ただ話を聞いて欲しい人の気持ち

「ねぇ、ねぇ聞いて聞いて、昨日ね。こんなことがあってね。」

そんな言葉から始まる話は、二つの単純な期待が込められている。

それは、”ただ聞いて欲しい” ということではなくって、

”気持ちを共有したい”ということと、”気持ちを理解して欲しい”

というそんな単純な二つの期待が込められている。

 

でも、僕たちはそんなことに気づかずに、

「結局何が言いたいの?」と、結論を求めてしまったり、

「そんなこと別に私は知りたくないんだけど…。」って、邪険にしてしまったり、

「それでどうしたいの?」と、ゴールを聞きたくなったり、

「それは、○○が悪いよ。だからこうしたらいいよ。」って、結論を出したりして、

そんな単純な二つの期待に気づかない。

 

だからせっかく話してくれた相手はこう思ってしまう。

「ただ、わかって欲しいだけなのに…。」って。

 

だからせっかく話してくれた相手は思ってしまう。

「こんなことがあったってあなたに知って欲しかっただけなのに…。」って。

 

僕もあなたも、聞くことに目的を与えすぎていて、

単純に相手の話を楽しんで聞けないのだ。

相手があなたに話をするのは、○○が動いたから。

さて、ここでちょっとあなたに知って欲しいことがある。

それは、あなたに話をするということは、何か感情が動いた出来事があったからだ。

勿論、仕事上の伝達事項や何か情報を共有しなければいけないとか、

そういった場面は除いての話だ。

 

だから相手があなたに何かを話してくれるということは、

相手の中の感情が動いたのだ。

だからそれをあなたに知って欲しいし、聞いて欲しいのだ。

だって気持ちが動いたんだから。

 

楽しいと感じたことや、悲しいと感じたこと、怒りを感じたこと、

退屈を感じたこと、喜びを感じたことetc…。

 

僕たちの毎日は、感情によって彩られている。

だから、その時々の色(感情)をあなたと共有したいのだ。

こんなに綺麗だったんだよって。

 

だから、相手があなたに話してくれた時は、その感情を受け止めてあげよう。

最初に書いたように、僕たちにはその感情をあなたに理解して欲しいし、

共有したいのだから。

 

勿論、わからないことがあってもいいし、

受け止められないことがあってもいい。

 

ただ、こういう気持ちが相手にあったんだということだけは、

きっと理解できるはずだ。

 

だから、わからなくてもただ受け止めてあげよう。

そして、もし受け止められない時は、そんな自分を自分が受け止めてあげよう。

受け止められるに越したことはないけれど、出来ない時だって当然あるのだから。

アドバイスは控えよう。

そして、ただ話をしたい人に対してはアドバイスは極力控えよう。

「結局何が言いたいんだ?」とイライラせずに。

ただ聞いて見よう。

自分が何を言いたいかまとまってない人だっているし、

自分が何を考えているかなんて、言葉にしないとわからないこともあるのだから。

 

そして、目的のない会話を楽しむ余裕を持とう。

相手が求めているのは、ただ話をすること。

感情の置き所に困っているのだ。

決して、何かをしたいわけでもないのだ。

 

だから、アドバイスしないと!って、勝手に気負わずにただ聴いているだけでいいんだよ。

ただ聴いて、その気持ちの置き所を与えてあげればそれで充分。

 

ただ話したい時、僕たちはアドバイスなんて求めてないことがほとんどなのだから。

 

そしてね、ただ聞いてくれる人って実はなかなかいないのですよ。

聞いてあげなくちゃ、

良いこといわなくちゃ、

気持ちを楽にしてあげなくちゃ、

とか気負ってしまって、

アドバイスをしたり、

否定してしまったり、

話を遮ったり、

何がいけなかったんだろうと原因を探ったり、

そんなことがとっても多く、

ただ聞いてくれる人って実は少ないのです。

 

だから、ただ聞いてくれる人というのは、

とっても貴重な存在なのです。

ただ聞いて欲しい人が求めているのは、

実は僕たちにとって一番ハードルが高いかもしれないただ聞いてもらうこと。

それが出来る聞き手になれたら、とっても素敵ですね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。