良いクライアント。悪いクライアント。
そんな定義なんてそもそもないんだけれど、
良いクライアントを気づかぬうちに演じちゃう人っています。
先生に褒められたい。認められたい。
そんな気持ちがむくむくとクライアントさんに湧いてくると、
その人は良いクライアントになっちゃうんです。
それは、何もその方が悪いわけでもなく、
カウンセラー側が気づくか気づかないかだけの話なんですが、
僕は最初のころ気づきませんでした。(汗
気づかないとさぁ大変。
では、気づかないとどうなるんでしょ?
それはこんな感じです。
「先生!先生に話を聞いてもらって本当によかったです。」
「すごく気持ちがほっとしました。ありがとうございます。」
「なんだか最近調子がいいんです。」
「○○ができるような気がするんです。」
とクライアントさん。
「いやぁ~すごいですね!この調子で行きましょう!」
とカウンセラーが答える。
カウンセラーの中には、こんな気持ちがむくむくと湧いてきます。
「いや~すごいな~よかったね!」って。
「大変だったもんね。そんな気持ちになるだけすごいね。」って。
でも…、この場合ほとんどうまくいかないんです…(^^;
僕も、何度も経験しました…。
それはなぜでしょ?
喜ばせようとしていることに気づくこと。
カウンセリングはそもそも、自分のテーマと向き合うことです。
それはクライアントさんが自分自身と対話できるように、
自己成長できるように援助する人間関係であるわけです。
だから、カウンセリングでは、自己成長しているように見えると、
上手くいっているなと思いがちですが、
冒頭のケースだと、それはうまくいっているというようりも、
カウンセラーに嫌われたくなかったり、喜ばせようとしたり、
いい子を演じているケースが多いのです。
では、その時に相手の中では何が起きているんでしょ?
考えられることは沢山あります。
・相手に気に入ってもらうことで、人間関係を円滑にしてきた。
・相手に嫌われること過度に嫌い、見捨てられたくない気持ちがある。
・例えばカウンセラーが男性であれば、小さいころにお父さんからの愛情がとっても欲しかった。
・本当はうまくいってないけど、それを言って落ち込ませたくない。
・その場をしのぐために褒めて終わらせようとする。
などなど、実はいろんなことが考えられます。
でも、相手からありがとうございますとか、
先生のおかげです。なんだか出来そうな気がします。
とかそういうことを言われると、嬉しくなっちゃって気づかないのです。(^^;
それで一緒になって、「すごいじゃない!」って褒めて、
「あとちょっとだ!頑張ろう!」っていうと、
大体次の回で「できませんでした…。」と落ち込んでいるか、
面接自体にこなくなったりします。
(あぁ~自分で書いてて耳が痛い。Orz)
その時に起こっていることに気づくこと。
これを防ぐには、その瞬間に起きていることに”気づく”ことしかありません。
なぜなら気づかないと、”本当に”うまくいっていると思っちゃって、
見過ごしちゃうからです。
先の…
「すごく気持ちがほっとしました。ありがとうございます。」
「なんだか最近調子がいいんです。」
「○○ができるような気がするんです。」
という例であれば、本当にそうなんだろうか?もしかして、
喜ばせようとしているんじゃないか?と気づくことです。
そこで、そっかすごいね!って褒めるんじゃなくて、
「本当に本当にできるの?」って疑惑の挿入を入れたり、
「いやぁ、まだ無理でしょ。まだ辞めた方がいいって。」とパラドックスな介入をしたり、
「そっか!でもそんなこといって、”また”失敗しちゃうんじゃない?」と引いてみたり。
褒める選択肢以外を選ぶことの方がいいケースが多くあります。
というのも大体そのできるというのはハードルが高いケースが多かったりもしますからね。
「そっか!すごいじゃん。いいことだね!じゃやってみよう!」
と褒めたら、やっぱり相手は嬉しいですよ。
だから期待に応えようと思っちゃいます。
でも、その期待はいつしかプレッシャーになり、
期待に応える事が出来なかった…。
どうしよう…。
喜んでほしくてあんなこといったけど、
本当にできるかな…。
って不安になったり…。
なんてことも多いものです。
カウンセリングにおいて”褒める”コミュニケーションって、
実はあんまりうまくいかないことって多いのです。
そして、相手が良いクライアントになっていたら、
褒めてすぎてない?って注意が必要です。
褒められて喜んでいる自分に気づき、
褒めて喜んでもらおうとしている相手に気づく。
とっても難しいけど、
カウンセリングってその瞬間瞬間に気づいていくことだから。
偉そうなこと書いてますが、褒められると喜びます。(爆)