ポジティブ・リフレーミング

さて、今日のメルマガは「ポジティブ・リフレーミング」についてです。

ポジティブというのは、肯定的という意味ですね。

ここまでは馴染みがありますが、

リフレーミングというと「?」となりますね。

英語に直すとReFramingです。

Frameというのは枠組みの事で、

reframingとは、相手の捉え方の枠組み作り直すという意味です。

 

ポジティブ・リフレーミングとは相手の捉え方の枠組みを

肯定的にとらえ返して伝えるということです。

 

コミュニケーションにおいてこのテクニックはとっても大切です。

なぜなら、悩みを抱えている方というのは、

物事をとらえる枠組みを否定的にとらえている傾向があるからです。

 

それを肯定的にこうも見えるよと伝え返すことで、

気づきに繋がったり、幅が広がったりするのです。

 

さて、このポジティブリフレーミングをより詳しくご説明するには、

まずこのフレームについて説明しないといけませんので、

フレームの説明をさせて頂きますね。

フレーミング

このフレームとは、

物事に対する枠組みのことを指します。

この枠組みは、考え方や価値観・捉え方などが入ります。

例えば、

A型は几帳面である。

人には、優しくすべきである。

あの人は、イライラしやすい人である。

仕事はセンスが大切である。

というのも、物ごとに対する枠組みですから、

フレームと呼ばれます。

そして、フレーミングとは、

物ごとに対して枠組みをつけることです。

物事は、こういうものであるという枠組みをつけることです。

 

例えばあなたが、

友人と食事に行った際に、

たまたまその友人の友だちであるAさんとばったり会ったとしましょう。

あなたは、そのAさんのことを全く知りません。

友人はそのAさんと軽く立ち話をしていました。

数分後、友人はそのAさんに「またね。」と言って、あなたに

「ごめんね。食べてる時に、いやびっくりしたよ。もう5年ぶりくらいだよAに会うのは。」

と語り掛けてきました。

そして、こんなことをあなたに言いました。

「実はね、あいつはねすっごいキレやすい人なんだよ…。」

それを聞いて、もしあなたがそのフレームを受け入れたとしたら、

フレーミングされたと言えます。

 

Aさんに対して、友人に言われる前までは、

初対面ですし、何にもフレームを持っていませんでした。

でも、友人が持つフレームを聞いて、

「あ、あの人ってキレやすいんだ。」

ともし考えたとしたら、それはあなたの心にフレームが出来上がった。

という事になりますからフレーミングとなるのです。

 

心理学の本を読んだりして、

「人の心の問題は○○である。」というフレームを学び、

それを受け入れたとしたら、それもフレーミングになるのです。

 

僕たちはこういういろいろなフレームを持っているので、

パターンに当てはめていろいろなことを理解でき、

対応できるようになっていくのです。

 

さて、前置きが非常に長くなりましたが、

次はいよいよリフレーミングについてご説明です。

リフレーミング

リフレーミングとは、

このすでに出来上がっているフレームを

緩めたり、捉えなおす事で、

家族療法でよく使われる技法の一つです。

 

簡単な例で言うと、

「頑固である」というフレームを

「芯が強い」と捉えなおすことができます。

「空気が読めない。」というフレームを

「自分のペースを大切にできる人。」

と捉えなおすこともできます。

 

このように、その人が持っているフレームを

捉えなおしたり、緩めたりする取り組みを

リフレーミングと呼びます。

 

リフレーミングが上手く働くと、

見方が変わるのです。

ただし、このリフレーミングは、

本人が受け入れて初めて効果がありますから、

こちらが如何に見方が変わるように働きかけても、

本人に入らなければ意味がありません。

 

さてさて、このリフレーミングですが、

肯定的に用いることで、

カウンセリングで上手くいくことがあります。

この「肯定的」というのがポイントです。

 

「自分の意見を言えない。」というのを、

「自分を持っていない。」というように、

ネガティブにリフレーミングしちゃだめですよ!ということです。(笑)

 

したがって、肯定的にリフレーミングすることが大切です。

例えば、

「ついつい周りに合わせてしまうんです。」

というフレームは、

周りに合わせること=悪いこと。

というフレームを持っていますから、

「世の中には、周りに合わせられず、人を大切にできない人がいます。

それと違ってあなたには、周りと調和を取り、人も場も大切にできるんですね。」

「そうやって、合わせてくれる人がいるから、自由に発言できる人がいる。

縁の下の力もちは、いつも周りに合わせられるあなたのような優しい方ですね。」

「ついついということは、そうやって周りに合わせることで、

自分の立ち位置を不利にしない。

というあなたの無意識の知恵なんですよ。」

「そういう自分の心の癖に気づいてらっしゃるんですね。」

「周りに合わせるのではなく、自分の気持ちや心に合わせて生きていきたいんですね。」

といったように、

ポジティブにリフレーミングする事が出来ます。

 

もし、この言葉を読んで、

あなたの中で「ついつい周りに合わせてしまう」

という事に対して見方が変わったとしたら、

リフレーミング成功です!

 

もし、「へ~」で終わったら、

リフレーミング失敗! 残念!となります。

コミュニケーションは受け手の反応ですから、

やはり相手が受け取って初めて

共感も受容もねぎらいもリフレーミングも成立するのです。

 

お悩み相談においてクライアントさんは、

物事に対してネガティブなフレームを持っていることが多い為、

それを肯定的に捉えなおすという

ポジティブ・リフレーミングがとっても大切なのです。

 

なので、お話を聞く時は相手の話の中身を理解したり、

相手に合わせて聞いたりすることも大切ですが、

相手が持っているフレームの肯定的な側面に光を照らして、

それをこちらが伝え返すこと。

 

つまり、ポジティブ・リフレーミングが大切なのです。

 

ポジティブリフレーミングに関しては、

家族療法の東豊先生が沢山とても素晴らしい本を出していますので、

ご一読をお勧め致します。

 

相手の受け取り方や、相手の枠組みを肯定的に伝え返すことで、

お互いに肯定的な循環を作り出すことが出来れば、

それだけでとっても効果的なコミュニケーションになるのです。

 

また、実際に肯定的に物事をとらえるためには、

自分に起こる出来事を様々な視点で捉えられるようになること。

 

これがとっても大切になってきます。

 

ただ、ここでいうポジティブは、俗にいうポジティブシンキングとは別です。

ポジティブシンキングは、落ち込んでいる状態をただ前向きにとらえようと考えることとは違いますので、ご注意くださいね。

心理ケアカウンセラー資格認定講座では、このポジティブリフレーミングも行っています。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。