講義をしていてよくこんな質問を受けることがあります。
「傾聴ってただ聞くだけでしょう?」って。
この言葉の裏には、聴くだけ=価値がない・意味がない。
そんな前提が含まれているように感じます。
聴くだけというのは、結局意味がないのかなとそのように感じている方って、
こういった質問に代表されるように多いのではないかと思います。
ただ、これに対しては僕は本当にそうかな~?と疑問に思うのです。
このせわしい世の中に生きていると、
実はあまり話を”ただ聞いてもらえる”という体験は実は少ないのです。
アドバイスが途中で入ったり、
相手の意見を言われたり、
否定されたり、
受け止めてもらった感じがなかったり、
ながら聞きをされたり、
自分の話ばかりだけしたり
といったように。
本当の意味で、目の前の人に丁寧に意識を傾けて、
しっかりと聞いてくれる人というのは、やっぱり少ないのです。
だから僕がカウンセリングをしているとたまにこんなことを言われます。
「初めてかもしれないこんなに聞いてもらったの。」
「聞いてもらうだけで安心するんです。」
といったように。
こういう言葉を聞くとやはり、
じっくり聞いてもらった経験をした方って、
案外少ないのかなとやはり思うのです。
じっくりと、ただ一生懸命に聞いてもらう。
一緒にいてもらうという経験は、
本当にかけがえのない時間になります。
僕たちはストレスにさらされて、
落ち着いて自分と向き合える時間や、
自分自身を丁寧に感じる時間が持てないことが多いのです。
それが余計にストレスを増長させることにもなりますし、
安心して自分の気持ちと向き合える。
安心して自分の気持ちを話すことができる。
そんな関係や場は、何よりも大切なのです。
そして、傾聴はただ聞くということ自体が少し誤解があるのです。
ただ、そのお話はまた今度。