カウンセリングで喜ぶ弊害。

カウンセリングで喜ぶ弊害。

カウンセリングにておいて、

急にクライアントさんがこのように言うことがあります。

「先生!なんだか先生に話を聴いてもらって、

すっかり良くなりました、明日から仕事に

行ける気がします!」

と。

すると、喜ばしい出来事ですから

カウンセラーとしてはついつい喜んでしまいます。

だから「おぉ~すごいですね!よかったですね。」

といって喜んだり、

「その気持ちが湧き上がってきただけでもすごいのに

行けるって思ったなんてさらにいいですね!

では、挑戦してみましょうか!」

なんて、その言葉に乗ってしまうこともあります。

しかし、こういう場合、大体うまくいかないのです…。

大抵次のカウンセリングで、

「やっぱり早かったです…。」

となるか、

カウンセリング自体に来なくなることもあります。

それは、行くといってしまった手前いけないと、

カウンセラーに申し訳ない。

なんて思うこともありますし、

本当は良くなっていなかったけれど、

カウンセラーのことを気遣って、

良くなっている振りをしてくれることもあるからです。

その為、こういう時は過度に喜んだりせずに、

中立的な立場で対応することが大切です。

自分のカウンセリングが効果が出たり、

役立つと人は嬉しいものです。

しかし、それが判断を鈍らせることがあるのです。

だから、そんな時こそ冷静に対応することが大切です。

「そうですか~!気持ちが前向きになってきたんですね。

ただ、まだちょっと早いんじゃないですか?

本当に行けますか?無理しなくていいですよ。」

と逆説的に関わったり、

浮き沈みが激しい方には、

「そうですか、今は調子がいい時期ですね。

だからこそ、様子を見ていきましょう。

ここからがとっても大切な時期ですよ。」

といって、敢えてくさびを打ったり。

「そういった自分の中で自信を感じる心が育ってきたんだね。

そういう時は、自信を確信に変えるタイミングで、

自信を確信に変えていくには、

心に自分は出来るんだって教える必要があるんだ。

その為にはね、何でもいいから今できる小さなことを

成し遂げることが何よりも大切なんだ。

仕事に行くことは、楽しみに取っておくとして、

○○さんどんな事から始めたい?」

と目線をずらしてもらうように

質問をしたりする方がいい場合が多いのです。

それは、大抵の場合、

○○が出来そうな気がする。

○○に行けそうな気がする。

といったものは、

ハードルが高すぎる場合が多いからです。

ハードルが高い場合は、大抵達成できずに自信を失ってしまいます。

カウンセラーを喜ばせようとしている場合は、

それにカウンセラーがのってしまうと、

気づかぬうちにクライアントを苦しめます。

そして、何よりもそういう相手を喜ばせようとする癖に

気づくことが大切です。

カウンセリングでは、如何に相手に、自分に、気づけるのか

これが一つのカギを握るのですから。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。