それが開花するように関わる為の応答技法であるとお伝えしましたが、

実は、この傾聴スキルを用いる前に大切な事があります。

それは聞く側の態度です。

ロジャースは3つの態度が大切だと考えていました。

1つ目:聞く側の人が自己一致していること。(イメージの私と、今の私のギャップがない。悩んでいない。)

2つ目:無条件に相手を受け入れること。(~が出来たから受け入れるのではなく、出来てもできなくても相手はokである。)

3つ目:共感的に理解していること示すこと。

この3つの態度をもって、悩みを抱える相手の話を聞くこと、

そして、話し手と聞き手側に心の交流を持ち、

相手が共感してくれていると”感じる”ことで、

その良くなる力が花開くと実は、考えたのでした。

 

ということはです。

態度という土台の上に、

傾聴という応答技法があるのです。

 

つまり、聴くということは、

自分にも取り組むことで、

本当に聴く事が出来るようになるわけなのです。

自分という土台の上に、技法が活きてくる。

 

それが、傾聴なのでした。

傾聴が出来るようになると、起こること。

さて、この傾聴が出来るようになると、

どんなことが起きてくるのでしょうか?

聴く事が本当の意味で出来るようになってくると、

 

・「なんだか聞いてくれて気持ちがスッキリした!」

・「気持の整理がついて、一歩踏み出そうと思う。」と気持ちが前向きになる。

・「今まで気づかなかった、自分の気持ちに気づけた。」

・自分のタイミングで話を聞かなくなる為、相手が話しやすい。安心感を抱いてくれる。

・話を待てるようになれる。

・コミュニケーションのずれが少なくなる。

・話をしていても、聴く2割、相手が話すことが8割くらいになる。

・「こんな自分でもいいんだ。」ってそう思えた。

・人ってこんなにもあったかいんだと、今の自分でいいんだと気づく。

・アドバイスをしなくても、自分の力で解決していくようになる。

・短い時間で、相手が自分の深い気持ちを話してくれるようになる。

・自分の心の奥にある気持ちに気づき、癒しが起こる。

といったことや、相手が上述のように感じる瞬間が増えてきます。

 

もし、聴くことができれば、

今よりも、ちょっとだけ、相手の心の声が聴けるようになります。

今よりも、ちょっとだけ、相手のことを理解できるようになります。

その理解を通じて、相手自身も、自分のことを見つける瞬間がちょっとだけ増えてきます。

 

聴くっていうことは、派手ではないけれど、

誰かの心の支えになる事があります。

「自分のことをしっかりわかってくれた。受け止めてくれた。」

そんな小さな体験は、人生においてそれだけで財産になることがあります。

そう、僕が経験したように。

 

傾聴とは、そんな瞬間が結果として創られていったり、

人が自ら進むきっかけになったり、

自分を受け止めるキッカケになったり、

自分の中にあるものに、気づくキッカケになったりします。

 

そして、何もよりも、深く聴くことができれば、

聴くことを通じて、心と心が繋がりを感じる事ができて、

相手も自分も大切にすることができる。

聴くということは、相手のこころを、相手そのものを大切に聴くっていうことですからね。

だから、僕はその”手段”として傾聴をお伝えしています。

人生において、そんな瞬間がちょっとだけでも増えたらいいなってそう思って。

その道のりは、簡単ではないけれど、

歩む価値がある大切な道のりだと僕は信じています。
(偉そうに書いてますが、まだまだまだ道半ばです(^^;)

 

そして、もし、その道のりを一緒に歩みたいと感じたら

是非学びに来てくださいね。いつでもお待ちしています。

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1・・・オウム返し     2・・・感情反射

3・・・要約         4・・・感情の明確化

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さらに、詳しくは傾聴の全体像を学びたい方は「初めて傾聴を学ぶあなたへ知っておいて欲しい事」をご覧くださいね

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。